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INTERVIEW
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柴咲コウ、芸能活動25周年。「臆病な自分」と向き合い続けて見えたものとは

考えすぎて気疲れするから、距離を置く必要があったけど、今は人と向き合うことが楽になってきた



会社を立ち上げてみてどうでした?


「良かったと思います。さっきの裏方の話に通ずるけど、表に立つ人って見られ方も変われば自分の感性も変わるし、求められる役柄も変わっていくじゃないですか。だから音楽で変わらない自分を表現していきたいんだけど、それだけに頼ってるとやっぱり怖がりな自分が出てきちゃうし、どこかで心もとないなって思ってしまう。だったら自分が表に出るだけじゃなくて、裏方としてモノを作るための研究とか知見を身につけたいんですよ」


じゃあ会社も自分のためにやっていると。


「や、そういう感覚はあんまりないかな。むしろ人を育てていきたいですね。自分だけが表現してたらそこで終わるけど、それを人に繋いでいきたいと思っているので。とはいえそれが最初から目的だったわけでもなく、結果的にそうなっただけであって」


それこそ連載をやってた頃は自分にベクトルを向けて悶々と考え続ける人で、そこに音楽が並走してる感じだったけど、会社の事業も含めて、今は自分以外の人とか物事に自分を向けた活動をしてる印象があります。


「私、こう見えていろいろ影響を受けやすい部分もあるんですよ。例えば本を読んで〈おお〉って感銘を受けたり、〈じゃあ私もこうしてみよう〉って取り入れてみたりすることも多いんですけど、フランスの経済学者でジャック・アタリさんていう人がいて」


ジャック・アタリさん?


「その人が『利他主義は究極の利己主義』ということを説いていて。合理的利他主義って言うんですけど」


あ、その話、知ってます。本で読んだことある。


「自分のためになる近道というのは、周りを良くすること、みたいな。自然環境を守ることとか人のために動くことが、巡り巡って自分のためになる。そういう感覚で生きてるところがあって。逆に〈自分のためだけ!〉って世間に粗暴な振る舞いをしてると、あとからドカンとツケを払わされるというか。で、そういう人生は送りたくないし、自分以外の人やモノに思いを馳せることや行動することを心がけることが、自分にとって心地いいと思えるので」


利他主義であることが最終的に自分のためになるっていう考え方ですよね。ちなみに、今回の作品を今の話に当てはめて説明するとどうなります?


「中庸って感じかな? 自分勝手にしているわけでもなく、かといって誰かのために自分を100%捧げてるわけでもないので。ちょうどいい自分(笑)」


確かにそうですね。


「久しぶりに出すCDだし、久しぶりのツアーをやるので、自分の好きな音楽に振り切ってやってみる選択肢もあり得たわけだけど、そうはしなかったですね」


すごく正直なことを言うと、柴咲さんがこういう企画色の強い作品を出すことが意外だったんですよ。むしろこういう企画に抗う……。


「私も最初はそうだった」


音楽はあくまでも自分を守るものだったり救うためのものだったから。でも、これは自分のためではなく――。


「理解してもらいたかったの。ファンの人たちに〈今まで応援してくれてありがとう〉っていう感謝の気持ちがあったから、そこで自分が好きな難解な電子音楽を提示するんじゃなくて、みんなが聴いてわかりやすいもの、それでいて私のことを応援してきてくれた歴史も感じられるもの。そういうものにしたかった」


つまり自分以外の誰かのための音楽であり、作品であるわけで。


「でも、ここには自分にしかないオリジナルもあると思っていて。例えばこの作品の中で他のアーティストさんの曲を私が唄ってますけど、それを自分がやる理由って何なんだろう?って考えると、お芝居とか演じることをやってるからこそできる表現が自分にはあることを知って。それこそ福山雅治さんにプロデュースしてもらった時も『お芝居をしている人だからできる表現がある』っていうのを仰っていて、それって私にとってのオリジナルだと思うんですね。しかも今回は私が出演している作品の歌じゃないですか。だから……唄うだけでその作品にあった役としての魂みたいなものが乗っかるというか」


その役柄を演じた自分が?


「唄っていると出てきちゃいますね、その時の自分が。それぐらい主題歌って演じた作品とひとつになってるし、いい歌ほどそうなってる。もちろんその歌だけを単体で聴いてもすごくいいんですけど」


そうですね。


「これだけいろんな作品に出させてもらいながら、細々とながらアーティスト活動もやり、こうやって20周年を迎え、コロナもなんとか経たところで久しぶりにツアーができる。それってある意味奇跡的だと思うんですよ。自分で言うのもアレですけど、誰にでもできることじゃないっていうか」


あと、この作品がいいのは、音楽に対するリスペクトの気持ちが伝わってくるところなんですよ。それこそ1曲目の「静かな日々の階段を」なんて、どう唄えばいいのかものすごく真面目に考えた末の歌唱なんだなって(笑)。


「ははははは」


そういう柴咲さんが透けて見える作品でもあります。


「図らずもですよ。わざと透けさせてるわけじゃないですから(笑)。でもそう思ってもらえるなら、やって良かったなって思います」


あと、今だから言うんですけど「最愛」って曲、当時は全然いいと思わなかったんですよ。


「でしょうね(笑)」


ははは。でも今回久しぶりに聴いたら……いい曲じゃん!って(笑)。


「良かった(笑)」


昔から音楽との向き合い方が変わってないことを再認識できました。


「この曲を書いた福山さんって、究極の利他主義なんですよ。自分を犠牲にしてでもみんなに楽しんでもらいたいと思っているような人で、そういう気持ちで書かれたものだから。私もこの曲に対する愛情が年数を重ねるごとに増してきて。それを年齢とともにいろんな経験や思い出が積み重なった自分が唄うことで、より実感するというか。〈ああ、これが人生なんだな〉って」


そういうアルバムになってると思います。あと、これを聴いて思ったんですけど、今の柴咲さんは以前より誰かに思いを伝えることとか、誰かを愛することが素直にできるようになったんじゃないですか?


「そこまで深読みしますか(笑)。でもそれは今すごく自分が思ってることでもあって。素直な人ってそんなこと1ミリも悩まず、自分の思いを真っ直ぐ伝えられるじゃないですか。でも自分はそうじゃないタイプだって思って生きてきて」


考えすぎちゃう人ですからね。


「ハイリー・センシティヴじゃないけど、〈これを言ったら相手が重く感じるんじゃないか〉とか〈今これを言うタイミングじゃないかも〉とか、いろいろ考えすぎちゃって気疲れするから、人とは一定の距離を置く必要があったんです。でも今は少しずつ……人と向き合うことが楽になってきていて。歳を重ねることが心地いいんですよ」


文=樋口靖幸 撮影=笠井爾示_KATT
ヘア=Koichi Nishimura_VOW-VOW
メイク=COCO_SEKIKAWA OFFICE
スタイリング=里山拓斗_LUCKY STAR



NEW ALBUM
『ACTOR'S THE BEST 〜Melodies of Screens〜』
2023.11.29 RELEASE

  1. 静かな日々の階段を
  2. 月のしずく(RUI)
  3. RIDE ON TIME
  4. 思い出だけではつらすぎる
  5. いくつかの空
  6. Sign
  7. 瞳をとじて
  8. 最愛(KOH+)
  9. わたしが竜宮小僧だったとき
  10. silence
  11. コール・ミー・クルエラ
  12. ヒトツボシ(KOH+)
  13. 銀の龍の背に乗って

TOWER RECORDSで購入
HMVで購入
Amazonで購入


柴咲コウオフィシャルサイト

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