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INTERVIEW
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【特集】吉井和哉20th × 音楽と人 | AL『WHITE ROOM』INTERVIEW(2005年4月号)

自分にとって海は父親の象徴で。何か決意すると海に行って話してた



……じゃあイエロー・モンキーの運命は、今思うと、どうだったと思います?


「いやあっ! そんなこと……(笑)そんなこと、究極やないですか」


あはははは。


「…………うーん……………………イエロー・モンキーに関しては、俺、やっぱりまだ……何だろうな………………何て言うんだろうなあ? もう、血であり、肉だから」


うん。


「もはやなんか、もう…………訳わかんない状態なんですけど(笑)。うん…………でもまぁ…………すごく……あの、だから、何つうの? バンドって、結成してすぐいなくなっちゃうバンドもいるし、なくなってしまうバンドもいるし、ずーっと続くバンドもあるし。ピークを迎えて、10年ぐらいやって、ま、僕らみたいになくなってしまうバンドも。……エアロスミスなんか1回ピーク迎えて……エアロは解散してないか。解散してないけど――」


解散同然だったけど。


「同然だったよね。同然でまた復活して、ま、いろんなパターンがあると思うんですよ。…… ……だけど…………何の話でしたっけ?」


いや、どういう運命のバンドだったと今思いますか、と。


「ああ。うん……そう、だから続くバンドもね、いろんなバンドがあるけども……どれも正解だなって、ヘンな言い方だけど。思うんですよ。どれが一番すごいバンドのパターンかってのは、ないじゃないですか。ずーっと続くバンドがすごいバンドだったら……それはちょっと違うかなぁと思うし……」


はい。


「あと、バンドっていうのは……何て言ったらいいのかな……(小声で→)何でもない(笑)」


(笑)……その先が聞きたいのに。じゃあソロ・アーティストは、どうですか。


「……ソロは、まだなったばっかりだからわかんないけど……いや、今も思うんですよ。〈俺はもしかしてイエロー・モンキーじゃないと何もできないのかな?〉って」


ああ、そうなんですか?


「うん。だから、そういうものですよね、バンドって」


まだ心許ない感じがあるんですか。


「…………何つったらいいんだろうね……人間同士が愛情を持って接してるひとつの集団なわけで。やっぱりそこは、そう簡単に自分の記憶から〈はい、じゃあこれはこれで終わり〉って断ち切れるもんじゃないから」


はい。


「あとね、たとえば僕が27、28の若者だったら、たぶんそんなこと言わないと思うんですよ。やっぱり人間の、ある意味、気力・体力的に絶頂期にね、やってしまった。で、今はもうその折り返し地点に来てると思うんですね」


折り返しって、何の?


「絶頂期からの、気力体力の。もう、あと衰えていくだけじゃないですか」


……寂しいこと言いますね。


「いや、でもそうでしょ? 実際。どんどん体力落ちてるわけですよ。だから……そういう時期にやってたから、そこに戻ろう戻ろうとするじゃないですか、人間って。〈まだ折り返し地点間際だ〉と。もう50ぐらいになっちゃえば、あきらめつくけども。だから……まあ、こういう気持ちなのかなとも思う」


はい……ちょっと寂しい話だな。寂しいけど、事実といえば事実。


「や、そこを受け入れないと、みっともないことになると思う」


あの、そういう自分を受け入れるのって、スムーズにいったもんですか。


「スムーズじゃないですよ~! 今だってツラいですよ。だから……いかに断ち切っていくかですよね。いろんなことを。だから……〈内面がもうしおれてきてるのに、外側だけツヤツヤテカテカしてるんじゃないよ〉って、俺はいつも自分に言い聞かせてるんですよ。そういう人間になるなと。だからもう全部受け入れて、土に帰っていこうぜっていう」


今の言葉面だけ拾うと悲しそうなんだけど……でもそうじゃないと思えるのは、このアルバムに今の吉井さんの〈生まれ変わらなくちゃ〉という意識を感じるからですね。


「うん……そうだね」


だから人間歳をとったり状況が変わったりすると、いろんなものを……それこそ前のアルバムの歌詞(「SPIRIT‘S COMING」)だけど、あきらめたり――。


「そう!」


捨てたりが必要になってくるけども、それでもちゃんと生きていくと。前に進んでいくように頑張んなきゃいけないっていうか。


「うん。っていうか、潔くあきらめた人間のほうが美しいと思ってるんですよね。ま、すがる人間も……あきらめずに、すがる人間もね、それも素晴らしいなと思いますけど。でも、あんまりネガティヴに思ってないんだけど。自分的には」


あ、そうですか?


