• HOME
  • RANKING
  • NEWS
  • INTERVIEW
  • COLUMN
  • QLAP!
  • MAGAZINES
  • BOOKS
  • ABOUT
  • HOME
  • RANKING
  • NEWS
  • INTERVIEW
  • COLUMN
  • QLAP!
  • MAGAZINES
  • BOOKS
  • ABOUT
INTERVIEW
  • #アーカイヴ
  • #吉井和哉

【特集】吉井和哉20th × 音楽と人 | AL『39108』INTERVIEW(2006年11月号)

吹っ切れた。もう、すべてを手放そうと思った。そう決めたら楽になった。持ちすぎだったの。今まで



で、実は去年の年末、編集部で『音楽と人』の表紙を並べてみた時に「吉井さんって、やっぱりカッコ良さが違うね」って話になったんです。


「(笑)……たしかにね。あのー、スタジオのアシスタントとかのほうが、よっぽどカッコいい奴いますよ。カメラマンの卵とかのほうが」


そうかもしんないですね。サンボマスターとか、また違うじゃないですか。


「だから……ああいう子が出てきて、すごくいいなあと、もちろん思うし。八頭身だけがロックやるってのは、おかしいと思うし。最近知ったんだけど、ビヨンセって脚が太いでしょ? でも彼女がすごいスタイル良かったら、全然魅力的じゃないし、今っぽくないと思う。だから……ちゃんと今をみんな反映してる人たちが出てきてると思うんです。こないだフェスでKREVAくんとか生で見ても、すごいカッコいいし。スタイルもいいし、しゃべりもうまいし、頭もいいし。でもロックはやらないわけ。だから……そうだね」


ね? そうなんですよ。


「つかさ……たとえばね、『天草四郎の役ができる俳優とか、今誰だろう?』って話に、こないだなって。昔はジュリーができたのね。だけど今は『見た目だけではできるけど、その天草四郎のリアリティを伝える、中身のなまめかしさを持った奴はいないんじゃないか』っていう話になって」


なるほどなるほど。わかります~。


「そういう人は減りましたね。もう出てこないかもしれないですよ、勝新太郎みたいな人は。昔はいっぱいいたわけじゃない? そういう人が。俺もすごいセクシーだと思ったし。もう形を変えて出てくるしかないんじゃないですかね。ああいうジャンルのなまめかしい人は」


そういう時代の趨勢の中で、吉井さんはどうやってサヴァイヴしていこうと思います?


「うん、それは……そういうなまめかしさを持ってると思うし。つか、もう生い立ちがそうだし」


あ、はいはい。


「親もそうだし。僕は親が大衆演芸やってた、ドーランの匂いのするサラブレッドだから。まあ人がそれを気品だの言ってくれたりするんですけど……いいんじゃないすかね? そういうのって」


それを背負って生きていくと。


「うん。喜んで引き受けたいなあと思いますね」


そうですか。しかし去年2月にお話を聞いた時もでしたけど、言葉にムリがなくて正直ですね。


「……去年のあの時と、今年のここに来るまで、大っ変だったんですよ! いろんなことあって(笑)」


そうだったんですか?


「(スタッフに→)ね? 細胞が、血が全部入れ替わったぐらいのもんだよね?」


あの、さっきの〈40代もこのしんどさが〉という不安は、少しは残ってるんじゃないですか。


「いや、今はもう全然!」


ない? ほんとに吹っ切れたんですか?


「吹っ切れた! だから稲妻が落ちてきたの!」


い、稲妻が~……ほんとに?


「もう、すべてを手放そうと思って。そう決めたら楽になった。持ちすぎだったの。今まで。それが欲しくて手にしようとしてたんだけど。すべて、いっぱい手に入っちゃった。持ちすぎですよ」


ふぅーん……でもずっと抱えてたものって、大切なものじゃないんですか。


「大切ですけど、人が要求する以上に応えようとしてた……背負ってた部分もあると思うから。大切ですよ。みんな大切。全部大切です。だから気の持ちようなんですよ。さっき言ったように、お寺の捉え方もそうですよね。悩みなんかないですよ……もはや。ないはずだと思ってます」


えーと、アルバムでは〈悩んでないと生きられない〉(「ポジネガマン」)と唄ってますよね。


「そう! だからって今『悩みがない』と言いましたけど、ないわけじゃなくて。悩みはいくらでもあるんだけど、悩み方が違うというか……。悩んでても、ほんとしょうがないし。何食べようか悩んだりはしますよね(笑)」


