• HOME
  • RANKING
  • NEWS
  • INTERVIEW
  • COLUMN
  • QLAP!
  • MAGAZINES
  • BOOKS
  • ABOUT
  • HOME
  • RANKING
  • NEWS
  • INTERVIEW
  • COLUMN
  • QLAP!
  • MAGAZINES
  • BOOKS
  • ABOUT
COLUMN
  • #ライヴレポート
  • #仲村宗悟

仲村宗悟、初のホールワンマン。ポジティヴなエネルギーの裏にある忘れられないあの頃の気持ち

text by 竹内陽香

【LIVE REPORT】
〈SHUGO NAKAMURA 3rd LIVE TOUR 〜NOISE〜〉
2023.09.16 at LINE CUBE SHIBUYA



ライヴ終盤、ステージの真ん中に座った仲村は、まるで居酒屋で友達と酒を酌み交わすようなリラックスした雰囲気の中で話し始めた。これまでいろんなミュージシャンのライヴを観てきたが、こんな人は初めてだ。彼は上京してから今に至るまでを語り、自身の原点ともいえる「ゆらゆら」を本編ラストに披露した。デビューCDに収録されているこの曲を、うまくいかなかった日々の焦燥ややるせなさが滲む歌詞を、感情いっぱいに唄い上げる。話題作で主演声優を務めたり、ホールでワンマンができるまでになった今でも、仲村の中にはここで唄っている当時の気持ちがずっと残っているのだろう。あの頃を浄化するというよりも、あらためて刻み込むような時間だった。


東名阪の3ヵ所を廻った〈SHUGO NAKAMURA 3rd LIVE TOUR 〜NOISE〜〉。その追加公演として用意されたLINE CUBE SHIBUYA公演は、仲村にとって過去最大キャパ&初ホールという舞台で、多くのファンが駆けつけた。「みんなの声と僕の声が合わさって、いいノイズが積み重なればいいなと思ってつけた」というツアータイトルのとおり、登場から大きな歓声が響き、「かたちにして」ではファンと一緒に声を重ね、「あなたのこと」ではテンションが上がりすぎたのか、いきなり客席に降りる場面も。3度目のツアーにしてようやく声出しOKとなったことで、ライヴ本来の醍醐味を味わえる喜びが炸裂。とにかく会場内の熱気がすごく、めちゃくちゃ暑い。


中盤以降は、バンドメンバーとのグルーヴも一層高まり、鮮やかな世界観を魅せていく。もがくような心情と激情的なピアノやギターが絡み合った「流転」に惹きつけられ、「わかってちょうだいね」はステージ上で誰ひとり遠慮することなく衝動をぶつけ合い、バンドのセッションから繋がった「imitation」ではメンバーと絡みながら仲村もギターをかき鳴らした。仲村宗悟はソロアーティストだけど、バンドと一緒に作るアグレッシヴなステージが彼のライヴの魅力であるのは間違いない。


「一緒に飛ぼう」「声聴かせて」など、観ている人にアクションを求めるシーンも多く、合間のMCでは「こんなに(動きを)強要する人いないよね」と仲村は笑っていた。でもそれは〈この時間をもっと一緒に楽しもうよ〉という彼なりの提案だったように思う。今という瞬間をどう過ごすかによって未来が作られていく。それを実感している彼だからこそのステージングにも見えたし、実際、彼のライヴはポジティヴなエネルギーに満ちている。


音楽を夢見て上京し、ガラガラのライヴハウスで挫折を味わい、声優という仕事に興味を持ったことで道を切り拓いてきた仲村。上京した時に思い描いていた夢とは違うかもしれないけれど、遠回りをしながらも、彼はソロアーティストとしてCDデビューを果たし、ライヴハウスやホールのステージに立っている。


〈子供の頃に描いてた未来が/今は全然違ってたとしても/それは逃げじゃない特別な何かを/新しく見つけたんだよ〉〈何回だって落ち込んだって/ここまでたどり着いたんだ/僕らならさ まだ前に行けるだろう〉


