• HOME
  • RANKING
  • NEWS
  • INTERVIEW
  • COLUMN
  • QLAP!
  • MAGAZINES
  • BOOKS
  • ABOUT
  • HOME
  • RANKING
  • NEWS
  • INTERVIEW
  • COLUMN
  • QLAP!
  • MAGAZINES
  • BOOKS
  • ABOUT
INTERVIEW
  • #アーカイヴ
  • #吉井和哉

【特集】吉井和哉20th × 音楽と人 | AL『VOLT』INTERVIEW(2009年4月号)

また氷河期は来ますから、人間だから。でもその時に自信をなくすべきではないというのは学習した




そこまで割り切ってたと。さっきの〈ダサくない駄作〉の中に、自分のルーツを出すのがつながっているということですか。


「ですね。じゃあ逆に、これを音楽をやりたての子たちはできないだろうし。ただ、曲構成で古臭くなく聴かせることもできるはず。そういうのは気を遣いました」


うん、わかります。で、「フロリダ」ではBBキング、「ウォーキングマン」ではニルヴァーナの名前も。


「でもバンドのことじゃなくて。書いてあるでしょ?」


注意書きが。いや、でも〈間違えて引いたのさ引き金〉って、これは……。


「ほんとだね」


(笑)「ほんとだね」じゃないですよ! で、次の「ノーパン」なんか、タイトルからして、どんだけふざけた曲なんだろう?と思ったら——。


「そうでしょう? これはね、生まれて初めての詞先です。実は『〜BLACK HOLE』の時の歌詞ですね。それになんとなく鼻歌で曲をつけてったら、中途半端で歌詞が終わってるんで、どうすっかな?と思って。〈よし、こっからニール・ヤングみたいに変えてしまおう〉って(笑)。で、〈ステレオ過ぎる世の中〜〉と」


ニール・ヤングの「ライク・ア・ハリケーン」的な、怒涛のギターが入る感じですね。


「そうそうそうそう(笑)」


そういう昔のストックが復活した曲は?


「えーと、〈ヘヴンリー〉がそうですね。〈魔法使いジェニー〉も『〜BLACK HOLE』の時の曲。こんなに元気な曲あったんですよ。やらなかったんですよ(笑)」


へー! 何でですか?


「知らん! 凍ってたからだよ、ずっと(笑)」


そうですかー(笑)。しかし魔法使い自体、モチーフとして懐かしいですよね。


「懐かしいね。最初〈ジェニージェニー〉だったんですけど、そっちのほうが古いでしょ?」


時代的に、手前に寄せたんですね。


「そう、そこなんですよ! 〈ジェニージェニー〉のほうは中途半端にロックにしようとしてる。〈魔法使いジェニー〉のほうが俺のロック感は爆発する!(笑)」


しかし氷河期時代、こんな精神状態が明るい日もあったんですか。


「明るい日もあったんだよ! そんな毎日、べつに暗かったわけじゃないけど、なんか……こっ恥ずかしかったんじゃないですか。そのー……わりと能天気な曲だしね」


これこそ最近できた曲ではと思ったんですけどね。前作の「Biri」がこうだったし。


「当時のハードディスクレコーダーがあって、この曲のあとに〈I WANT YOU I NEED YOU〉が入ってんの。1週間ぐらいしか差がないんですよ……あ! いま面白いこと思い出した! ……〈Biri〉も『at the BLACK HOLE』の頃の曲!」


あ、そうなの!?


「だからあの時は四つ打ちがやりたかったの! きっと。でも、できなかった。〈FINAL COUNTDWN〉もそうだったし……。どんだけ四つ打ち作ってんだろうね(笑)。ユーロビート・オムニバスかお前!っていう」


(笑)あと、僕がアルバムの中で一番好きなのは「ONE DAY」なんですが。


「うん。大人だからだよ(笑)。これは俺のおばあちゃん子なとこが出てるでしょ?」


おばあちゃん子ね(笑)。この歌詞はボウイの「ヒーローズ」が根っこにあると思ったんです。


「うん、俺はこの曲はちょっとビリー・ジョエルみたいだなあと思ってたんだよね。あと、サビはフーみたいだなと。で、最初作った時からワーンデイ!って唄ってたんだけど、あとからこれは〈ヒーローズ〉みたいだなって思って。で、デヴィッド・ボウイの〈ヒーローズ〉の歌詞にqueenはなかったなぁと思って。でも……あるらしいんだよね(笑)(註:ボウイ曲ではkingもqueenも出てきます)」