そういう次元の話じゃないです(笑)。しかし何だかんだ生きていくと、ついつい……。

「悩んでしまいますよね。就職とか……この本を読んでる人でも、彼女のこととか。〈じゃあ何で悩むんですか?〉って話です。煩悩なんですよ」


煩悩? 煩悩なのかなあ、それ。


「じゃあ何ですか?」


マジメに生きようとすると悩みにブチ当たるのかなという気がしますね……煩悩とまったく逆のこと言ってますね、俺。


「……(笑)」


いや、逆のようで、同じ意味な気もする。


「うん。なんか……悩みごととか、ある?」


マネージャー氏「……いや、何かはありますよ」


「あ、そう? 身体? 子供のこと?」


マネージャー氏「いやいや、とくに仕事のことだと思います」


「ああ、うまくいくかどうか? 俺のことか?」


マネージャー氏「いやいや(笑)。いろいろと段取りがうまくいくのかって。悩みじゃない、不安かな? これ」


「段取り? それに失敗するとどうなるの?」


マネージャー氏「迷惑がかかるのが怖いなと」


「誰に? メーカー? 社長?」


マネージャー氏「いや(笑)……誰か、人なんですよね」


「人じゃん! うん、人なんだよ!」


えっ? はい。


「だから〈いろんな人に迷惑がかかるかもしれない〉っていう人って、けっこう多いと思うんですよ。関っ係ないですよ、全然! だって周りの人はそんなふうに思ってないですよ、きっと」


えー。そうですかね?


「と思いません? 〈お前が考えてるほど、俺はそんなにお前のこと気にしてないよ〉ってこと、あるじゃないですか(笑)。そういうケース」


ああ、んー……そうかもしれないですね。でもみんな人と人の中で生きてるわけだから、どうしても人に対して思いが行っちゃいますよね。


「そうですね。バランスがありますよ、やっぱり。まったく気にしない人と、気にする人と」


だからこんな話をしてること自体、やっぱり人に気遣いする人間だからだと思うんですよ。


「そうっすね」


アルバムでは、自分の周りの人のことを唄いながら、〈だけどLONELY〉って孤独感も唄ってますよね(「LONELY」)。


「うん。人と人は出会うべくして出会うなあって思うんですよ。それですごく……まあ、ここでその言葉を遣うのは卑怯かもしれないけど、それで大人になっていくし」


うん、うん。


「やっぱり……僕はどうしても〈死ぬこと〉ってのが最後の卒業だと思ってて、人生の。そこに向かっていろいろ学習していくんだと思っているし。悩んだり迷ったりするのは、生きてるこそだし。途中だから悩んでて当たり前だと思うんですよ。この悩みがなくなったら、ほんとに死ぬしかないわけ。悩むために生かされてると思うし。〈BEAUTIFUL〉で唄えてるように、その……ささやかな菓子パンであるとか、ささやかな散歩であるとか、ささやかな光であるとか、そういうものがやっぱり大事だし、うれしいし。そういうアルバムだと思います」


うん。きっとそれは切迫した中でほんとに感じた感情なんだろうなと思います。


「うん、そうですそうです。〈満月がものすごく俺に何か言ってる!〉って時が去年はあったの。オオカミじゃないんだけど(笑)、そういう自然のものですら、こう、刺さってくるというか。〈うわーっ、何? この満月は!〉〈何で俺、今年はこんなに満月を見るんだろう?〉って。だから〈MY FOOLISH HEART〉って曲もできたと思うし。なんか……その満月に、生きている1ページを感じたんですよね。〈うわ、こんなにキレイなものを見せてくれるんだ〉と思ったし。逆に言ったら〈こんなにキレイに見えるんだ、今は〉という。月の光すらも」


心理状態が違うと、そうも見えないですもんね。で、稲妻で変われて以降は、いいんですね。


「そうですよ。満月がもっとキレイに見えるとこに行こう。だけど俺はツイてる! ほんとツイてる。ほんとにいい人ばかりに出会う。だまされたことないし、ほんとイヤな目にも遭ってないし。ほんとに……円満に終わりますね、いろいろ。周りはすごいイヤかもしれないけど(笑)」


視界が開けていきそうで、いいですね。


「来年また、どうなってるか知んないけど。〈あれ~?〉みたいな(笑)。(畳にうずくまりながら→)『出たくない……』みたいなね(笑)」


ん、んーと(笑)、じゃあツアーはどうなるんでしょう? アルバムのトーンとフェスティバルのハジけようで、どんな姿になるか見えづらいんですが。


「ははははは! 孔雀でしょう、孔雀!(笑)」


艶やかなんですか?