笑顔で届けた「JUMP」の歌詞が会場を温かく包み込み、たくさんの拳があがった。過去は変えられないけど未来は変えていける。目の前にある景色がその証明だ。でも、そんな笑顔や前向きさの奥には、挫折した経験が染みのようにはりついている。それが滲んでいたのが冒頭のシーンで、彼はこれまでのツアーでも「ゆらゆら」を演奏する前に必ず過去を振り返ってきた。ツアーや公演のたびにその話をするのは、仲村にとって忘れられない、忘れてはいけない気持ちがそこにあるからだろう。それも説教臭く語ったりお涙頂戴なドラマにするのではなく、腰を落として、ファンとできるだけ目線を合わせることで、人と人として思いを届ける。その姿がすごく彼らしいと思った。


〈まだ早い 終わるには何も成し遂げてないだろう〉〈なりたい自分に会いに行こう/時は戻らなくても重なるんだ〉


「ゆらゆら」のフレーズが胸を打つ。なりたい自分に会いに行ったから出会えた景色がここにある。それを噛みしめるような時間だったし、何度でもこの気持ちを刻み直して、その先へとまた時間を重ねていく。そして何より、うまくいかないもどかしさや悔しさを知っているからこそ、彼の歌は聴く人の心に優しく寄り添って、笑顔にしてくれたり一歩踏み出す勇気を与えてくれるのだ。


アンコールでは「自分の遺書みたいなもの。大切にしてることを記した」という新曲「NOTE」を披露し、12月にミニアルバム『変身』のリリースと、ファンクラブが開設されたことを発表した。この先ももっといろんな景色も見せてくれるだろう。この日のステージには、そんな期待しかなかった。

文=竹内陽香


【SET LIST】
01 fist of hope
02 Oh No!!
03 Here comes The SUN
04 かたちにして
05 あなたのこと
06 チョコレート
07 いっせーのせ
08 てこと
09 水槽の花
10 Rain forecast(REGULOS ver.)
11 壊れた世界の秒針は
12 流転
13 わかってちょうだいね
14 Freedom
15 imitation
16 JUMP
17 WINNER
18 ゆらゆら

ENCORE
01 NOTE
02 ナチュラル


NEW MINI ALBUM『変身』
2023.12.13 RELEASE

TOWER RECORDSで購入
Amazonで購入
HMVで購入


仲村宗悟 オフィシャルサイト

SHARE
RECOMMEND
RECOMMEND
CURRENT ISSUE

銀杏BOYZ・峯田和伸の尽きぬ衝動。7年ぶりとなるバンド形態のツアーを終え、久々となるインタビュー!

#銀杏BOYZ
CURRENT ISSUE

-真天地開闢集団-ジグザグ、初のタイアップ曲から見えてくる無自覚な自分らしさとは

#-真天地開闢集団-ジグザグ

中田裕二連載100回突破記念イベント〈大東京ネオントリップ〉のチケット発売日決定!

#中田裕二

〈UKFC〉にsyrup16g、[Alexandros]らが登場。これまでの集大成となった2日間を徹底レポート

#ライヴレポート
WEB ORIGINAL

銀杏BOYZ、実に7年ぶりとなるバンド編成でのツアーを経て、ようやく取り戻したものとは

#ライヴレポート #銀杏BOYZ
LOAD MORE

© 株式会社音楽と人

FOLLOW US
タグ一覧
ライヴレポート / 最新号 / WEBオリジナル / アーカイヴ / 編集部通信 / 怒髪天 / BUCK-TICK / 映画 / 小室ぺいの自由研究 / 言の葉クローバー / DEZERT / NITRODAY / PHY / 音楽と人LIVE / GRAPEVINE / 僕たちプロ野球大好きミュージシャンです! / 中田裕二 / 9mm Parabellum Bullet / MUCC / a flood of circle / THE COLLECTORS / go!go!vanillas / 銀杏BOYZ / フジファブリック / noodles / the pillows / 後輩ノススメ! / Mrs. GREEN APPLE / THE BACK HORN / The Birthday / ヤバイTシャツ屋さん / SixTONES / THE YELLOW MONKEY / BRAHMAN / SUPER BEAVER / ENDRECHERI / UNISON SQUARE GARDEN / 2019年プレイバック&MY BEST MUSIC / KinKi Kids / 忘れらんねえよ / ストレイテナー / 山崎まさよし / ポルノグラフィティ / aiko / The Songbardsの描写探訪 / The Songbards / THE NOVEMBERS / 阿部真央 / Age Factory / Perfume