曲調もサウンドも言葉もあたたかくて力強くて。今の吉井さんならではのロックですよ。


「そうですか。隠れ名曲ですね」


(笑)隠さなくてもいいじゃないですか! それに今回も、夢とか愛とか希望とか、今の時代に難しいものを唄おうとする感じもあるんだなと。


「うん、まあでも自分を励ましてるんですけどね、案外。〈ONE DAY〉だって、人を励ましてるふうに唄いだすけど、ちゃっかり途中で〈この願いが叶うといいな〉って自分を唄ってるし。みんなで幸せになろうよっていうのはありますね」


一方で、思い悩んでる姿もありますよね。


「あ、ほんとに? でも見えてないよ、今は。それはメッセージとして唄ってるだけで、自分のことを切々と、日記のように唄ってはいないんですよ。〈SNOW〉も悩んでる自分の曲みたいに聴こえるかもしれないけど、実は違います。〈こういう人いるだろうな〉って。まあ、もちろん、自分も経験したから、そういう気持ちがわかるんですよね。昔の悲しい歌——〈CALL ME〉みたいなのとは違うんだよね」


でもそうしてみると、氷河期の経験や積み重ねが今いろんな形で作品の厚みになって出てきてますね。


「ほんとにマグマが噴火してんじゃないですか? 一生懸命、酸素層を作ろうとしてるんじゃないですかね。氷河期って、何万年も凍ってて、マグマが爆発して、噴火して、海ができて、酸素層がそれでできたんですよ。それでこうやって生きられる状態になったらしいんです」


今までその酸素層は、あまり……。


「そう、薄かったですねー!(笑)」


その、呼吸困難で苦しむ吉井さんを見るのは——。


「楽しかった?」


あははは! ぶっちゃけ楽しかったし、でもその切実さがリアリティを伴ってたと思うんですよ。まあ作るほうは痛いだろうけど……。


「そうですね。たしかにそれはありますね」


じゃあ今は、痛みから音楽が生まれる感覚とは――。


「違いますね。もちろん突き詰めていけば痛みなんでしょうけど。でも……今は聴いてくれる人のために作るというところも、すごくあるし。前は〈聴いてくれる人なんかいるか!〉と思って作ってましたからね」


うーん、そこも成長したところですよね。


「そうですかね。今回ね、自分にとって一番わかりやすいのは、油絵で富士山を描いてるんですよ、小学校6年の時に。これがもし自分がイエローモンキーの時だったら、誰にも言ってないですよ。恥ずかしいもん! 油絵で富士山を描いてるんですよ、静岡で? こん〜な長髪でキラキラの衣裳着てる奴が富士山描いてんの!」


そうですねー! あはははは!


「笑いすぎだよ!」


わ、笑わしてんの吉井さんじゃないすか!


「ははははは!! ね? そんないい子! あんなルックスなのに! それが言えなかった。でもね、今回それをあえて〈これがカッコいい〉と思ってやってるんですよ! 〈や、描いてて偉かったなあ和哉少年〉! キレ〜イに30年前なんですよ! 12歳だから」


あー、そうかそうか!


「だから……これは自分にとって成長だし。これをジャケットにできて、それが今までのジャケットで一番カッコいいと思えるっていう。これには静岡から上京という意味も入ってるし、噴火もあるし、雪もあるし」


当時どんな気持ちで描いたんですか。


「いや、もうただ単に〈富士山が描きたい!〉と。富士山、好きなんですよ。だから〈CALL ME〉の時は富士山の麓に行ったわけですよ。で、都会に来たっつって、ビルマニア!とか言ってんだけど、アルバムのジャケットは富士山なんです(笑)。だから俺はそういう意味で、ほんとにすごい弱いんだと思う。というのは、〈山で生きられなかったんじゃんお前〉っていう。1回忘れたくせに、都会はもういいって言ったくせに……山で生きられなかったでしょ? だから、いさぎが悪いんですよ……ま、そういう運命だったんでしょう(笑)」


やっぱり居場所は都会だったっていう。


「(うなづく)……俺はもう引退しようと思って、ローカルにインディーズでCD作りたいんだって思ってて、引っ越したわけです。でも、そうできてないわけです」


引き裂かれちゃってたわけですね。


「自分の理想とね。でも自分もやっぱり、そっちが良かったんだろうし。逆に今は、山に行こうと思えば行けるし、都会にも行ける。琵琶湖にも行けるし、アメリカにも行けるし。それは自由に音楽をやりたいからだしね」


うんうん。いやあ、このアルバムにはヒットしてほしいですよ! ここまで氷河期で苦しんできたぶん、いってもらいたいです。


「でも、また氷河期は来ますから。それは人間だから、違う種類のね。でもその時に自信をなくすべきではないということは学習しました。そん時に作ったのものも、ちゃんと、いいんだと。どんな目に遭っても、作り続けなければいけないんだろうなと思いますね。ほかにできること、ないんだから(笑)。多方面で才能はないので……。ほかのことやるんだったら釣りに行きたいです」


つ、釣りってそんなにいいんですか?


