ストレイテナー、4曲入りのニューアイテム「Next Chapter EP」。表情豊かなサウンドと叙情性溢れるメロディとともに、キャリアを感じさせない瑞々しさを本作が湛えているのは、彼らのゴールデンタイムが途切れることなく続いてるからだろう。もちろんそこには4人の絶大なる信頼関係や阿吽の呼吸があってこそだろうが、中でも13歳で出会ってから今も一緒のホリエアツシ(ヴォーカル&ギター)とナカヤマシンペイ(ドラム)の関係性も大きいはず。馴れ合うわけでもなく、かといってドライになることもなく、あくまでも地元の〈友達同士〉として繋がっている仲。いがみ合ったり主従関係ができたりと、単なる友達同士だった関係が拗れていくのがバンドの宿命だったりするけど、この2人(というか4人)にはそれが当てはまらないのはなぜか。本誌では20年ぶりとなるツーショット&インタビューで確認させてもらった。
(これは音楽と人2025年12月号に掲載された記事です)
さっき撮影中に2人でなんか話してたけど、あれは?
ナカヤマ「何の話してたっけ?」
ホリエ「沖縄のエンダー(A&W/ファストフード店)の話ですね」
ルートビアの?
ナカヤマ「そうそう。ルートビアが歩道橋に2本置き去られてて、1本が未開封だったから、なんでだろって2人で推理してた(笑)」
ホリエ「たぶん2人組で、2本買って、1人が先に飲んだけど」
ナカヤマ「うわ、なんだこりゃ!みたいな(笑)」
ホリエ「どんな味か知らずに飲んだらたぶんそうなるじゃないですか、ルートビアって」
確かに(笑)。
ホリエ「で、もう1人は未開封のまま置いてったっていう」
ナカヤマ「もしくはビールだと思って買ったけど違った説」

2人だけで何気ない話をしてるのを見るのは、意外とレアな気がしたんですけど。
ホリエ「そうでもないですよ」
ナカヤマ「移動の車とか楽屋とかでよくしてますよ」
ちなみに2人だけのインタビューって、かれこれ20年ぶりでして。
ナカヤマ「そんなに?」
なんと『ROCK END ROLL』以来となります。で、さっそく作品のこと聞きますが、EPというサイズ感についてはどう思われます?
ホリエ「サイズ感ですか? 今って配信の時代だから、2曲入りのシングルをCDで出すのは難しくて。で、昔は洋楽の4曲入りでEPっていうのをよく買ってたので。日本だと……」
マキシシングルってヤツですね。
ホリエ「そう。なので、今回4曲あったからEPという形で出せるかなと思って」
シンペイくんはこのサイズ感をどう思います?
ナカヤマ「アルバムと違って、曲作りとかレコーディングから早く解放されるじゃないですか。そこがいいなって(笑)。脳にタスクを抱えこんでる時間がわりと短いというか、シュッて出せるんで」
ホリエ「アルバムだと〈まだあと何曲ある〉みたいなプレッシャーがあるからね。EPだとアレンジもレコーディングも1曲ずつ仕上げていくんで、スタジオワークが長く続くわけじゃないし」
いつ頃から作り始めた作品ですか?
ホリエ「曲を作り始めたのは、たぶん今年の2月ぐらい。〈Next Chapter〉の原型がその頃にできていたと思います。あと〈メタセコイアと月〉は夏前ぐらい。夕方の散歩中に見た風景――広い公園にメタセコイアの巨木が植えてあって、その木のてっぺんに月がかかっていて、それをそのままタイトルにしてます」
散歩はいいですね(笑)。
ホリエ「いいですよ。なんたって曲ができるから(笑)」
どの曲もタイプは違うけど非常に濃厚な味わいがあります。
ホリエ「全部リードっぽいっていうか」
そうそう。で、ラストの「走る岩(EXTENDED ver.)」は、名前の通り長いヴァージョンとして再録されてます。
ホリエ「歌詞を書き足したのと、間奏のギターソロが1ループ長くなってるんですけど、〈走る岩〉は〈The Ordinary Road Tour〉の時に初めて4人でやったんです」
え、そうだっけ?
ホリエ「初めてだし、音源も2人時代のものしかなくて」
この曲を聴くと、なぜかシンペイくんがZepp Tokyoのステージでドラムを叩いてる姿を思い出すんだけど。
ホリエ「3人の時にZeppでやってるかもしれないですね。初Zepp Tokyo」
たぶんそれだと思う。ちなみにドラマーとしてこの曲はプレイ的にどうですか?
ナカヤマ「いい感じじゃないですか?(笑)」
ホリエ「でもインディーズの時より難しく感じない? 〈あの頃は何も考えず叩いてたけど、今は……〉みたいな」
ナカヤマ「そうかも。当時はフー・ファイターズをお手本にしてたというか。外タレになりたいキッズだったんで(笑)」
ホリエ「高校時代のシンペイは長崎のヤガミ・トール(BUCK∞TICK)って自称してたよね? いや、ドラムのスタイル的には川西幸一さん(ユニコーン)だったか」
っていう感じで、ここからは昔話をオリジナルメンバーの2人としたいんですけど。
ナカヤマ「オリジナルと言っても4人ともオリジナルなんですけどね。前任がいないから」
ホリエ「今のいい言葉の響きだね。〈オリジナルは4人ともオリジナル〉(笑)」
2人だけで話すことってあるんですか?
ホリエ「ありますよ。何か決めることがある時に、ひなっち(日向秀和/ベース)とOJ(大山純/ギター)はあまり意見はしないんで、意見が欲しい時はシンペイに求めたりします」
ナカヤマ「ジャケとかもLINEでパターンを僕からビャーって送って、『どれがいいすか?』みたいな」
ホリエ「あとライヴの曲順とかも相談します。いつも僕がざっくり作るんですけど、めっちゃ悩むんです。で、セットリスト案を投げると『ここの順番変えたほうが』とか『この曲入れない?』みたいなことをシンペイが返してくれる」
ナカヤマ「OJもたまに言うけどね」