「うん、そういうことはね、全然。それをネガティヴに思ってたら、たぶん俺、今、今度曲出しても成功してないと思う。成功っていうか、チャートでもいつも上位に上がってて……やっぱり……すごく恵まれてると思うし。その考え方が自分の曲となって、歌となって世に出てるわけだし。それで自分は〈CALL ME〉とか今回のアルバム、全然以前から衰えた作品とは思ってないし。よりクリアに、リアルになってるはずだから。だから……確信を持ってるんだけどね。だってリアリティに関して言えば、僕、イエロー・モンキーよりも全然リアリティがあると思うし。今回のアルバムのほうが」


いや、リアリティありすぎでしょ(笑)。


「ふふふふ(笑)、うん。イエロー・モンキーは違う意味でロックだったけど、今回もすごくロックだと思うし。だから……いろいろあきらめたから、生まれてきた子供なんじゃないかなぁと思うんだけどな」


なるほどね。はい。それから……もうひとつこのアルバムで感じるものがあったのは〈海〉というイメージなんですよ。


「……うん」


「トブヨウニ」でも、最後の「WHAT TIME」でも海が見えるわけですけど――。


「ああ……自分の海の象徴は何かっていうと、父親なんですよ。だから……何か決意すると海が出てくるのね。子供の時からそうなんですけど。何かするとね、親父が出てくるの」


つまり決意のほどが今回は大きかったと。


「そう、かもしんない。まあ、その……ほら、本当は父親に話したいんだけど、『自分はこう思っている』とか、『自分はこう成長したんだ』とか。でも遺影に話してもしょうがないし(笑)。だから海に行って何か話すんじゃないかな」


ああー……。


「過去にもそういう……〈天国旅行〉とかね、イエロー・モンキーでも海はすごく多かった……ですね。困って乗り切ると、海が出てくるっていうか……。あ、〈天国旅行〉は沈んでたな、海に(笑)。普通、〈母なる海〉って言うんだけどね。僕の場合は父なんです」


はい。


「……まあ父親はよく海釣りしてて。で、自分が釣りを始めたのも、たぶん生前父親が釣りをしていたところからじゃないかな。あのー、僕、小学校の時に静岡に引っ越して、引っ越したところの親戚んちの近くに海があって、そこに釣りに行くんですよ。そうすると親父と遊んでる気分になったっていうか。そこでしかコミュニケーションがとれない。で、もう夕方とか、ずぅ~っと海にいたんですよ。それこそ、貝殻に耳当てて(笑)、もう、そういうノリ」


はい。


「だから……海なんですよね。あと父親が死んだ時に、父親が舟に乗って遠くに行ってしまう夢を見て。それもあるんじゃないかな」


そうですか。今、もしお父さんに話せることがあるとしたら、何て言いたいですか。


「ああ~、もう『死んでありがとう』って(笑)」


えっ? ありがとう、ですか。


「いや、ほんとに。怒られちゃうかもしれないんだけど……親父が生きてたら、俺は唄ってないよ……って確実に思うの。まず父親が死んだ時に住んでた東京の北区ってところに、まだ住んでると思う。まだ東京の中にいると思うし。要は、父親が死んでから俺は静岡に引っ越して、そこでバンドを始める奴と出会って、今の自分があると思ってるんですよ。だから違う人生を確実に歩んでるから。ま、さっきの〈キツい冗談を〉……って聞こえるかもしれないけど……ある意味、犠牲になってくれたのかなって思うんです」


