テレフォンズが帰ってきた! 12月15日に行われたZepp Tokyoでのワンマンライヴ、そのアンコールで、ついに4人は正式に活動再開を宣言した。
2018年に2本のライヴを行い、翌年2月に、まだ行ったことのない場所を廻った全国5ヵ所のワンマンツアーを敢行した彼ら。そのツアーでは、久しぶりにテレフォンズで音を鳴らせることに対する喜びや楽しさが先行しているようなところがあったが、その後イベントやフェスなど30本近いライヴを行い、新曲「Light Your Fire」を生み出した中で、現在進行形のバンドとしての実感をメンバーそれぞれが手にしたのだろう。MCで石毛も言っていたが「今のテレフォンズが一番カッコいい」という確信に満ちた音を放っていた4人から、Zepp Tokyoに集まった多くの人間が待ち望んでいた言葉がこの日聞けたのだった。
先に触れた、約4年半ぶりのワンマンツアーを終えたばかりの彼らに、『音楽と人』5月号でインタビューした際は、異口同音に「完全復活はまだ」と言っていたのだが、ようやく4人の足並みが揃った。無期限活動休止という決断に至るまでに重く苦しい季節を経験したからこそ、バンドを再び動かすことに対してとても慎重に、時間をかけて気持ちを整えていったのだろう。もう二度と動きを止めることなく、末長くテレフォンズを続けていくために。
ということで、 東京で行われるワンマンとしては、活動休止前ラストかつ、結成10周年記念の日本武道館ライヴ以来となるZepp Tokyo公演の4日後に行ったインタビューをここにお届けしよう。2020年、また愛とディスコを叫べる喜びを共に味わおうではないか。本当にお帰りなさい、テレフォンズ。
先日のZepp Tokyoで、ついに完全復活宣言が出ました。改めてお帰りなさい!
一同「ありがとうございます!」
正式に活動再開を告げた時の、お客さんの歓声がものすごかったですよね。
岡本伸明(シンセサイザー)「うれしかったですね。もっと反応薄いと思ってたから、正直(笑)」
石毛 輝(ヴォーカル&ギター)「そうだね。『何言ってんの、こいつら』くらいの反応が来てもおかしくなかったというか。でも、あの歓声はやっぱ……なんて言えばいいんだろ、普通の歓声とは別次元のものでしたね」
松本誠治(ドラム)「たしかに」
石毛「それで言うと去年のUKFCで、『2019年は一瞬電波入れて活動します』って言った時の歓声もすごかったのを憶えていて。その歓声に後押しされたし、そうやってファンのみんなに背中を押されたところは少なからずあるのかな。なんか、それが心強いと思える自分が今はいますね」
前回、約4年半ぶりのワンマンツアーが終わったタイミングでインタビューをさせてもらった時は、活動休止から復活までの話を中心に聞いたんですけど、今回は活動再開宣言も出ましたし、2019年を振り返りながら本格的な活動再開に至るまでを聞いていけたらと思ってます。まずは、2月のワンマンツアーでの感触は、どんなものだったか憶えてますか?
岡本「まだ活動再開するとか決まってなかったし、あの時期は、〈またテレフォンズでライヴやれてる〉っていう喜びのほうが強かった気がしますね」
長島涼平(ベース)「久々な曲をやるのがただ楽しいっていう」
それぞれの中で、テレフォンズの感触をもう1回掴みにいってる、みたいな?
