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フジファブリック×凛として時雨。初の対バンライヴで見せた、深く強い絆

text by 宇佐美裕世

【LIVE REPORT】
フジファブリック 2マンライブ『フジフレンドパーク2022』
2022.09.30 at Zepp DiverCity(TOKYO)



フジファブリックと凛として時雨による対バンライヴが、9月30日に東京・Zepp DiverCity(TOKYO)で開催された。この公演はフジファブリック主催の対バンライヴ〈フジフレンドパーク2022〉のファイナルとして行われたもので、9月22日に開催された大阪・Zepp Osaka Bayside公演にはNovelbright、そして29日のZepp DiverCity(TOKYO)公演にはSaucy Dogが出演した。毎年、フジファブリックの友達もしくは友達になりたいと思うアーティストを招いて行われているが、最終日のゲストは長年の付き合いのある仲間だった。


先攻は凛として時雨。一曲目の「I was music」から心の深部を抉るようなサウンドと歌声を響かせ、瞬く間に会場を切迫感のある空気で包み込むと、間髪入れずに「ハカイヨノユメ」を披露。燃え滾る轟音で聴き手の感情を容赦無く揺さぶっていく様は痛快であり、歪んだサウンドが身体中を駆け巡っていく感覚が心地良い。「凛として時雨です。フジファブリックさん、今日はお誘いいただきありがとうございます。僕たちを初めて観る人もいると思うんですけど……怖い人たちではないですよ(笑)。どうぞ楽しんでいってください」とTK(ヴォーカル&ギター)が穏やかな声で挨拶すると会場は温かな空気に包まれるが、それは一瞬。345(ヴォーカル&ベース)の重厚なベースライン、ピエール中野(ドラム)の鬼気迫るドラミング、TKの巧みなギター、そしてTKと345の鋭利でいてどこか切ない歌声による強靭なバンドアンサンブルを魅せつけながら、「abnormalize」「DISCO FLIGHT」「a 7days wonder」「竜巻いて鮮脳」といった新旧織り交ぜた楽曲を畳み掛けていく。


徹頭徹尾自分たちのロックを貫き、最後の最後までMCはほとんどなかったが、ラストの曲に入る前にTKが志村正彦(フジファブリックの元ヴォーカル&ギター)との思い出を語った。


「10年以上前に福岡で開催されたイベント(註:2009年にZepp Fukuokaで開催された〈ROCKだぜ!2009〉)で初めて共演して、僕たちの楽屋に志村くんがやってきて名刺をくれたんです。いつか食事に行こうと話していたけど、その約束は果たせなかった。今日は果たせなかった約束に一番近いこの場所から唄います」


そう語ったのち、ステージ上に登場したのはフジファブリックの山内総一郎(ヴォーカル&ギター)と金澤ダイスケ(キーボード)。2人がスペシャルゲストとして参加し、さらにピエール中野はドラムではなくギターを担当するという特別編成によって披露されたのは「eF」。この日初めてTKから明かされたが、同曲は志村のことを思って書かれたものであり、タイトルはフジファブリックの頭文字「F」からとっていたという。一夜限りのこのセッションは、2組の特別な関係性をよりはっきりと浮かび上がらせていた。


後攻のフジファブリックは〈フレンドパーク〉という公演名に相応しく、まるで遊園地で流れているかのようなアレンジが施されたSEと共に登場。観客に手を振り、笑顔で応える姿は朗らかそのものだったが、1曲目の「銀河」が鳴らされるやいなや彼らの纏う色が一変。冒頭から音に鋭さが宿っていて、会場を一気に興奮の渦へと巻き込んでいく。その後も「徒然モノクローム」「夜明けのBEAT」「カンヌの休日」「楽園」といった攻めの姿勢が伝わってくるセットリストで展開していくのだが、どの曲も狂気を孕んでいるようでいつもとは聴こえ方が大きく異なる。ここに来てまた新しいフジファブリックの姿を目撃できたような感覚。それは凛として時雨のステージから刺激を受けたことによるものだと思うが、山内も、金澤も、加藤慎一(ベース)も、サポートドラムの伊藤大地も、明言していなくとも心の中では轟轟と炎が渦巻いていたはずだ。金澤が「久しぶりに鉄の音を聴いた!」と興奮をまじえて語っていたように、仲間に対する刺激や対抗意識みたいなものが非常にいい方向に作用していたように思う。


