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GRAPEVINEの新曲「どあほう」。田中がこの曲に込めたバンドとファンの関係を考察

text by 清水浩司

「どあほう」という言葉を聞いて常に思い起こすのは、かくも多様で美しい日本語の豊潤さである。


この、役立たず! ボケナス! クズ! ゲス! バカチン! ゴクツブシ! 痴れ者! たわけ! うつけ! あほんだら! コンコンチキ! ノータリン! あんぽんたん! ダメ人間! おたんこなす! うすのろまぬけ! 早漏! 粗ちん! とんとんトンマのトンチキ野郎! ……


罵倒ひとつとってもこのバリエーション。英語だったら「F×CK」一言で事足りるものを、ここまでさまざまな角度から弱点をあげつらい、相手を叩きのめす容赦ない感情の速射砲。新作アルバム『あのみちから遠くはなれて』の1曲目にこのタイトルを置いた田中和将の心中にあったのは、トランプショックに揺れる日本国民に向けた〈MAKE日本語ロックGREAT AGAIN〉という突拍子もないメッセージだったに違いない――ってンナワキャナイですね、このどあほう。


さて。
全国幾千万人のGRAPEVINEファンのみなさんは今頃、5月28日発売の『あのみちから遠くはなれて』を首を長くして待っているところだろう。


かくかくしかじかの騒動から不死鳥のように復活を遂げた『Almost there』から1年半。災い転じて福となす、バンドは新たなテンションと無敵の人的マインドを得て、むしろエネルギッシュなゾーンの領域に突入したが、それは昨年7月「NINJA POP CITY」の〈に、に、忍者?……〉という困惑、今年1月「天使ちゃん」の〈て、て、天使チャン?……〉という蒼白を経て、バチバチに期待値を上げ続けているのが現状である。特に「天使ちゃん」の衝撃は既存のファン層を超えて拡がり、「こんな音楽聴いたことがない」「一体何だこの曲は?」「ロックバンドにここまでできるのか」と各方面をザワつかせたことは記憶に新しい。


そんな中でリリースされる19枚目(!)のアルバム。さらにその1ヵ月前に配信されるこの「どあほう」はアルバムのパイロット的な楽曲であると共に、アルバムへの期待値をさらにくすぐるティザー的な意味合いも持っている。


楽曲は小気味いい田中のカッティングからはじまる。即座にのしかかる金戸覚&亀井亨のリズム隊。高野勲のシンセが風を吹かせ、ブレイクでは西川弘剛が大鉈を振るう。サビは5人合体、一気呵成のバンドサウンドで駆け抜ける。


本作、バンド内では「メロコア?」「アヴリル・ラヴィーン風?」などイメージの擦り合わせがあったらしいが、個人的にはメロコアにも聴こえないしアヴリル・ラヴィーンにも聴こえない。バインが演ったストレートなビートパンクといった趣である。


プロデュースは『Almost there』に引き続き高野勲。彼もバンドと同衾して二十年強、GRAPEVINEよりGRAPEVINEを知る助教授はバンドのまだ見ぬポテンシャルを引き出し、時に回りくどくなる習癖を一掃する。つまり、奇天烈はより奇天烈に、まっすぐはよりまっすぐに。「どあほう」の胸のすくような演奏には、前アルバムツアー後も「The Decade Show」「SPRING TOUR」などライヴ活動を欠かさなかったバンドのコンディションがそのまま映し出されているともいえる。


そして問題は田中の詞だ。「どあほう」というタイトルもどないやねんという感じだが、歌詞のヒントになるのが志賀匠(CAVIAR)の手掛けたアートワーク。油彩風タッチの前面に置かれた一升瓶と湯吞茶碗。〈わたしがいなければ何もできない人〉〈それがどうした/酒を買うてこい〉……ああ、ダメな男にダメな女、どあほう同士の恋と泪、これはまさしく「浪花恋しぐれ」(©岡千秋&都はるみ)の世界じゃござんせんか。


近年田中への憑依著しい河内のオッサンという新境地は、ここに来て〈ど阿保春団治〉へと漂着した。雨の法善寺横丁。酒や! 酒や! 酒買うてこーい! ――興味深いのは、このコンプラ無視、DVもEDもなんのそののアティチュードは現世へのカウンターであると同時に、バインとバインファンとの間の秘めやかなデュエットソングにもなっているということだ。


ダメ男のほざく甘言=〈憂き世の裏の裏/ここまで寄り添って耐えてきたんや/黙ってついてこい〉にほだされながら離れられない共依存。これもアンタが日本一になるため、惚れた男のでっかい夢のため。これはまさに「頼むぜバイン」と糟糠の妻の構図。そして腹を括った2人が駆け抜ける往来。このまま死ぬまで一蓮托生、バカップルのまま昇天する未来――って、つまりものすごく婉曲的表現ではあるが、これは〈ど阿保カズ団治〉による「GRAPEVINE、日本一のロックバンドになったるわい!」宣言と言えるのではなかろうか? いーや、絶対そんなことないね!


――と、徒然なるままに書き散らかした「どあほう」評、真の目的は『音楽と人』5月2日発売の6月号は表紙巻頭・GRAPEVINEというおしらせで御座います。田中、西川、亀井のソロインタビューに、プロデューサー高野による裏話、金戸人物ドキュメント、さらに3人の宿題企画と全30ページ近く。どう考えてもやりすぎでしょ。凍りつくよな音楽業界の裏で、ずっとバインを信じ、支えてきたのは『音楽と人』もまた同じ。


♪笑うふたりに、笑うふたりに、ついに浪花の春がくる~~~~か?


何卒、ああ何卒、うちのバインをよろしくお頼み申し上げます。

文=清水浩司



NEW DIGITAL SINGLE
「どあほう」
2025.04.23 RELEASE


Download / Streaming



NEW ALBUM
『あのみちから遠くはなれて』
2025.05.28 RELEASE


■初回限定盤(CD+DVD)
■通常盤(CD)

〈CD〉 ※全形態共通

  1. どあほう
  2. 天使ちゃん
  3. ドスとF
  4. わすれもの
  5. my love, my guys
  6. NINJA POP CITY
  7. カラヴィンカ
  8. はれのひ
  9. 猫行灯
  10. 追憶のビュイック

〈DVD「LIVE AT UMEDA TRAD 2024」〉 ※初回限定盤のみ
「GRAPEVINE The Decade Show : Trad Gala」よりライブ映像6曲収録。

  1. 吹曝しのシェヴィ
  2. Time is on your back
  3. Through time
  4. 君を待つ間
  5. 覚醒
  6. Alright


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GRAPEVINE オフィシャルサイト




音楽と人6月号(5/2発売)
表紙巻頭 GRAPEVINE

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