そうですか……。


「……そう。だから、だから逆にそのためにも、適当なことができない」


ああ、中途半端なことは。


「うん。中途半端に、見た目だけの音楽の快楽をむさぼっていると、たぶんダメだと」


身を削るぐらいのことをしないと。


「うんうん。だから……だから、うっとうしいんだと思うんですよ、たまに僕の表現は。そういうものを背負ってる気分になってやってるからね。だから……おこがましいけども…………ジョン・レノンの歌とか聴くと……すごく……波長が合ってしまうというか、わかる叫びっていうか……だからジョンも出てくるんですよね(〈WHAT TIME〉)」


そうですね。


「うん。それと同時に、ジョンもほら、また超おこがましいけど……その、解散したあとの個々の苦悩っていうか……それもすごくわかるし、それによってバンドの素晴らしさもわかるし。うん……たぶん、ジョンもポールもバンド――ビートルズが解散して、相当な状態だったと思うんですよね。僕なんか比べもんにならないくらいの重圧というか……があったと思うんだけど。で、みんながビートルズと比べるし。だけど人間だから……成長していきたいからね。各々それぞれ壊さなければいけないものもあって、でも追求するものもあるっていう」


うん……なるほどね。


「うん。だから……もうビートルズってのは、俺は神が与えたものだと思ってるんですよ、人々に。で、ローリング・ストーンズも神が与えたものだと思ってる。それは月とか太陽とか海とか……ベートーベンとかモーツァルトとかと同じぐらいに、今後の人々のために与えたバンドの人っていうの? で、もう〈こういうマジックが起こって、ビートルズはここまで偉大になって、こういうふうに解散して、消滅してしまう〉っていうものまで計算して生み出されたものだと思ってるから。だから……〈バンドっていうのはこういうものです〉っていう、ひとつの……何つうか……」


絶対的な価値基準みたいな。


「そうそうそうそう。〈さ、バンドってこうですけど、あなたどうしますか? やりますか?〉っていう。それはすごく自分がやって、なくなってみて……『ははぁ~っ!』って感じがする(笑)」


「ははぁ~っ!」ですか(笑)。


「『はあ~、やってみたけど、楽しかったし、大変でした!』みたいな」


すごい真実味あるなあ。


「はははは! ……うん、でもそれだけやっぱり、人々を救う何かがあるんだと思うんですよ。バンドって」


今まで生きてきた中でいろんな経験をしていろんなことをやってきた、その1個1個が今の吉井さんになってる感じですね。


「うん……そうかもしんないです」


お父さんは何て言うでしょうね? 今のあなたを見て。


「……何て言うかねえ? ……ああ、『お前が悪い』って」


悪い?


「うん。『お前が悪いんだよ、全部』って……言うと思う。これは確実に。……聞こえたことはある…………そうっすね(笑)。思ったなあ、そん時は」


〈みんな自分の責任だろ〉みたいなニュアンスですか。


「そう…………今の自分を作っているのはね、何年か前の自分だって言うけど。本当にそうだなぁと思いますね」


そうですか。はい……。あの、最後の「WHAT TIME」に〈夢に向かって 気休めだって/いいじゃない心の赴くままで〉とありますが。今の吉井さんの夢って何ですか。


「夢ですか………………そうだなぁ…………音楽的なことで言うと……子供たちをいっぱい作りたいかな。だから自分の音楽を聴いて、自分で音楽を始めて、っていう。子孫?(笑)」


目標とされる存在になりたいということですか。


「目標というか…………さっきのビートルズもそうだけど、ビートルズに影響されて、いろんなバンドができてる。そのバンドからまた影響されて……って、ず~っと永遠に受け継がれてるじゃないですか。だから……自分をしっかり持って、その受け継がれた血を、ちゃんとキレイなまま残したいなってというか。それは〈TALI〉っていう曲もそうだけど。だから……バケツリレーだと思ってるんですよ。……まずいね…………とっとと誰かに渡すことばっか考えてね(笑)。〈バトン渡した?〉(〈NATURALLY〉)とかね」


う~ん、というよりは、渡すものを作ろうとしてるんじゃないかな?


「うん。そう。〈しっかりとギュッとギュッと握りしめ/走るコース〉と唄ってますからね…………いいじゃないですか、こういう極端な奴がいても(笑)」


いや、カッコいいと思います。じゃあ音楽以外の夢は?