岡本「そんな感じでしたね」
そのあとフェスにもたくさん出て、いろんなバンドのツアーに呼ばれたりと、ライヴを重ねていったわけですが、なかでも6月の9㎜ Parabellum Ballet、7月のdustbox、8月のTHE BAWDIESとの対バンは、けっこう思うところもあったのではないですか? いずれも活動休止前最後のさいたまスーパーアリーナに出てた面々で。
石毛「あとトリビュートにも参加してもらったバンドですよね。その3バンドに限らず、やっぱりどの対バン相手も強敵というか、〈休んでたぶん、負けてんな〉みたいな気持ちになりましたよね」
長島「やっぱ悔しいなっていうのはありましたね。とくに9㎜とかTHE BAWDIESは同世代だし、俺らが休止してる間もずっと続けてて、しかもあれだけの人を今も最前線で熱狂させてる。もう説得力が桁違いだなって感じはしましたね。仮に俺らが休止せずに続けてたとして、今それができてたのかな?とか考えたり。でも対バンに臨む際のメンタルは、どのバンドとやろうが一緒で。俺はもうテレフォンズのことを知らない人のほうが多いと思ってたから、そういう人たちにカッコいいバンドいるよ!って、もう1回思わせたいっていう感覚でやってましたね」
石毛「だから今年の対バンライヴからは、すごい刺激をもらったよね。おかげでめちゃめちゃ気合い入った気もします」
そういう刺激を受けながら、10月にはついに4年ぶりの新曲が配信リリースされました。これはゲームアプリ「モンスターストライク」のプロツアーのイメージソングとして書き下ろされたものではありますが、テレフォンズとしては久々の曲作りになりますよね。もちろんモンスト側からのオファーがあっての制作ではあったと思いますが。
石毛「そうね。最初『BPM120くらいで』って言われて。『いやちょっと……』って、BPM140まで譲歩していただいて(笑)」
あははははは! BPM120でも曲は作れるけど、テレフォンズで、となった時にもうちょっと上げたいと思ったの?
石毛「だってテレフォンズが久しぶりに新曲出す、ってなって、待ってた人たちがBPM120のゆったりした曲を聴きたいかな?って思って(笑)。で、ちょっと前から新曲のネタみたいなのを溜めてたんで、それをみんなに聴かせて。曲も歌詞もみんなで作ろうってなって、俺ん家に集まって組み立てていきましたね」
そういう制作方法は初めてでは?
石毛「誰かの家にメンバーみんな集まって作るのって……やってなかったっけ?」
長島「やったことないと思う」
石毛「じゃあ家にみんなが来てたのは、ただ遊びに来てただけか。涼平がうちのトイレに家の鍵落として、『見ないで! 見ないで!』って言いながら、トイレに手突っ込んで鍵拾ったりとか(笑)」
長島「うわっ、懐かしい(笑)。俺、トイレのドアの鍵かけましたもんね。絶対、人ん家のトイレに手突っ込んでるとこ見られたくないから」
あははははは。話を戻すと、今回、曲だけでなく作詞も4人で作ろうとなったのは、どういう流れだったんだろうか。
石毛「これは涼平のアイディアですね」
長島「話をいただいてから曲を上げるまでの時間が、正直あんまりなかったんですよ。だから石毛さんが持ってきた曲をみんなでスタジオで煮詰めていく、休止前と同じ作業をやってたら間に合わないし、納得できるところまで絶対行かないなと思って。それで石毛さん家に集まって、曲にしても歌詞にしても、ある程度の骨組みまでは一緒に作ろうって言って。だから締め切りまで時間があれば、そういうやり方はしてなかったかもしれない。でも今回は、こういう制作のやり方でよかったなと思います」
石毛「うん、すごいいい経験でしたね。バンドによると思うんですけど、テレフォンズって誰かの家に集まってデモ作るのが似合うバンドなんだなって思いましたね。気持ち悪いですけど、嬉しさみたいなものもあったというか(笑)」
時間的な制約があったからとはいえ、復活して最初の曲作りがそういう形だったというのは、なんかいい話ですね。
長島「あといい意味でケツ叩かれたところはありますね。この話がなかったら、今も新曲はできてなかっただろうし」
石毛「デモだけが積み上がっていくみたいな感じだったかもね。だからすごくいいきっかけをもらった気がします」
岡本「あと新曲をライヴでやるっていいなって、そのあとのクアトロ対バンツアーで改めて思った」
石毛「単純に楽しいよね。もちろん昔の曲が楽しくないわけじゃないんだけど、今自分たちがカッコいいと思ってるものをやれる楽しさを久々に味わったな」