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ハルカミライの武道館ライヴはなぜあんなにアットホームだったのか。橋本学が語る両親からもらったもの

text by 樋口靖幸

どうしても橋本学と親の話がしたくなるようなライヴだった。
2月1日、結成から10年という節目を経て、新たなる旅の始まりを日本武道館で迎えたハルカミライ。これまで武道館にはイベントで立ったこともあるし、規模的には幕張でワンマンを2回もやっているバンドだ。ゆえに彼らにとって決して特別な場所ではないけれど、それでも彼らはあえて武道館を特別な舞台に設定しつつ、それでいて客席との距離をとことん詰めるようなライヴをやった。武道館をあそこまでライヴハウスみたいな空間に変えてしまうバンドはそう多くはいないだろう。
どうしてそんなアットホームなライヴになったのか。それは橋本の家族に対する思いが伝わる場面がたくさんあったからだと思っている。父親からの手紙の話。オカンに「いつも謙虚でいなさい」と言われること。「学はいつテレビに出るのか」と尋ねる祖母の存在。さらにメンバー全員で橋本の実家に泊まった時の甘酸っぱいエピソード。武道館をフルキャパで埋めてるロックバンドとは思えない数々の家族ネタが、40曲近い新旧織り交ぜたセットリスト(しかも予定外にやった曲多数)の中にぶっこまれたのだ。
大勢の人前で、しかも武道館で、遠回しだけど親に感謝を伝えようとしている橋本の姿が眩しかった。ライヴが終わったあと、子を持つ親の立場として、どうしても彼と話がしたくなった。あの日を振り返りつつ、彼のオカンとオトンについて語ってもらうことにした。



どうでしたか武道館は。


「準備期間があればあるほど、武道館って神聖な場所になっていくもんなんだなって思いました。前に友達のバンドとかと一緒に出た時(註:ライヴイベント〈今日も最初で最後。〉)は、忙しいスケジュールの中〈ま、やれるっしょ!〉みたいな勢いだけでやれたんですけど、今回はちゃんと時間をとってスタジオにも入りまくったんですよ」


しっかり準備をして臨んだと。


「でも、100%でライヴをやれるかどうかは最後までわかんなくて。3週間ライヴ空けて準備しても、スタジオで〈これはどうなの? じゃああれは?〉みたいなことがいっぱいあったし。それでもバンドとしては今までにないぐらい、上位にあるライヴがやれたと思ってます」

(●)


どんなところがよかったと思いますか?


「いつもセットリストは須藤(須藤俊/ベース&コーラス)が組んで、俺は〈こういうことを話そう〉みたいなのを考えるんですけど、お互い用意したものをそのままやるだけだと、全然ライヴした気にならないというか」


予定外のことをしたいと。


「100%ちゃんと準備したうえで、それを超えていくような出来事が起こらないとライヴって面白くないんですよ。そう思っちゃうのは、たぶんライヴをやり過ぎたバンドだからなんですけど(笑)。だから4人の中に〈100%を超えたものをやるのが俺らにとっての100%だよね〉みたいな暗黙のルールがあるんです。で、そういう気持ちでライヴやってると、準備してなかった言葉がどんどん出てきて自分でもびっくりするんですけど」


だからセットリストにない曲をたくさんやったりして。


「そうじゃないとつまんないし、自分の中から溢れてきたらそれが正解、みたいな感じですね」


武道館なのにライヴハウスで観てるみたいな感覚があって。お客さんとの距離も近いし、バンドも橋本くんも自然体だし。昔はもっとカッコつけてたけど(笑)。


「昔はデカいところでやるとガチガチでしたね。でもどんどんそういうのが取れてきたんですよ」

(●)


何百回と武道館でライヴを観て来ましたけど、MCであんなに親の話をするバンドは初めてです(笑)。


「はははは! ちょっと多かったですかね(笑)」


でも最初から話すつもりだったんでしょ?


「予定では1ヵ所か2ヵ所ぐらいで、あんまりしすぎるのもなって思ってたんですよ。最初はウチの婆ちゃんに〈学はいつになったらテレビに出るのか〉って聞かれた話とか、〈ライヴハウスのことは知らない婆ちゃんでも武道館は知ってるから、喜んでくれたらいいな〉とか、そういう話は絶対しようと思ってて」


お婆ちゃんの話はインタビューでも言ってましたね。


「あとはちょっとだけオカンのネタで笑いが取れたらいいなって思ってて。でも、武道館の前々日ぐらいに、父親からガチの手紙が届いたんですよ。その手紙のことは泣いちゃいそうだから絶対言わねぇって思ってたんだけど、なんか自分の中で止められなくて」


そうだったんですね。


「母親は半年に1回は必ず手紙を送ってくるような人で。〈こうしなさい、ああしなさい〉っていういかにも母親らしい内容で、いつもありがたいと思いつつ〈はいはい、はいはい〉みたいな感じで受け取ってるんですけど、父親からの手紙っていうのは初めてで。しかも父親の文章って、それまでちゃんと読んだことがなくて。ほんの4行ぐらいの文章だったんですけど」


その内容をあらためて話してもらっていいですか?


「俺は3人兄弟の末っ子なんですけど、父親とは俺だけちょっと距離があったというか。姉ちゃんは女の子だからかわいがってもらってて、兄貴は野球漬けの日々だったんでいつも練習試合につきっきりで、土日とかも〈俺は一人でいるわ〉みたいな。別にそれが寂しいとは思ってなかったんだけど、親父はそのことをずっと心配してたっぽくて」


で、「3人を平等に愛して来れたかわかんないけど、学のことを誇りに思う」と手紙で告白されて。


「そういう気持ちを知れたことがすっごいうれしくて」

(●)


どうしてお父さんはこのタイミングでそんな手紙を書こうと思ったんだろう?


「ウチの両親ってライヴハウスで出会ってるんですよ。オカンがもともとバンドをやってて、オトンはそのバンドのライヴを観に行ってたらしくて。なんか漫画みたいな出会いですけど(笑)」


いい話じゃないですか(笑)。


「だから親父ももともと音楽が好きだったんだろうし、あの人なりにライヴとか大きい舞台への思い入れがあったんだろうなって。あと、その4行しかない手紙にちゃんと起承転結があったんですよ。それ読んで、〈もしかして俺の歌詞の才能って……親父譲りなのか?〉とか思った(笑)」


はははは! そんな手紙をお父さんからもらえただけでも、武道館をやる意味がありましたね。


「ありましたね。それだけ武道館って家族が喜んでくれる場所なんだなって」

オカンのおかげで橋本学という人間の土台が作られた感覚が自分の中にあるんですよ

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