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山中さわお、ソロツアーがスタート! 新作に込めたメッセージと、この3年間、抱えてきた思い

text by 金光裕史


山中さわおが、1年ぶりとなるアルバム『Booty call』をリリースした。前作、そしてここ最近のライヴに参加している木村祐介(ArtTheaterGuild/ギター)、安西卓丸(ex:ふくろうず/ベース)、関根史織(Base Ball Bear/ベース)、楠部真也(Radio Caroline/ドラム)というメンバーを揃えたせいか、非常にバンドとして固まってきた印象。そして怒りや衝動よりも、彼の内面がにじみ出たような曲が多く、生々しい。ここ3年の空気がもたらしたもの、今の考え、ピロウズについて。そしてこれからの活動について、いろいろ話を聞いた。



今年1月にピロウズの〈RETURN TO THIRD MOVEMENT! Vol.4〉ツアーが終わって、そこからこのアルバムの制作に入った感じですか?


「いや、去年の夏ぐらいからやってました」


そんな前から作ってたんだ?


「そう。去年のソロツアーが終わって、〈ここからしばらく会わないの、寂しいよね〉って感じで、目的なしにとりあえずバンドメンバーと集まって、今回のタイトル曲の〈Booty call〉を録って。俺は相変わらず休日を必要としない人間なので、ピロウズのツアーが終わったら、ちょうどいいタイミングでソロのツアーが始まってほしい、と考えるわけですよ。でもツアーをやるってことは、ニューアルバムがないとみんな俺と遊んでくれないんじゃないかと思って(笑)。それで、ピロウズのツアーの合間に曲を作って、レコーディングを繰り返して、10曲溜まったらアルバムにしようと思ってたんだけど、けっこうギリギリの完成となってしまい(笑)。やっぱりピロウズのツアーの合間というのもあったし、バンドメンバーのスケジュールもあるから、意外と時間がかかってしまったという」


今回のレコーディングメンバーは木村祐介と安西卓丸、関根史織とドラムが楠部真也となっておりますが、この面々と「まだまだやりたいよね」という感覚から制作が始まったと。


「そう。俺ってすごく健全なミュージシャンだと思うんですよ。とにかくアルバムを作ってツアーをやる。これを永遠にやりたい。だから隙間はいらない(笑)」


このメンバーと、去年ツアーをやった時の感触が良かったわけだ。


「もちろん。やっぱり音楽的な面は大前提だけど、ツアーを廻るとなると、やっぱり気の合う人とやりたいので人間的な相性も必要で。最初にソロを始めた時、『DISCHARGE』とか『退屈な男』は、いろんなプレイヤーを呼んで作ってたんだけど、今は〈この曲はあのベーシストのプレイスタイルが合うから頼もうかな〉とか、そういうのはなくて。ベーシストは2人いますけど、このメンバーでもうひとつバンドをやってる、っていうのが一番しっくりくる感じ」


そういうバンド感というのも表れてる作品かなと思います。タイトルの『Booty call』というのは?


「セックスを目的とした誘いの連絡、っていう意味の言葉。映画か海外ドラマで知ったんだけど、俺、自分が面白いなと思った言葉を、とにかくネタ帳に書き留めてるのね」


そこにあった言葉だったと。


「そう。この3年近く、ミュージシャンが自由に立ち振る舞えないムードがあったじゃないですか。しかも、俺の場合、その状況にすごく納得がいってなかったので」


そうでしたね。


「理不尽な目に遭ってるな、と思いながらずっと過ごしてきて。その中で、ツアーをやるにあたって、各ライヴハウスの店長やイベンターに俺の考えを伝えて、思うようなスタイルでやらせてもらってきたわけですよ。ある部分は黙認してもらいながら(笑)。その時――これは前から思ってたことでもあるんだけど――バンドと恋愛、ライヴとセックスは、すごく近いものだなと思って。歌詞に出てきますけど、〈行儀の悪い夢を楽しみたい〉〈何としてでも叶えたい願望〉とか、〈いつか手放した理想はここにある〉って、ロックバンドとオーディエンスに対して、メッセージを送りたかったんだよね」


それを表わす言葉が、〈Booty call〉であり、今言ったようなメッセージを込めたと。


「ライヴハウスっていう空間を支配してるものって、俺はすごく動物的なことだと思ってて。無秩序はダメだけど、もうちょっと行儀悪くていいはずで。自分がロックンロールを好きになった時、まだ若者で、自分じゃコントロールできない怪物みたいなものを抱えてて。でもロックを好きになったことによって、その怪物を解放したり宥めたりしてくれて変な方向に行かないで済んだし、ロックが俺の人生を助けてくれたって思ってるのね」


そのロックンロールを、コロナ禍を理由に、世の中が押さえ込もうとしてるのが嫌だった。


「すごく嫌だった。マスクとかアクリル板とか、ここに立ってろっていうマークが嫌ってことより、自由を奪われるというか、奪う権利がない人間が、まるでその権利があるかのように振る舞ってくることが、すごく恐ろしいなと思った。あとロックを、俺はすごく美しいものとして捉えてるから、ちょっと悲しかったんだと思う。もちろん〈思ってたのと違う〉ってことは薄々知ってたけど」


ここまで如実に出ちゃうものかと。


「そうそう。そっか……っていうのはあった。石を投げられても平気なのがロックバンドだろって思ってるけど、結局、石を投げられるのは俺だけだったなっていうか……まぁ、いろいろ戸惑ったよ(笑)」


でもそんな中で、ライヴに来たファンとの繋がりが生み出してるものが、すごく大きなものになっていったところがこのアルバムに出てますよね。「セクレト ヴィスタ」の〈蜂の巣つついて皆んな出てった/キミだけ残って笑ってたんだよ〉ってフレーズとか。


「ああ。そこはあんまりそう思って書いたつもりはないね(笑)。もうちょっと無邪気に書いた。ていうか、自分の中で〈ボクとキミ〉という主人公の曲を作っていくと、普通に出てきてしまうものなんだよね。みんな出てったけど君だけ残った、ってシチュエーションが、たまんないの(笑)」


ははははは。


「たぶん俺、ずっと疎外感っていうのがテーマにあるんだろうね。だからそういう歌詞を書きがち」

今は楽しい曲しかやりたくない。だけど作者は一緒だから着地点がポップでも疎外感が交じってしまう

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