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INTERVIEW
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橋本絵莉子、ソロ初のワンマンツアーがスタート。2つの新曲に綴られた彼女の願いとは

text by 平林道子

昨年12月、ファースト・アルバム『日記を燃やして』を発表し、1月には、一夜限りのソロ初ワンマンを行ない、ソロアーティストとしての歩みを本格化させた橋本絵莉子。彼女の次の一歩となる新たな音源が届けられた。軽やかなギターリフに導かれるように、思わず口ずさみたくなるポップなメロディが躍る「宝物を探して」。オルタナな手触りのバンドサウンドに乗せて、彼女の日常や幼い頃の情景と、どんなに嫌なことがあっても、その先にはきっと宝物みたいな出来事が待ってるはず、といった思いが綴られたナンバーだ。〈38の夜、嫌になって〉と、ちょっと不穏なフレーズも顔を出すこの新曲のこと、そして橋本の誕生日からスタートする東名阪ツアーのライヴ会場限定CDに収録されるもう一つの新曲「広い浅瀬」について、橋本に話を聞いた。まずは、初ワンマン時に驚かされた、おでこ全開スタイルの真相(笑)から。

(これは『音楽と人』11月号に掲載された記事です)



だいぶ時間が経ってしまいましたが、まずは今年1月に行ったソロでの初ワンマンの話からできたらと思います。改めて思い返して、どんなライヴでしたか?


「めっちゃ緊張したし、そこに至るまで不安とかいっぱいあったけど、ライヴやってる時はすごい楽しかったです」


ステージ上でも、「すごく楽しい!」と言ってましたもんね。


「そう、すごい楽しかった! たぶんそう思えると思ってなかったから、言葉に出ちゃったのかもしれない」


ステージのセンターに立つ橋本さんの姿も新鮮だったんですけど、あの日、前髪を上げて、おでこを出していたじゃないですか。その姿がかなり新鮮で。


「そうですよね(笑)。もうライヴの5日ぐらい前から緊張で食べれないし、どうしようって感じだったんですよ。〈このままではいけない!〉と思って、今考えたらものすごくおかしいんですけど、いつもの私じゃ無理だと思って、リハから前髪を上げて行ったんです」


あ、本番だけじゃなくリハから。


「そう。素の状態では無理だな、いつもと違う感じになんないと乗り越えられないかもしれないって思っちゃって。覆面被る感じで、前髪をあげて(笑)」


食事が喉も通らないほどになってしまってる自分を切り離すために、いつもと違う、〈ネオタイプ・えっちゃん〉になってみたと(笑)。


「そうです、そうです(笑)。自分でも違うって思えるような見た目にならないとダメやったというか」


てっきり、気合いの表れとして、おでこ全開スタイルでライヴに臨んだのかと思ってました。でもそれだけ、ソロ初ワンマンに対する思い、プレッシャーが強くあったわけですね。


「自分で勝手にいろいろ考えてしまったというか。このワンマンは絶対失敗したくない、いいステージにしたいっていう気持ちが、ちょっと強すぎちゃったんでしょうね(苦笑)。でも本番の10分ぐらい前に、スーンって緊張が抜けた瞬間があったんですよ」


そこでスイッチが入ったみたいな?


「いや、むしろスイッチが切れたんだと思います」


ああ、スイッチがオフになったからこそ、気負いが消えてステージに立てたと。


「そうそう。〈あ、この感じだったらいける〉ってやっと思えて。本番までは、すごいしんどいって感じてたけど、始まったらあっという間で、もうただただ夢中だったというか。ほんと特別な時間だったなって思います」


今回の新曲は、初ワンマンのあとにできたものになりますか?


「はい。今年の春ぐらいにできました」


『日記を燃やして』では、「今日がインフィニティ」の〈解散はできないように/もうバンドは組まない〉という歌詞にドキっとさせられましたが、今回は〈18の春、フリーターになって/38の夜、嫌になって〉というフレーズにドキっとしまして。


「ドキッとポイントがありましたか(笑)」


はい。〈18の春〉というのは、橋本さんが音楽で生きていくと決めた頃で、38というのはまさに今のことですよね。ワンマンを終えて、その手応えが新曲のバンドサウンドにも出ているなと思ったんですけど、実はそうじゃなかったの?と。


