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COLUMN, INTERVIEW
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前田啓介(レミオロメン)は、なぜオリーブ農園をはじめたのか。その先にあるバンドへの思い

まだ32歳でしたからね。エネルギーがあった。山梨で誰もオリーブオイル搾ってないのに、それやれたらきっと感動するぞ、って



啓介くんはなんでオリーブに興味を持つようになったんですか?


「うーんと……どこから話そうかな。まずレミオロメンをずっとやってきたけど。あの時期、一緒に音楽をやるバランスが、みんなの中で崩れてたのは確かなんですよね。そのちょっと前から、こっちと東京を行き来する生活をしてたんですけど、田舎で刺激されることも多かったし、こっちでも音楽活動はできるなと思ったから、活動休止という選択をしたあと、東京の家は引き払って、完全にこっちに戻ってきたんです」


なるほど。


「それで地元の呑み屋に顔を出すようになると、農家の人とか、ワインの醸造家の人たちと知り合うんですよ。その人たちと話してると、山梨にはワインや味噌、野菜や肉、美味しいものがたくさんあるのに、それをつないでいくものがないよね、って話になって。それ、オリーブオイルじゃないか、って思ったんですよ。俺、音楽からはちょっと距離を置こうとしてたけど、作ること自体は大好きだから、だったら俺がやってみようかな、って。小豆島やイタリア、ギリシャに行って、やり方を勉強しながら始めたのが最初ですね」


まず東京から離れることから始まったんだ?


「うん。僕の考え方だけど、東京っていろいろ物はあるし、お金を払えば何でもできるんだけど……こう……寂しかったんですよね。空っぽだった。なにやっても虚しくて」


昔はあんなアーバンな生活を送っていたけど(笑)。


「いわゆるロックミュージシャン的な生活でしたよね(笑)。朝遅く起きて、レコーディングや取材して、夜は呑みに行く。高いワイン空けて、家でみんなで朝まで呑む(笑)。なんかそういう生活も、楽しめなくなってたんだろうな。今思えば」


あの頃からオリーブ大好きだったもんね。


「でもまさか自分で作るとは思ってもなかった(笑)。とにかく研究したんです。まず山梨でやってる人が見当たらなかったから、オリーブオイルよりもまず、オリーブの木が育つのかどうか」


山梨は寒いですもんね。


「内陸だから温度の下がり方が違うんです。寒暖差が激しい。オリーブが名産の小豆島やイタリア、ギリシャとは根本的に気候が違う。そんなところで本当にできるのか、初めて搾油する日まで、ずっと不安でした」


なんでそんな危ない橋を渡ってまでやろうとしたんですか。


「慣れてるから(笑)。そもそも、プロミュージシャンになるって決めて、高校辞めて上京した人間だし。あと当時、まだ32歳でしたからね。エネルギーがあった。山梨で誰もオリーブオイル搾ったことないのに、それやれたらきっと感動するぞ、って(笑)。そういう単純な目標で突っ走れるタイプなんですよ」


すごいな。本当にあまり考えてない(笑)。


「あははははは。あと3.11の震災で考え方が変わったかな。僕らね、3月9日、10日に横浜アリーナでライヴやったんですよ。で、10日のライヴが終わったあと、車で打ち上げ会場まで湾岸線走ってる時、めっちゃ月が綺麗だったんです。すげえ月だなってみんなで話して、楽しくて、めちゃめちゃ呑んで。朝方家に帰ったんだけど、その日の夕方、打ち合わせがあったから昼過ぎに起きたんですよ。そしたら地震。まったく電話がつながらなくなって、津波や水素爆発の映像観て、当然打ち合わせは中止で……その直後には思わなかったけど、だんだん状況を理解するにつれて、こんな生活してていいのかな、って」


うんうん。


「そういうことが重なって、音楽に向き合うエネルギーが失われてたんでしょうね」


そんな時、オリーブに出会った、と。


「そう。まず小豆島の空井農園ってところに電話して、山梨でオリーブを栽培したいと考えている者ですが、お話を聞かせてください、ってお願いしたんですよ。以前、空井さんのオリーブオイルを食べて、衝撃を受けたので。そしたら年間の作業を細かく教えてくれたので、収穫、剪定のタイミングで何回も通って、ノウハウを教えてもらったんです。それで2013年に100本、苗を植えたんです。で、初めて絞れたのが2016年。その間、めちゃくちゃ寒い冬だったりして。自分が一番疑ってました」


でも当初、音楽活動もちょっとやってましたよね?


「そうですね、SMAPに曲提供する話をいただいたり、ammoflightのプロデュースやったり。サポートの話もいくつかあったんですけど、それは全部断ってたかな」


プレイヤビリティもあってプロデュース能力もあって、そもそもレミオの中でも一番最初に音楽で飯食うんだって腹くくってたような人が、よくベースを置けましたね。


「未練とかないんですよ。今弾こうと思えば弾けるし、やろうと思えばやれるんだろうけど、大事なのは、本当にこれをやりたいのかどうか、だから。もう売れるとか売れないとか、これくらい儲かるからとか、そういうのはどうでもよくなってるんですよ。その対象が、今の僕の中ではオリーブに向かってる。それが僕の作品みたいなもんだから」


小豆島にはオサ(神宮司治/ドラム)とも行ってますよね。


「いや、あれね、たまたま向こうで会ったんです(笑)。小豆島の講習会に空井さんが招いてくれたんですけど、行ったらどこかで見たようなヤツがいたんです(笑)。あいつもオリーブオイルのソムリエ資格を取ってたから」


そんなことあるのか(笑)。で、できるかどうかわからないなと思いながらも、オリーブ栽培に挑戦して?


「苗木を買い付けて植え始めました。でもその次の年、2014年の2月14日、山梨大豪雪があったんですよ。120センチくらいの雪が積もって、オリーブ畑、なくなりました(笑)」


雪で?(笑)。


「もう一面が雪(笑)。絶望ってこういうことだな、って」


心がよく折れなかったですね。


「今でもありますよ、折れること。去年も100本近く植えてたのに、95本枯れちゃったし。でもやっぱり、そこで進むか辞めるかって、今後の人生にすごく影響してくると思うんです。だって諦めるのはいつでもできるし、ひとつ諦めたら、続けることはもう二度とできなくなるって知ってるから」

新しいトライアングルに立つことはできる。ただ、俺のオリーブに到達点があるように、2人にも何かがきっとあるはずだから

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