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INTERVIEW
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ヤユヨの新作『SPIRAL』に刻まれた新たな挑戦。自分たちなりのペースで進む彼女たちの現在地

text by 竹内陽香

男子、三日会わざれば刮目して見よ、という言葉があるくらい、人は成長・変化していく生き物だ。しかし、変わろうと思っているけど、実のところあんまり変われてない。そんな瞬間も山ほどあったりする。さて、ヤユヨはどうだろう。〈卒業〉を裏テーマに掲げていたアルバム『日日爛漫』から約1年。昨年には大学を卒業し、生活は音楽一色。そんな中で作られた新しいミニアルバム『SPIRAL』では、これまでに挑戦してこなかったサウンドを取り入れたり、大人びた歌声を聴かせたり、ヤユヨの新たな一面がしっかり刻まれている。一方、リコ(ヴォーカル&ギター)に話を聞いてみると、何かが大きく変わったわけではなく、むしろまだまだ自立できてない自分に気づいた、という。それでも焦ることなく自分たちのペースで螺旋の道を上がろうとしている彼女たち。その足は確実に前を向いている。



(これは『音楽と人』2023年4月号に掲載された記事です)



前回のインタビューが大学卒業の直前でした。卒業してからはどんなふうに過ごしてました?


「最初は、社会人としてやってやるぞ!っていう気持ちでしたけど、実家住まいやし、何が変わったかって言われると、学校の授業がなくなったくらいで。これまでとあんまり変わらない生活を送ってます」


「2022年は大人のレディになる」と言ってました。


「あはは! 言いましたね! 全然なれなかったです(笑)。人はそんな簡単に変われないって思いました」


1人で料理をやってみるとか、遠出のドライブへ行きたいとも話してましたが、何か挑戦はしました?


「挑戦というか……せざるを得ない環境になってしまって。めっちゃ個人的なんですけど、母親が入院したんです。必然的に今まで母がしてくれてたこと料理とか洗濯とかを自分ひとりでやらないといけなくなって」


それは大変でしたね。


「ひとりでいろんなことを考えたり、それを実行しなくちゃいけない本当の大変さにようやく気づいて。大人になる!とか言ってたけど、まだまだ子供やったんやなって、めっちゃ思いました。今まで相当甘えてきたんやなって。よかったって言ったら変ですけど、こういうことでもないと、ずっと気づかなかったと思うから。成長するきっかけになりましたね」


学業の時間がなくなったぶん、音楽と向き合う時間は増えましたか?


「あ、そうですね。楽曲制作でも新しいことに挑戦できたり、イベントもたくさん出させていただいて。目の前にあることをひとつひとつ、丁寧に向き合えたなって思います。去年、〈POOL〉って曲で初めて鍵盤が入ったアレンジをやってみたんですけど、自分たちの音楽の魅力を引き出すひとつの武器が増えた感じがして。いい挑戦でしたね」
 


「POOL」はこのミニアルバムにも収録されてますけど、アレンジもカッコいいし、歌もラップパートがあったり、これまでにない挑戦をしてますね。


「そうですね。ヴォーカルの挑戦としてはそれが一番大きかった。ぺっぺ(ギター)が作ってきたデモを最初に聴いた時、カッコいいけど、これ私が唄うの?って思ったんです(笑)。唄うのが大好きで、バンドやる前からいろんな曲を唄ってきたんですけど、ラップパートだけは唄おうと思ったことがなくて。ラップってリズム感が大事じゃないですか。私はどっちかといえばメロディで唄いあげるほうが得意だと思ってたし好きだったので、全然自信なかったんです。でも私だったら絶対書かないと思うんですね、こういう歌を」


ラップを唄おうと思うこともなかったわけですもんね。


「はい。だからヴォーカリストとして一歩上のランクに上がるための課題やなって思いました。挑戦の1年にしたいって思ってたからこそ、ぺっぺが課題をくれたというか」


こういうのは得意じゃないからちょっと変えようよ、みたいなこともなく?


「そういうのはなかったですね。私にできないことをぺっぺがやってくれるからヤユヨの音楽の幅が広がっていくと思うし、しっかり実現させたいと思って一生懸命練習しました」


ラップパート以外も唄いあげるっていうより淡々とした歌唱で、落ち着いた、大人な表現になってますね。


「これは、ぺっぺがレコーディングの時に監督をしてくれて。歌詞を読んだ時に、近くにいるのにその人のすべてが自分のものじゃないっていう、孤独感とか息苦しさが書かれてるなと思ったんですね。それで心がざわついた感じを表現したくて、じっとり、ねちゃあ〜っと唄ったんですけど、『違う!』って言われて(笑)。心ここにあらずみたいな、むしろ感情がないふうに唄ったほうが、自分の理想に近いって言われたんです。感情的に表現できるうちはまだ余裕があるというか。それすらもできないぐらいの孤独感を表現したいっていうことで」


それでこういう唄い方になってるんですね。


「うん、淡々と冷たい感じで唄いました」


リコさんのヴォーカルって「ここいちばんの恋」のようなハツラツとしたイメージがこれまで強かったので、ドキッとさせられました。


「うふふ。うれしいです」


その対照的な「ここいちばんの恋」は、作詞作曲のクレジットが、ぺっぺさんとリコさんの連名になってます。


「基本的には私が作詞をしていて、レコーディングのタイミングで、もっとブラッシュアップできるんじゃないかって、ぺっぺも一緒に考えてくれて共作ってなりました。この曲を作った時は、伝えたいことがあるけど、それをどういうニュアンスで表現したら自分の思ってることが正確に伝わるのか、みたいなことをすごい考えてて。私、恋愛において相手に『好き』って伝えるのがほんとにイヤなんですよ」


どうしてイヤなんですか?


「好きに決まってるからです」


あはは、なるほど。


「好きに決まってるから好き以外の言葉とか表情とか仕草で想いを伝えたいんです。それに好きっていうありふれた言葉だけで、私の想いがちゃんと伝わるわけでもないし。でもやっぱりシンプルな言葉を求められる時もあって。それがうれしいのもわかるんです。だけどそれを簡単に発したくないっていう意地のぶつかり合いみたいなものがあって(笑)」


その結果、〈仕方がないから全部あげる〉ってなるんですね。


「ほしいんだったら全部あげますよ、って。〈好き〉って言葉もあげるし、私にしかできない伝え方もやっていく。その全部を受け入れてねって感じです」


めちゃくちゃタフでワガママな結論です。


「ははは。かわいらしいとかじゃなくて、強さを表現したかったんです。受動的ではなく自分が主体になって動く。それが普段からできてるわけじゃないんですけど。理想とか決意表明でもあるかもしれないです」

思っていることを、怖がらずに嫌われてもいい、そういう覚悟で表現しないと、相手と平等になれない

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