「違う違う(笑)。いや、ていうか、そうだな……よく思うんですけど、最近。曲にもう呑み込まれないというか。もう、いろんな曲がチョイチョイ……とはできないけど、カバーとかもけっこうやろうと思ってるんですよ。もう過去の楽曲でも何でもいいですけど、全部がバランス良く、全部が同じようなかわいさでできると思うんです」


じゃあイエロー・モンキーの曲も?


「やりますよ。気が向いたら」


あ、気が向いたら(笑)。


「〈唄いたい〉と思った曲をやります。ムリにはやんないですけど。で、〈やっぱこいつ、モンスターだな〉って思うと思いますよ」


おーっ! それはすごい! 楽しみですね!


「いや、わかんないけど。どう思うかはね(笑)」


(笑)急に弱気になんないでくださいよ~。


「でも、そうすね……ものっすごい唄いながら会場を支配してるって感じたことがあったの。イエロー・モンキーの全盛期に。たとえば武道館だとか横アリだとか、ほんっとに(会場の)角のところまで指が入って、グウーッ!!て全部つかんでるような。〈もう絶対動かさん、お前たち!〉みたいな、そういう支配力があった時があって。今そういう感じですけどね、気持ち的に」


うわー! それはすごいパワーですね。


「この状態が保ててれば(笑)。11月まで」


いやいや、期待しますよ。シンガー・ソング・モンスターを!


「はい、ぜひ。シンガー・ソング・モンスター、期待してください」



文=青木優
写真=笠井爾示


吉井和哉
ALBUM『39108』
2006.10.04 RELEASE

01 人それぞれのマイウェイ
02 LIVING TIME
03 LONELY
04 黄金バッド
05 ポジネガマン
06 HOLD ME TIGHT
07 I WANT YOU I NEED YOU
08 WEEKENDER
09 ALL BY LOVE
10 BEAUTIFUL
11 恋の花
12 BELIEVE

https://www.yoshiikazuya.com/discography/detail/23/


〈ソロデビュー20周年記念 NEWS!〉

■吉井和哉展「二◎」(ニジュウマル)リリース決定!
収録曲、ビジュアル、商品形態などの詳細については後日発表予定。


■吉井和哉展「二◎」(ニジュウマル)が東京ガーデンシアターにて開催!
ソロデビュー20年の前日9月30日と当日10月1日の2日間にわたる大規模展覧会。

◎イベント詳細はこちら
https://www.yoshiikazuya.com/feature/20th_event


吉井和哉オフィシャルサイト
吉井和哉 ソロデビュー20周年特設サイト

1 2 3
SHARE
RECOMMEND
RECOMMEND

加藤ひさし(THE COLLECTORS)自伝『イギリスカブレ』重版記念、トークライヴ開催!

#THE COLLECTORS

【連載】言の葉クローバー/兼丸(the shes gone)が『コーダ あいのうた』のセリフから受け取ったもの

#the shes gone , #言の葉クローバー

ヤバT、初の単行本。大好評だったサコッシュとのセットが志摩スペイン村でのライヴで復刻販売!

#ヤバイTシャツ屋さん

WEST.主演映画『裏社員。-スパイやらせてもろてます-』。瑠東東一郎監督が語る7人の魅力と撮影秘話

#WEST. , #映画
CURRENT ISSUE

lynch.結成20周年の節目に語るVo.葉月の歩み。何者でもなかった青年がlynch.のフロントマンになるまで

#lynch.
LOAD MORE

© 株式会社音楽と人

FOLLOW US
タグ一覧
ライヴレポート / 最新号 / WEBオリジナル / アーカイヴ / 編集部通信 / BUCK-TICK / 怒髪天 / 映画 / 小室ぺいの自由研究 / DEZERT / 言の葉クローバー / NITRODAY / PHY / 僕たちプロ野球大好きミュージシャンです! / 音楽と人LIVE / GRAPEVINE / THE COLLECTORS / 9mm Parabellum Bullet / MUCC / 中田裕二 / a flood of circle / noodles / フジファブリック / go!go!vanillas / the pillows / THE BACK HORN / SixTONES / 銀杏BOYZ / Mrs. GREEN APPLE / The Birthday / BRAHMAN / 後輩ノススメ! / ヤバイTシャツ屋さん / ENDRECHERI / UNISON SQUARE GARDEN / SUPER BEAVER / ストレイテナー / KinKi Kids / 吉井和哉 / 2019年プレイバック&MY BEST MUSIC / 忘れらんねえよ / The Songbardsの描写探訪 / The Songbards / 山崎まさよし / THE YELLOW MONKEY / aiko / ポルノグラフィティ / メリー / 社歌を作ろう! / THE NOVEMBERS