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D’ERLANGERがALをリリース。コロナ禍や病を乗り越えたkyoのフロントマンとしての矜持

text by 金光裕史

D’ERLANGERは1983年に結成され、現在のメンバーになったのがその5年後。2年後にメジャーデビューを果たすが、その年に解散。17年後に再結成し、現在まで活動を続けている。最初の2年間があまりにも鮮烈であったがゆえに伝説とされ、また、その強い影響下にあるバンドが多いため、ヴィジュアル系のレジェンド扱いとなっているが、むしろ再結成後は、そういう音楽性を昇華し、歳を重ね、大人の妖艶さや色気を表現するバンドになっている。一度解散し、同じメンバーで再結成したからこそ、ずっと続いているバンドとも違って、何を失ってはいけないか、身をもって知っている。9月13日にリリースされる10枚目のオリジナル・アルバム『Rosy Moments 4D』。前作から4年、この間、バンドにもkyo(ヴォーカル)自身にも、これまでの価値観を変えてしまうほどの大きな出来事があった。しかし唄っている世界観は、昔からまったく変わらない。それは彼が、D’ERLANGERのヴォーカリストであることへのプライドでもある。



(これは『音楽と人』2023年10月号に掲載された記事です)



このアルバムに収録されている新曲は、もうライヴで披露しているんですよね?


「そうですね。収録曲の中で、5曲はもうやってるかな。そもそも今年の春にはリリースしようみたいな話だったんです。でもいろいろありまして(笑)、9月に延期になったんですけど、もう何曲かあるから、ライヴでやっちゃおうと」


じゃあレコーディングは余裕でしたね。


「いや(笑)。ライヴやったり、その準備しながらスタジオ入って、新曲詰めたりしてたら、いつもと同じようにバタバタになりました。これはいくつになっても変わりません(笑)」


そしてこの『Rosy Moments 4D』は、前作から4年ぶりのアルバムになります。本当にいろんなことがあった4年間でしたが、kyoさんは振り返ってみて、どう思いますか? 


「そうですね。コロナ禍で度重なるツアーの延期、そして自分の病気……よくこんなに想定外の出来事が続いたな、と思いますよ(笑)」


でしたね。まずはコロナで、ツアーの中止・延期が重なって。


「どのバンドもそうだったと思いますけど、こんなことになるとは思いもしなかったですね。だから最初、めちゃくちゃ戸惑いました」


収入が失われるわけですからね。


「もちろんそうですけど、それはTetsu(ドラム/事務所の社長を兼任)がいろいろと考えてくれてました(参照:D’ERLANGERのドラマーと個人事務所の社長。2つの顔を持つTetsuが語る苦悩と葛藤)。僕はむしろバンドのスタンスというか、この状況でどうあるべきかが心配で。ライヴハウスが使えないならしょうがないけど、人数の制限やいろんな声はあっても、守ることを守ってやれるなら、ライヴを続けよう、と決めてましたね」


あの当時、ライヴは軒並み中止か延期で。どうにかしてライヴをやろうと動いてたのって、D'ERLANGERくらいですからね。


「だから、よく道を切り開いてくれた、って感謝されたりもしますけど、そんなつもりはなくて、それ以上に、動かなきゃ何も始まらないと思ってたんですよ、ツアーで全国を廻って、ファンの反応を確かめながら曲を形にしていって、その手応えをもとにまた曲を作る。古いと言われようが、そういうやり方しかできないんで。自宅で録ったデータをやり取りして、新曲作ろうなんて発想、誰もなかった(笑)」


ははははは。


「お客さん入れて配信もやってはみたけど、なんか違う(笑)。僕たちにとっては、会場でのダイナミックな臨場感が大切だし、必要なんだなって」


あとkyoさんは、21年、肺に腫瘍が見つかって入院。ツアーを延期しました。


「そうでしたね。でも不安はあんまりなくて。むしろ、ようやくコロナ禍が落ち着きつつあって、ツアーが順調に進みつつあったのに、それができなくなる悔しさのほうが大きかったですね」


