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BUCK-TICK35周年の全国ツアーが開幕。愛と死と生のエンターテインメント、その目指す先

text by 石井恵梨子

【LIVE REPORT】
〈BUCK-TICK TOUR THE BEST 35th anniv.〉
2022.10.15 at パシフィコ横浜 国立大ホール(写真は初日の立川ガーデンシアターのものです)



驚いた。ひとつひとつの楽曲は、配置される場所や前後の並び、つまり曲順によってここまで印象が変わるのか。全体から立ち上るストーリーや伝わるメッセージが、4週間前のそれとはかなり違うものになっている。いよいよ始まった3年ぶりの全国ツアー〈BUCK-TICK TOUR THE BEST 35th anniv.〉。私が観たのは2本目のパシフィコ横浜公演だが、まさにタイトルに偽りなし。これぞ、35周年を記念する堂々のコンサートである。


当たり前のことを書いているようだが、先月横浜アリーナで行われた〈BUCK-TICK 2022“THE PARADE”〜35th anniversary〜〉に同じ空気があったとは思えない。音楽と人11月号掲載のレポート原稿は、編集長から「好きに書け」と言われたこともあり、気づけば5000字超えのフルボリューム。笑顔の祝祭ならそこまで必死に書くこともなかった。拭いきれない不穏なもの、切迫するリアルなものが、振り切ったセットリストから透けて見えたのは事実だった。


再考すると長くなるので簡潔に。まずは、ここ数年のバンド活動がなかなかスムーズに進まなかったこと。加えて、忍び寄る疫病や戦争の恐怖がそれぞれの切迫感を高めていったこと。櫻井の意識は、ウクライナの少女の映像と向き合った新曲「さよならシェルター」になった。メッセージを曖昧にぼかさず、むしろコンセプト・ベストアルバムの中で「REVOLVER」や「ゲルニカの夜」と繋がりを持たせ、より戦争反対の輪郭をくっきりさせていく。それらの伏線があって迎えたのが横浜アリーナ公演であった。


唄い手/メッセンジャーとしての櫻井に寄せた選曲だったのか。そう考えてベストアルバム『RIBELO』盤を手に取り、あぁ、と腑に落ちる。初日が「ICONOCLASM」、2日目が「エリーゼのために」でスタートしたことも、「相変わらずの「アレ」のカタマリ〜」が両日強烈なインパクトを残す場所に配置されていたのも、すべての意味はDisc 1に収斂していく。アニバーサリーと言われても、観客が声も出せない状況では無邪気に祝う気にはなれないだろう。であれば、まず今回の35周年は『RIBELO』で幕を切って落とす。あの二日間はそういう意思表示だったのではないか。


幕開けのあとに物語が始まる。今回の全国ツアーがそれである。具体的な曲名は控えるが、随所に祝祭ムードが感じられるセットリストだ。わりと暖かめの印象……と書くと語弊があるが、冒頭には確かな高揚感。お別れの曲であっても、美しいメロディには観客を牽引していく力が宿る。スクリーンは後方のみで、メインは5人のバンドのシンプルな演奏。ピュアに観客と向き合っている空気感もよかった。時代を超えて無条件にアガる名曲、あとは、ようやく生演奏で聴けた曲が多かったことも付け加えておく。


また、特に効果的なのは今井歌唱ナンバーで、ダークに沈みがちなBUCK-TICKの幻想世界に、この人ははっきりと未来を、もしくはワクワクする希望のイメージを突き立ててきたなと再確認するシーンが多い。始まりは『RIBELO』。そのあとにゴシックやダンスや幻想など次々と場面を入れ替えて、最後に行き着くのは『ESPERO』なのだ。おそらくは、そうあってほしいという願いも込めて。


もちろん終始笑顔のお祭り空間だったわけではない。ただ、今回も披露された「さよならシェルター」は、初披露の時のような緊張を運んではこず、ただ美しい最新の一曲として響き渡った。きっと、いいことだろう。楽曲に込めた祈りは本物だが、BUCK-TICKの本懐は現実のドキュメントではないはず。あらゆる傷や悲しみを歌に変え、その歌を生きる喜びに変えていく。35年をかけて確かになった愛と死と生のエンターテインメント、その目指す先を、櫻井はこんなふうに語っていた。


「どうぞ、みなさま楽しんで。幸せに、なってください」


もはやこれが最後みたいなテンションで書きまくった〈THE PARADE〉レポ。申し訳ない、あれにはちゃんと続きがありましたという事実を最後に記しておきます。そしてまた、安易に周年の神輿に乗ることなく、シリアスだろうと何だろうと、自分たちの現在地をファンに伝えていった、その誠意が何よりBUCK-TICKらしかったのだとも思う。コンセプトベストと横浜アリーナから始まった35周年アニバーサリー。それは今、驚くほど表情を変えながら、現在進行形でパレードを続けている。


文=石井恵梨子
写真=田中聖太郎


BUCK-TICK TOUR THE BEST 35th anniv. FINALO in Budokan
2022/12/29 (木) 日本武道館
[開場] 17:30 [開演] 18:30

チケット料金:11,000円(税込み)
一般発売:2022年12月10日(土)AM10:00~


BUCK-TICK オフィシャルサイト


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