「音楽以外の夢ですか? ……そうだなぁ…………………………あ~、村が作りたいなあ。同じだなぁ(笑)」


村が作りたいですか。


「ロヴィン村」


ロヴィン村!?


「ロヴィンソン(笑)」


ロヴィン村(ソン)? あ(笑)、そういうことか! その村長さんなんですか?


「ボス猿! まあそのボス猿は誰かに譲るけど(笑)。……ああ、何かひとつ、日本の……何か富士山に関わる、いいことをしたいなと思ってるかな」


え? 富士山?


「富士山が好きでね。富士山のために何かひとつぐらいして死にたいなと思ってる。富士山って、日本人が外国人にいばれる唯一のものなんだって。だけど……世界遺産にならないんだって。何でかっていうと、ゴミだらけだから。それは日本人として相当カッコ悪いことでしょ?って思うんですよ。外国に自慢できる富士山にゴミを捨てる人がいるっていう。だから…………ゴミでも拾うかね、富士山の(笑)。世界遺産にしたいですね」


そういえば今日の撮影で、タバコの吸い殻をアッシュトレイに入れてましたね。


「ああ、タバコの吸い殻はね、もう数年前から外に捨てなくなりました。ダ~メかなあ(笑)。昔は捨ててたけど」


ははは。でもその一瞬を見て、すごくうれしくなりました。


「見ないでください、そんな(笑)」


いや、人間性を垣間見たような気がして。


「まあね。さんざん捨ててきたから、これからは拾っていかないと。へへへへ」


はい(笑)。じゃあいよいよ6月からライヴがあるんですけど。そこではメイクはどれくらいするんですか?


「メイクは今日ぐらいじゃないかなぁ? ま、しなくてもいいんでしょうけどね。ただ、まあ考えます。当日」


緊張してます? それとも楽しみですか。


「あ、楽しみですね。ま、ほぼバンドのメンバーがもう決まりつつあるんで。けっこういい集団ですよ。めっちゃ不良ですけどね、たぶん(笑)。今、頭の中にあるメンバーで決定すると、めっちゃ不良集団です。ふふふふふ。いい意味で(笑)」


いい意味でね。まあ悪い意味だったら、最悪ですけど(笑)。


「悪い意味だとね(笑)。それ、俺が今言ってることとまったく相反する。ゴミ捨てまくりみたいな(笑)」


はははははは。


「ゲロ吐きまくり! オシッコ出しっぱなし、みたいな(笑)。まあ、そんな最初っから固まるとは思ってないんだけど、なるべく1本目から自分たちなりに納得いく演奏をしていきたいなっていう。でも面白いバンドになると思います。なんかバンドの兆しが見えてきたら自分でもワクワクするから、やっぱバンドが好きなんだろうなと思う」


でも、ほら、YOSHII LOVINSONという個人名でのツアーでしょ?


「あ、でもバンドになっちゃえば、それがバンド名だから。ヴァン・ヘイレンと一緒だから(笑)。ヴァン・ヘイレンの、あのー、デイヴ・リー・ロスみたいな……いないんだけどね、もう(笑)。古いか」


あはははは。


「とにかくなるべく早くパーマネントなバンドにして、たくさんツアーやりたいかな」


そうですか。じゃあこれからはファンを何年も待たせることはなく――。


「ま、納得いくように。納得いけば、すぐに(笑)。はい」


納得いってくださいよ~!


「いやいや! そうするには、やっぱ準備が要るからさ。ヘンなものは出せないですから」


そうですね。じゃあ楽しみにしています。今日はどうもありがとうございました。


「ありがとうございました!」



文=青木優
写真=笠井爾示


YOSHII LOVINSON
ALBUM『WHITE ROOM』
2005.03.09 RELEASE

01 PHOENIX
02 CALL ME
03 欲望
04 WANTED AND SHEEP
05 RAINBOW
06 JUST A LITTLE DAY
07 FINAL COUNTDOWN
08 NATURALLY
09 トブヨウニ (ALBUM VERSION)
10 FOR ME NOW
11 WHAT TIME

https://www.yoshiikazuya.com/discography/detail/25/


吉井和哉オフィシャルサイト

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