不思議なのは、バンドとしても、個人としても、そこまで大きなことがあったら、次の作品には、死生観や唄える喜びみたいな、多少なりともそれを意識した歌詞が、具体的に表れると思うんですよ。でもそれらを乗り越えた4年ぶりのアルバムで、kyoさんの書いている歌詞は、徹頭徹尾D'ERLANGERのフロントマンとしてのものなんですよね。


「はははははは! そうだね、確かに」


美学に裏打ちされた世界観で、拍子抜けするくらい変わってない(笑)。


「僕、そういうのを意識しないんですよ。過去にこういうことがあったよねっていうより、今こうだから、ってことのほうが大事になっちゃうタイプで」


じゃあ、病気が発覚したばかりの頃、今の気持ちを形にしておこうとか、吐き出したいとか、そういう気持ちにはならなかったですか?


「特にはないです。散文みたいな文章は書き留めていましたけど、いざ新曲が出てきて今のモードになると、曲に言葉があてはまらないことのほうが多いんですよね。D'ERLANGERのkyoとしてどうあるべきか、どんな歌詞を唄うべきか、をまず考えてしまうというか」


なるほど。


「確かに肺の腫瘍だし、ヴォーカリストとしては不安もありましたけど、不思議なくらい恐怖心がなかったんですよね。よく聞かれたけど、死生観が変わることもなかったし、生きてるうちにできることはやっておこう、とも思わなかったんです。だって、いつもそうやって生きてたつもりだし」


後悔なんてない、と。


「うん。そもそもD'ERLANGERを再結成したことが、そういうことですから。若い頃、僕が加入して2年であっという間に解散。その負い目みたいなものも多少あったけど、後悔したくないから再結成したわけですよ。初めは〈今度はいつまで続くの?〉ってよく揶揄されましたし、ずっと続けようって4人で約束したわけじゃないけど、続けていく中で、これは絶対に手を離しちゃいけないものだって、みんなわかってきたんでしょうね」


それがわかってきたのは何故だと思いますか?


「再結成して、いろいろあって独立して、自分たちでいろんなことをやってきたからじゃないですかね。デビューした時って、たくさん大人が周りにいて、すごく大きなものを動かそうとしてくれていて。それはそれでメジャーというものを知ることができたし、いろんな経験もできたんですけど、今のほうが楽しいんですよね。何をやらなきゃいけないか、がよくわかるので、すべて納得して物事を進めることができてるんですよ。いちばん大変なのは社長のTetsuだけど(笑)」


そうでしょうね。


「ご存知だと思いますけど、僕より彼のほうがバンドマン気質じゃないですか。もともと。そんな彼が、ツアーの打ち合わせして、日程決めて、売上の数字見て、物販の準備までしてるわけですよ」


この取材のプロモーションも、仕切りもTetsuさんですからね。


「僕らが気持ちよく動けるようにそういう役回りをやってくれてるんですよ。おそらくは僕らの、バンドマンとしてのプライドやダンディズムみたいなものを傷つけないように。だったら僕らは、彼が納得できる、カッコいいバンドマンとしてのパフォーマンスを見せなくちゃいけない。お互い何も言わないですけど、3人はそう思ってますよ」


なるほど。


「あと僕にとって、CIPHER(ギター)とTetsuとSEELA(ベース)は、出会った時からスペシャルな存在でしたからね。ロックスターとして輝いてた。僕だけ凡人だった」


そんなことないですよ。いい人だ、ってことは誰もが認めますけど(笑)。


「ははははは。いや本当にそうなんですよ。根が普通なんです。メンバーが2時間遅刻して平気なのに、俺だけ15分早く着いて待ってる、そんなタイプ(笑)」


ははははは。


「そんな3人に振り落とされないように、必死でカッコよくなろうとして、フロントマンとして期待に応えようとしてきた。でも今は、この3人と楽しめることを見つけて唄えてるんですよね。負けないように頑張んなきゃって思ってたのが、追っかけながら成長していけばいいとなり、それが再結成してしばらくして、ようやく、自分にもこれくらいの武器はあるんだから、伸び伸びやれば対等に向き合えるんじゃないか、と思えるようになって」

みんなバンドを始めても、我慢できなくなって途中で終わらせちゃう。その先にあるものなのにね

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