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INTERVIEW
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関取花が新作で魅せたひと味違う世界観とは? そして大切な人たちへの変わらぬ愛について

text by 宇佐美裕世

今月4日にミニアルバム『きっと私を待っている』をリリースした関取花。バラエティ番組でのハキハキとした物言いから活発なイメージのあった彼女だが、今作で魅せる表情はどこか大人っぽさが漂っている。SNSに依存するあまり、できたてのご飯を食べる前にとりあえず写真におさめようとする人や、終電間際の駅に現れるカップルを題材にして、皮肉めいたことを唄う彼女も痛快でいい。しかし、実家に帰省する道中で忘れてしまった感覚を取り戻したり、過ぎてしまった青春に思いを馳せる彼女というのも、 人としての円熟味がさらに増しているようで、 また別の良さや深みがある。今作に至るまで、一体彼女にどのような変化があったのか? 今年30歳という節目を迎える彼女は今何を思うのか? 奇しくも筆者は彼女と同い年という共通点もあり、なんだか無性に話を聞いてみたくなった。『音楽と人』では初インタビューということで、まずは基本的なことから聞いていったのだが、一つ一つの質問に明るく答えてくれる一方で、実は自分に自信がなかったり、知らず知らずのうちに自分に対してプレッシャーをかけてしまったりと、意外な彼女の一面も垣間見ることができた。関取花とは、一言で形容しきれない魅力が備わった人。そんなことにようやく気づけた時間だった。



めちゃめちゃ基本的なことから聞きますけど、関取花さんは本名なんですよね?


「本名です! 先祖が関所の門番とか、取締をする人だったから関取らしいんです。花は、母が『女の子が生まれたら花ちゃんにしたい』ってずっと言ってたみたいで。お花屋さんで綺麗に売っている花ではなくて、地面に咲いているハルジオンとか雑草の花を見て、こういう子になってほしいってつけたらしいんですよ。それこそ身重の時に、コンクリートの隙間から強く咲いてる、誰にも見向きされないかもしれないけど、自分らしく咲いている雑草の花を見て、こういう子に育ってほしいって思ったみたいです。結果、名字が関取なんで、四股名感が強くて……貴乃花、若乃花的な」


(笑)後付けじゃないですけど、関取さんの音楽って、そういうお花のような温かさを感じます。でも決してポジティヴ100%じゃないところがいいなと。


「雨に打たれてる感がありますよね(笑)」


あと、ちょっと皮肉めいた、思わず共感しちゃうようなことも唄われてますよね。でも今作はどこか大人びているというか、すごく普遍的なものが描かれている気がしたんです。青春の儚さや、帰省の道中のこととか。そういったものをテーマに作ろうと思った理由はなんですか?


「去年の5月にメジャーデビューさせていただいて、その時から老若男女問わずたくさんの人や、最近音楽を聴かないって人にも聴いてほしいって思いはあったんです。ただ1作目を出した時、曲調やマインドは開いていたものの、あくまでも自分の物語に寄っていた部分があって。もしくは、インディーズの頃からそうなんですけど、空想まで行かなくても小説っぽい曲調しか書けなくて。その間のところを書きたいなってずっと意識はしていて……じゃあどうしたらいいのかって考えたら、曲が書けなくなったんですよ。なんか、すーごい肩の力が入っちゃって」


それはどうやって解決したんですか?


「1回全部忘れようと思ったんです。かわりに旅行したり、散歩したり、ご飯作ったりっていうのをちゃんとすることにして。意外と生活の些細なことだったり、雲が動いてる様子だったり、そういうのをちゃんと書いたら、〈これって私が見てる景色だけど、絶対みんなも経験したことのある景色だし〉って思えて。そこを書いていったら、また新しい自分が出る曲が書けるんじゃないかなって思ったんです」


書けなくなったっていうのは、プレッシャーを感じてしまったんですか?


「うーん、プレッシャーはまったく外からは与えられてないんですよね。インディーズで素敵な仲間に恵まれて、自分でも胸を張って素晴らしいアルバムを出してきたっていう自負も自信もあるから、勝手に背負って、ここでなんかやらないとって思いがあったんですよね。それが知らない間に、自分にとって重りになっちゃってたっていうか」


なるほど。でも1回音楽から離れたことで新しい道を見出せたんですね。


「そうですね。これも曲になるかもしれない、これも曲にしなきゃいけないを一旦捨てて生活して。ある意味逃げたというか、音楽から。いざその生活を始めたら罪悪感があって、この2、3日で何かできたんじゃないかって思ったんですけど、結果的には逃げるって決断をできたのは強さだなと思えて。すごく前向きな初期衝動じゃないですけど、そういうのを思い出せた気もして」


逃げることもそうなんですけど、「休日のすゝめ」(註:メジャーでのファーストミニアルバム『逆上がりのむこうがわ』収録曲)では「だらけよう」ってことを肯定的に唄っているじゃないですか。人によってはマイナスに捉えられることを、関取さんの場合は前向きに変換している印象があるんですよね。そこに背中を押してもらえる人は確実にいると思うし。


「ありがたいですねえ……」


テレビ番組に出演された時の関取さんのキャラクターを通じて元気をもらってる人もいると思います。


「でも、実はいまだにテレビに出ることに対して葛藤もあって。本業はミュージシャンなので、私大丈夫かな?とか思うこともあったんですけど。でも入口や順序はどっちでもいいのかなって、最近は思えるようになってきて」


そう思えるようになったきっかけってなんですか?


「例えばツイッターとかで『なんだコイツ、ムカつくな』って言われても、まあそんなにないほうだったとは思うんですけど、音楽のほうに直接攻撃してくる人は1人もいなかったんですね。だって、もし傷つけたかったらそこに来るはずだから」


YouTubeに上げられているミュージックビデオのコメント欄だったり。


「とか。少しでも私が気を抜いて音楽をやっていたら、音楽への攻撃がワーって来てたかもしれないけど。でもちゃんと自信と誇りを持って音楽をやってきたし、実際にそこに対して何か言われることもなかったので、じゃあどっちが先でもいいのかなあって。たぶん、私の音楽をずっと好きでいてくれる人の中で、『バラエティに出てる花ちゃんは好きじゃない』って言う人もいるだろうし、『本当はこんな子じゃない』って言ってくださるファンの方もいたんですよ。でも、音楽だって5分6分の尺の中での切り取りだし、テレビだって、編集があって切り取られているし。両方合わせて見た時に、少しでも自分の姿が見えて、どっかで面白いと思っていただければって思ってます。最近だとエッセイの連載のお仕事とかもあって、より補填できる部分が増えてきたんです。だからあんまり後ろめたい気持ちはなくて、ここがダメだったらここ、っていうふうにバランスはよくなってきてますね」

なんか傷ついたとか、心にぽっかり穴が空いてるとか、そういうところを表現できるのが音楽の愛らしいところでもあり、憎らしいとこでもある

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