「これは……コロナもあったり、世界が不安定だったり、前からあったことやったけど、コロナ禍以降、より目立つニュースとかもあるじゃないですか」


そうですね。この2、3年は、極端な選択であったり、悲しいニュースが多くなってる気がします。


「今までは、そういうニュースを目にしたり、耳にしたりしても、ズンってなっちゃうタイプじゃなかったんです。でも今年に入って、けっこうそういうのに影響されて、シュンってなっちゃってる時もあることを自分で気づいたりして」


これまであまり世の中の空気に左右されないと思ってたけど、そうじゃなかった自分がいることに今年の春に気づいたと。


「そう。いろんなこととの距離感も大事だと思うし、そうやってきたんだけど、でも無視はできない自分がいたというか。で、あまりにも意識がそういうことのほうに行っちゃうと、目の前にあることとか、自分の生活とかがどうでもよくなっちゃいそうになったりするんだけど、そういうのもよくないよなと思ったり。だから、そんな状態になってた自分もひっくるめて嫌になってたから、そのひと言が出てきたんだとは思うんですけど」


やっぱり、ここまで長く閉塞的なムードが続くと、否が応でもネガティヴな空気を感じずにはいられないとは思います。


「そうなんですよね。だいたい最初は何の気なしにバーって歌詞を書くので、思わずそういう言葉が出てしまったというか。そうやって、するっと出てきたものを、そのまんま直さずに唄っている感じです」


ソロになってからは、より自分のことだったり自分の中にある感情をまっすぐ歌にするようになってますよね。


「そうですね。年々そうなってるかも(笑)。チャットの時も、自分の思ってることを書いてはいたんですけど、〈世の中に出す作品として大丈夫かな?〉とかすごく考えたりしていて。もちろん今もそういうことを考えはするんですけど、今のほうが、〈もう自分の中からスンって出てきたものなんだから、これでいいか〉って思ってるかも」


以前は、〈バンドでは唄えない歌詞フォルダ〉があって、パーソナルな内容や言葉が入ったものは、そこに入れてたけど、今はそのフォルダは完全になくなった、とアルバムインタビューの時に言ってましたよね(註:橋本絵莉子、待望のソロ・ファーストアルバム。ここに至るまでに見つけた、彼女が音楽に向かう理由)。


「たぶん前の私だったら、この曲も完全にそのフォルダに入れてたと思います。これはやめとこって。それこそサビの部分は、ほとんど徳島時代のことを唄ってるし」


〈粘土で薔薇を作って/タオルケットでお昼寝/浅いビニールプールで/宝物を探した〉ということは、かなり幼い頃のことになりますか?


「はい。保育所に行ってる時のことですね。あの、私あんまり水に潜れなくて……保育園とか小学校の時に、プールの底に宝物があるから、潜って取りましょうみたいな授業なかったですか?」


水の中で目を開けるための練習ですよね。


「そう。宝物があるから、それを潜って見つけて拾いましょう、っていうのが私できなくて。足で探ったり、水面ギリギリのところから見て、えい!って拾ってたりとかしてて(笑)」


では〈立体交差を超えて/宝物を探した〉というのは?


「徳島駅に行く直前に、立体交差があるんですけど、車で行っても、登り坂で止まると絶対坂道発進せなアカンような、すごいV字型の道で」


そんなに急なの?


「けっこう急で長くて、自転車で駅に行く時、最初はラクなんやけど、そのあとがめっちゃしんどい道で。しかも駅前やから混むんで、その立体交差が私嫌いなんやけど、でもそこを抜けたら駅に着くし、駅の周りにはいろいろなものがあるし、思い出とかもいっぱいあって。だから昔みたいに、嫌な思いしたあとに宝物っていうか、良いことがあったらいいなって」


確かに、嫌なことがあっても、きっとこの先にはいいことがあるって思うだけで、心持ちは変わりますよね。それこそ、ネガティヴな感情に囚われてる時って、その場から動けなくなってしまうじゃないですか。


「そう、八方塞がりな感覚になって、視界も狭くなったりして。でも、あとから振り返った時にね、また見え方が違うこともあるし」


だから、この先に宝物があるんじゃないかって思うだけで、ちょっと前に進むことができるというか。


「そう。ちょっとでも楽に感じれたらいいなって」

言わんかった言葉のほうが自分の中に残って、それが蓄積されて、人格が形成されていくんじゃないかなとか思ったりして

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