■登山スタート!
上野さんと松原さんは何度か登山を経験したことがあるんですね。
松原「遠足で登った程度なんですけどね。あと僕の通ってた小・中学校がけっこうな勾配の山の上にあって、通学で山道を歩いてました」
上野「僕は祖父の家の近くにある山を登ったことはあるんですけど、そこまで高い山ではなかったです」
ガッツリ登山は今回が初めてですか?
上野「そうですね。なので楽しみです」
栄秀さんは?
岩田「僕もちゃんとした登山はないです。初詣で山の上のほうにある神社に行ったくらいで」
私を含めこの中に登山の達人はいませんが、あえて自分たちに試練を課そうと思います。高尾山には「1号路」という舗装された初心者向けのルートがあって、大体の人はケーブルカーを使って山の麓にある「清滝駅」に行ってから歩くらしいんです。でも我々はケーブルカーを使わず歩いて行こうと思います!
松原「いいですね! せっかくだし」
岩田「そのほうが達成感もありそう」
ケーブルカーを使わないと、初心者向けとはいえかなり辛いみたいで。みなさんは普段から運動してますか?
岩田「僕は普段からたくさん歩いたり、ジョギングをしてますね」
松原「僕も身体を動かすのが好きで、部活でずっと野球をしてました」
上野「僕は小学生から高校生までサッカーをやってたのと、今でもよく身体を動かしてます」
実は体育会系なソングバーズ。そして、この中で一番運動不足気味なのは自分だと悟った編集・宇佐美。登り始めて数分は生い茂る木々や川のせせらぎに癒されてましたが、体力の差はみるみるうちに浮き彫りになっていきました。
(登山を初めて20分ほど)
……そろそろ休みませんか?
松原「けっこう山道きついですしね。ちょっと休みましょうか」
こんなやりとりを10分、いや5分間隔で行う一行。すべては編集部員の体力の無さが原因です。だんだん申し訳なくなってきて「先に行ってください。あとから追いかけますので」と伝えるも、ソングバーズが仲間を置き去りにするはずもなく、何度も休憩に付き合ってくれました。しかも嫌々休憩するのではなく、休憩中は看板に描かれたクイズに挑戦するなど、こちらに気を遣わせないような配慮まで自然と行う3人。一体どこまで優しいのでしょうか。
(登山を再開)
松原「皓平の格好が全然登山っぽくなくて、登山の達人みたいな人からすると〈山登りなめてるな、あいつ〉って思われてそう(笑)」
上野「ははははは」
岩田「スケボー持ってくる人なんてまずいないよな(笑)」
こんなふうに他愛のない話をしながら歩いていると、目の前の景色が開けてきました。ようやく山の麓にある清滝駅に到着したのです! ここに至るまで、およそ1時間。まだ麓なのに達成感が半端なかったです。
岩田「この写真、俺と有志がユニット組んだ時のアー写にしようか」
ユニット名は何ですか?
岩田「平成インターネッツとか」
全員「はははははは!」
上野「絶妙にダサいのが面白い(笑)」
正直、文字に起こしてみるとなんてことのない会話ですが(笑)、疲労からテンションがハイになっていたのでしょうか。何気ない話でひたすら笑っていた記憶があります。
さらに歩き進めていくと、売店を発見。松原と岩田はビールを注文し「まじで登山なめてる人みたい(笑)」と笑ってましたが、ソングバーズは最後まで涼しい顔をして登っておりました。さすが20代。
こんなふうに、行く先々で気になるものを見つけては記念撮影を敢行。高尾山ビギナーの我々にとって、目に映るものすべてが新鮮だったのです。
そういえば、松原さん今日はかなり撮影してますね。風景だけじゃなくて、上野さんや栄秀さんのことも。
松原「そうですね。レコード会社から独立して、写真とかの素材を日頃から増やしておきたいと思うようになって。カメラを持ち歩くことが多くなったんですよ」
ああ、そういうことか。今回はソングバーズが独立してから初の連載取材ですもんね。
松原「この連載の取材はいろんな体験をさせてもらっているし、普段見られないメンバーの表情を見ることのできる貴重な機会でもあって。独立したことで全部自分たちでやっていかなければいけない大変さもあるにはあるんですけど、今は楽しみのほうが大きいです。これからどんなものを作っていこうかな、どんなことを発信していこうかって考えるとワクワクします」
松原と今後の展望を話していると、いつの間にか階段を登りきっていました。この先が山頂ということで(すれ違う人々の反応からそう推測)、少し緊張感が出てきました。
ついに山頂に着きました! 2時間くらい歩きましたよ!
岩田「イエーイ! 達成感すごいな~」
松原「うわあ、めっちゃ嬉しい!」
上野「見晴らしも最高ですね」
まずは記念撮影しましょう!
さて、景色も堪能したし下山しましょうか。
松原「そうですね」
上野「お腹空いたな……」
蕎麦とか食べたいですね。
岩田「でも山頂のお茶屋さん、全部閉まってる……」
山頂に到着したのは15時過ぎ。茶屋という茶屋はすべて閉まっており、空腹を耐えながらの下山となりました。さらに帰りは男坂と女坂で道が分岐しているのですが、あえて急な階段道が待ち受けている男坂を選択。空腹な上に108段続く階段を登るなんて、もはや探訪ではなく修行。しかし今となってはいい思い出です。
どうでした? 登山をしてみて。
岩田「行きは清滝駅に着くまでが辛かったんですけど、そこを越えたら一気に楽になって。帰りはケーブルカーを使ったことで疲れすぎず、バランスよかったなって思います」
松原「うん。結果的には清々しい」
上野「僕は自分の限界に挑戦したいなって思いました。もっと高い山に登ってみたい」
岩田「登山家としての血が騒ぎ始めた(笑)」
登山というテーマは上野さんと松原さんが前から希望していたことから決めたものでしたが、これにしてよかったなって思います。ソングバーズはもともと仲がいいバンドですが、さらに団結力が高まった気がしません?
上野「そうですね。やっぱり何かを一緒にやり遂げると違いますよね」
あと、たまには身体を思いっきり動かす体験もいいなと思いました。
岩田「俺、今度はあれやってみたいんですよ。ボートで川を下るやつ」
松原「ラフティング?」
岩田「そうそう。あれもみんなで協力してやるやつだし」
(画像検索中)
上野「ああ、面白そう」
松原「俺もやってみたいな。どんな詩ができるのかも楽しみだし」
ちなみに、今回の歌詞は体験前とまた違うものになりそうですか?
上野「そうですね。体験前の歌詞は自然との触れ合いを意識して書いたけど、思ったより自然を堪能するって感じではなかったな」
岩田「ずっと喋ってたしな(笑)」
そういえばみなさんの話が面白かったです。会話のネタは些細なことだけど、疲れていても思わずクスッと笑ってしまうような内容で。
松原「よかったです。ゆるいラジオ感覚で聴いてもらえたら嬉しいですね(笑)」
この面白さを読者の方にも届けたいので、どうかレコーダーが回ってる時もあの調子で話してください。
全員「はははははは!」