一方で、MCは例によってゆるふわな空気に包まれていた。先ほどTKが語っていた福岡でのイベントについて回顧すると、「あの日、僕は志村くんのアンプに乗って転げ落ちてしまって。MATCHLESSというメーカーの高価なアンプだったんですけど、そこから煙が出てしまって……アンプには乗らないでおこうと決めた日でもありました」と打ち明けた山内。思い出話に花を咲かせながらも、「未来を作っていきたい。凛として時雨も僕らもバンドとして続けてこれたから、この公演が実現できたんです」と感慨深さを伴いながら、あくまで見つめていたいのは〈今〉であることを伝えた。


「福岡でイベントが開催されたのは2009年で、あの頃の日常が今は日常ではなくなってしまったけど、僕らはこれからも日常を唄っていきます」と力強く宣言し披露されたのは「Feverman」。祭囃子とロックの融合が絶妙な楽曲で、観客も一体となって踊るので毎回その熱量に圧倒されるが、これもまたいつも以上の迫力があった。途中、山内が機材ケースに乗って演奏するという過去を想起させる行動から、MCで語られた言葉通り、過去の思い出を大切にしながら進み続けたいという前向きな思いが伝わってきたし、〈闇を切り裂け さあ鳴らそう/遮るものは何もない 何もない さあ行こう〉と唄われる「破顔」を本編ラストの曲として選んだことが、よりその思いを増幅させた。


アンコールでステージ上に登場したフジファブリック一行。再びゆるふわなテンポで物販を紹介したり、加藤のソロトークライヴ〈Wondering with you〉(註:不思議な後味が残る小噺を披露するトーク特化型ライヴ)の開催を発表したのち、改めて凛として時雨に対する思いを打ち明けた。


「凛として時雨はレーベルメイトで、時雨の状況を聞いたりしながら僕らも曲作りをしていたし、ずっと隣にいるような感覚なんです」


そう語ったのちに披露されたのは、当時の思いが反映されているという「STAR」。3人でフジファブリックとして歩み出す決意が滲んだこの曲を全身全霊で熱演する姿を見て感じたのは、この日の両者のただならぬ熱量の根源はきっと同じであるということ。〈出会った当初よりもさらにバンドとして前進していきたい〉といった思いもあるだろうが、何より大きいのは、両バンドが交流する上で架け橋的な役割を担った大切な仲間の存在。特別編成で「eF」が披露されたこと、TKが10年以上の時を経てこの曲に秘めた思いを明らかにしたこと、フジファブリックの本編で「若者のすべて」が披露された直後に山内が「今日はグッときますね」と語っていたことを思い返したら、そう思わずにはいられなかった。


互いに刺激し合うことで様々な化学反応が起きることは対バンライヴの醍醐味であるし、それを肌で感じる瞬間が何度もあったが、この日はそれだけで終わらなかった。友達でありレーベルメイト。この対バンライヴを観るまでは彼らの関係性をそう捉えていたが、言葉で簡単に括るべきではないと思ってしまうほど尊い関係性であることが伝わってきた時間だった。


文=宇佐美裕世
写真=森好弘


【SET LIST】
凛として時雨
01 I was music
02 ハカイヨノユメ
03 abnormalize
04 DISCO FLIGHT
05 a 7days wonder
06 laser beamer
07 竜巻いて鮮脳
08 Telecastic fake show
09 eF(with 山内総一郎、金澤ダイスケ)

フジファブリック
01 銀河
02 徒然モノクローム
03 夜明けのBEAT
04 カンヌの休日
05 楽園
06 Water Lily Flower
07 若者のすべて
08 SUPER!!
09 Feverman
10 電光石火
11 破顔
ENCORE
01 STAR
02 LIFE


フジファブリック オフィシャルサイト
凛として時雨 オフィシャルサイト

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