「音楽と人」が、約3年ぶりに主催するライヴイベント〈音楽と人LIVE 2022“浅草クロッシング〜肥後もっこす編〜”〉。中田裕二と柴田隆浩(忘れらんねえよ)を迎え、11月18日(金)に浅草花劇場にて弾き語りスタイルで開催される本イベントに先立ち、2021年1月号に行われた両者の初対談を再掲載! 同郷・同い歳ということで意気投合した2人の親密な関係をここから感じ取ってもらえたらと思う次第です。
また現在発売中の『音楽と人』11月号では、今回のイベントに向けての2人の作戦会議の模様を掲載しております。セッションはもちろん、どうやらこの日のためのお楽しみをいろいろと考えているようなので、ぜひ11月18日、浅草花劇場でお会いしましょう!
(これは『音楽と人』2021年1月号に掲載された記事です)
まずはこちらの美醜入り混じったツーショットをご覧ください。そして屈託のない2人の笑顔に心が動いた貴方は、きっと彼らと同じピュアな思いを抱えているのでしょう。中田裕二と忘れらんねえよの柴田隆浩。どこをどう見ても接点も共通項も見いだせないこの2人が、同郷&同い歳という事実をきっかけに意気投合、そのままサシ呑みへとなだれ込んだ結果、あっという間に2人は互いの存在に惹かれあい、心の内を明け透けに語るような関係へとトリップ。
というわけでさっそく本誌は成立したばかりのカップル対談を行うことに。中田も忘れらんねえよも今月は久しぶりのワンマン公演を開催することが決まっているが、そういうトピックはひとまず脇において(笑)、東京下町の住宅街にひっそり佇むお店で乾杯しつつ、「裕ちゃん」「柴ちゃん」とお互いを呼びあうデレっぷりを披露してもらいました。この対談をきっかけに、2人のコラボ作が生まれそうな予感……!
今日は台東区の谷中ビアホールに来ております。もちろん中田くんチョイスのお店。
柴田「いやー、こんなおいしい仕事はないです」
中田「最初は『ネオントリップでどう?』っていうノリだったのに、カラーでたくさんページ割いてくれるみたいで」
柴田「ウチらの取材でもそんなくれないのに?」
こないだサウナ行って8ページも取材しただろ(笑)(註:2020年1月号掲載)。
柴田「あ、そうだった!(笑)」
中田「すごいやってもらってるじゃん」
失恋話を熱く語ってました。
柴田「それ、こないだ裕ちゃんに話した件ね(笑)」
まずこの2人が意気投合した経緯を。
中田「BLUE ENCOUNTの田邊くん(田邊駿一/ヴォーカル&ギター)から熊本の復興支援の番組をやるから出ていただけませんか?って話が来て。で、行ってみたら熊本に関するクイズ番組だったんですけど、そこで柴ちゃんと同じチームになって」
柴田「俺も田邊くんから『熊本を支援したい』って電話かかってきて、何するかよくわかんないまま引き受けて。もちろん裕ちゃんのことは知ってたんですけど。椿屋四重奏の頃から」
中田「俺も知ってましたよ、忘れらんねえよ」
柴田「でも熊本出身で同い歳っていうのは知らなくてビックリして。控え室で話して『えっ!?』みたいな。気がついたら2人で盛り上がってた」
そんなノリで簡単に人と繋がれる人たちでしたっけ?
柴田「違いますね。特に俺の場合、イケてる人が苦手なんですよ。で、ご覧のとおり裕ちゃんはイケてるじゃないですか」
中田「いやいや、イケてないです(笑)」
柴田「これまでのイメージだとガチでカッコいい印象があって。いつもの俺だったらそういう人に話しかけることはなかったんですけど。でもあの場の空気がすごく良かったのか……」
中田「自然に話してた。僕、前からすごく興味があったんで、柴ちゃんに。だからその番組で会えるって聞いて、前もって動画とか観て予習して」
柴田「もっとカッコいいイメージどおりの人なのかな?って思ってた。でもちょっと話したら〈あれあれ?〉みたいな。けっこう俺と同じ人種っぽいぞと」
中田「僕もそう。同じ匂いがした」
柴田「嫌いなものが似てるんだよね」
中田「そうそう。好きなものじゃなくて嫌いなものが(笑)」
柴田「嫌いなものが似てるって大事だよね!」
中田「大事。嫌いなもので共感できるって手っ取り早いから。で、すぐ連絡先を交換しまして」
サシで呑んで意気投合したと。でも中田裕二と忘れらんねえよって、音楽的な接点がどこにも感じられないんだけど。
中田「やってることは違うけど、もうすぐ40を迎える男の哀愁みたいなのはバリバリ感じて。そこはシンパシーを覚えるし」
……それは残念です(笑)。
中田「ははははは!」
柴田「何でですか!? こないだ初めて2人で呑んだ時も面白かったよね」
中田「僕も初っ端からぶっちゃけた話をして。いろんなプライベートトーク(笑)」
柴田「初対面でこんな話してくれるんだって」
中田「もうほんとに大変だったね、みたいな。アラフォー男の苦しみを共感しあって」
例えばどんな苦しみを?
中田「ここではさすがに言えない(笑)」
柴田「まぁ大枠で言うと、〈人生はままならんな〉っていう」
中田「まあみんな、この世代になるといろいろとね。あとはコロナもあって、俺たちミュージシャンがどうすべきか?みたいなところもあるじゃないですか」
だからこそ相手を選ぶ話だと思うが。
柴田「でも俺、それ裕ちゃんの前だと見栄を張ろうって思わんもんな。後輩と呑んだりすると見栄張るんだけど」
中田「先輩風、吹かすんだ」
柴田「自分のみっともないところって見せたくないからね」
普段あれだけ見せてんのに?(笑)。
中田「ははははは!」
柴田「ガンガンにね(笑)。でも裕ちゃんの前では全部出していいなって思えたの。あと、単純に同い歳のミュージシャンの友達がめちゃくちゃ少ないんですよ」
でもそれだけでここまで意気投合しないでしょ。
柴田「さっき言ったけど裕ちゃんって〈イケメン〉みたいなイメージがあるじゃないですか。あと、自信満々で鼻持ちならない、みたいな。で、たぶんそのイメージに苦しめられてきた人なんだって。だから俺も心を許せるというか。もちろんミュージシャンとしての深い自信があるのは感じるけど、じゃあ男として自信満々だぜみたいな、そういうのではない。むしろこんな俺に気を遣ってくれるし」
中田「昔はやっぱりバンドのイメージを要求されることもあったけど、今は過去に縛られず、自分のやりたいことを自由にやるのがベストかなって。そういう意味では柴ちゃんはやりたいことを自由にやってるし、言いたいことも全部言ってて」
柴田「裕ちゃんはどっか自分に自信がないというか、自分を信じきれないみたいな。そこは俺と一緒だなって」
中田「でも100%自分に自信がある人っていない気がするんですよ。ビッグな人でも謙虚っていうか、過信してないからこそビッグになったっていう感じもする。逆に自分にのぼせちゃった人ほど転落するというか」