「ワクワクしますよ! もう、アタリが来た時とかすごいっすもん、アドレナリンが! だってさ、アメリカにレコーディングに行くのだって、ワクワクしたいから行くわけ! それがロックだと思うし。その1ヵ月半の間、女を断ってでも行くわけ!」


おおー(笑)。


「……まあ〈金髪のキレイな人に出会えるかも〉とかもワクワクするでしょ? 出会えないんだけど(笑)」


(笑)で、今度のツアーは〈宇宙一周旅行〉。


「よく〈人間の身体は宇宙だ〉って言うじゃないですか。みんなで自分自身の宇宙を一周しよう、みたいなのもあるし。見た目もいい感じだし。『〈宇宙一周旅行〉のチケット取れたー!』みたいな(笑)」


(笑)で、ブラックホールもあるかもだけど……。


「ホワイトルームもあるかもしれない。噴火しますよ!」


頼もしいです! ……あ、ツアーの中に琵琶湖ホールというのもあるんですね?


「『at the 琵琶っ湖ホール!』……これで締めてください(笑)」



文=青木優
写真=太田好治


吉井和哉
ALBUM『VOLT』
2009.03.18 RELEASE

01 ビルマニア
02 フロリダ
03 ウォーキングマン
04 ノーパン
05 ヘヴンリー
06 魔法使いジェニー
07 SNOW
08 ONE DAY
09 ルビー
10 またチャンダラ

https://www.yoshiikazuya.com/discography/detail/18/

■TOWER RECORDSで購入


〈ソロデビュー20周年記念 NEWS!〉

■吉井和哉展「二◎」(ニジュウマル)リリース決定!
収録曲、ジャケット写真が公開されました。詳細はオフィシャルサイトをチェック。


■吉井和哉展「二◎」(ニジュウマル)が東京ガーデンシアターにて開催!
ソロデビュー20年の前日9月30日と当日10月1日の2日間にわたる大規模展覧会。

◎イベント詳細はこちら
https://www.yoshiikazuya.com/feature/20th_event


吉井和哉オフィシャルサイト
吉井和哉 ソロデビュー20周年特設サイト

1 2
SHARE
RECOMMEND
RECOMMEND

加藤ひさし(THE COLLECTORS)自伝『イギリスカブレ』重版記念、トークライヴ開催!

#THE COLLECTORS

【連載】言の葉クローバー/兼丸(the shes gone)が『コーダ あいのうた』のセリフから受け取ったもの

#the shes gone , #言の葉クローバー

ヤバT、初の単行本。大好評だったサコッシュとのセットが志摩スペイン村でのライヴで復刻販売!

#ヤバイTシャツ屋さん

WEST.主演映画『裏社員。-スパイやらせてもろてます-』。瑠東東一郎監督が語る7人の魅力と撮影秘話

#WEST. , #映画
CURRENT ISSUE

lynch.結成20周年の節目に語るVo.葉月の歩み。何者でもなかった青年がlynch.のフロントマンになるまで

#lynch.
LOAD MORE

© 株式会社音楽と人

FOLLOW US
タグ一覧
ライヴレポート / 最新号 / WEBオリジナル / アーカイヴ / 編集部通信 / BUCK-TICK / 怒髪天 / 映画 / 小室ぺいの自由研究 / DEZERT / 言の葉クローバー / NITRODAY / PHY / 僕たちプロ野球大好きミュージシャンです! / 音楽と人LIVE / GRAPEVINE / THE COLLECTORS / 9mm Parabellum Bullet / MUCC / 中田裕二 / a flood of circle / noodles / フジファブリック / go!go!vanillas / the pillows / THE BACK HORN / SixTONES / 銀杏BOYZ / Mrs. GREEN APPLE / The Birthday / BRAHMAN / 後輩ノススメ! / ヤバイTシャツ屋さん / ENDRECHERI / UNISON SQUARE GARDEN / SUPER BEAVER / ストレイテナー / KinKi Kids / 吉井和哉 / 2019年プレイバック&MY BEST MUSIC / 忘れらんねえよ / The Songbardsの描写探訪 / The Songbards / 山崎まさよし / THE YELLOW MONKEY / aiko / ポルノグラフィティ / メリー / 社歌を作ろう! / THE NOVEMBERS