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No Buses、1年9ヵ月ぶりのアルバム。物憂げなメロディに隠れた、ある感情とは

text by 青木里紗

乾いた、音数の少ないサウンド。メロディアスなギターのリフ。だが、全編英詞の歌は、なぜか独り言のように聴こえる。さらに初めて観たライヴでは、「えっと……あの……」――そう言葉を詰まらせ、うつむくフロントマンの姿が忘れられず、彼に話を聞いてみたくなった。  
No Buses。ファーストシングル「Tic」のミュージックビデオが国内外から反響を呼び、注目を集めた彼ら。2019年にファーストアルバムを発表したあとには、新しいギターが加わり、4人から5人編成へとシフト。さらに昨年、バンドの首謀者である近藤大彗(ヴォーカル&ギター)は、ソロ活動も積極的に行い、シンセや打ち込みを取り入れた楽曲を制作してきた。そこでの実験性は、完成したばかりのセカンドフルアルバム『No Buses』にも引き継がれている。今作はこれまでのガレージ感に加え、シンセが入った浮遊感のあるサウンドや、物憂げなメロディが際立つだけでなく、それに引っ張られるかのように、歌詞にも内省的な世界が広がっているのだ。〈Don't want you to see inside my mind〉(心の内全部は見られたくないんだ/「Mate」〉――そう唄う近藤に、なぜこのような表現となるのかじっくりと話を聞いた。彼らの鳴らす音は、今後も少しずつ変化を遂げ、より広い世界へと響いていきそうだ。



新しいアルバム、カッコいいですね! 作り終えてどうですか?


「今まで作ってきたものより手ごたえはありますね。正直ファーストアルバム以前の作品は、あんまり満足いってなくて。完成した時良いものができたと思っても、時間が経ってから聴くとああすれば良かったとかこうすれば良かったと思うことがあったんですね。でも今回のアルバムは、今の自分たちが持ち合わせているスキルと、やりたいことのヴィジョンを今までよりすり合わせることができたんじゃないかなと思っています」


これまでは自分がやりたいことをうまく形にできない部分もあったけれど、今回はそれを乗り越えられたというか。


「そうですね。曲を作るうえでできることの幅が広くなったとも思うし、自分が満足できる作品にしたいと思って作っていたので、そこを達成できたことは嬉しいです」


そんな作品ができるまでの間、昨年だと近藤くんはソロ作を積極的に作っていましたよね。


「はい。曲作りをしている中で、バンドの雰囲気と違うものも生まれてくるので、それをどういうふうに活かそうか考えていて。バンドで曲を作るとなると、例えばひとつのフレーズができたとしても、もっと考えてみよう、みたいにみんなで意見を出し合って、時間をかけるうちに新しいものが生まれるマジックみたいなことがあるんです。それが楽しいところではあるんですけど、そうじゃなくて、自分の感性だけで曲を育みたいというか、自分だけの判断で1回曲を出してみたいなと思ったんですよね」


ソロ作は、打ち込みだけで作られた曲やシンセが入っているポップなサウンドだったり、バンドとはまったく別のアプローチをしていて。でも今回のアルバムに通じる部分もある気がしたんです。


「それはありますね。ソロ作にあるエッセンスがこのアルバムにも出てるのかなって」


今作ってこれまでのガレージ感はもちろん残っているけれど、シンセの音が入って浮遊感のあるサウンドだったり、物憂げで繊細なメロディが印象的で。


「ああ。僕らはこれまで〈Tic〉っていう曲だったり、ミュージックビデオのシュール感やポップ性と一緒に音楽もそういうものだとイメージされることがある気がしていて。でも自分としては、今作に限らずこれまでも歌詞は暗いことをよく書いていたので、物憂げというか内向的なものだったなと思っているんです」


今作の資料を見ても、歌詞には自分の中で考えを巡らせる様子が描かれていて。これって近藤くんの独り言だな、とも思ったんですけど。


「そうですね」


あとは、人の輪から一歩離れたところにいる自分だったり、人との距離を縮めたいけれどうまくできない、みたいなもどかしさも落とし込まれている気がしました。


「確かに今回は外から一歩引いて見た時の自分のことだったり、自分の嫌いな部分とかもたくさん書いたような気がします。あとはこのコロナ禍で見た周りの大変な状況だったり。僕は歌詞は基本的にひとりで書くんですが、ひとりになるとずっと反省してしまうところがあって。これがよくなかった、次はこうしようとかぐるぐると考え込んでしまうし、漠然と希望のある未来を想像して高揚する、みたいなことはあんまりないんで(笑)。だからそういう思考が歌詞に反映されやすいんだと思います」


そういう考えを人に相談したり、話せたりするタイプですか?


「全然人に話せないです。限界まで自分で抱え込んじゃってかなり苦しむタイプなんで。だから人に相談できないようなことを歌詞にポロっと書いてしまったりしますね」


自分の話ですけど、私も答えの出ないことをひとりで考えたり、悩んで抱えてしまうタイプで。例えば、ずっと続くものなんてないし、いつか終わりはくるだろうみたいな(笑)。


「でも今こういうご時世だし、そういうことってよぎりますよね。どうしようもない未来がくるんじゃないかって将来が不安になったり」


うん。しかも今はSNSがあるから、いろんな情報や人の内面が目に見える分、余計に辛く感じることがあって。


「確かに。僕は自分の私生活とかリアルな部分をできれば出したくないと思っていて。だから高校生ぐらいまではSNSが好きじゃなかったんですけど、バンドの宣伝をするために始めたんですね。それこそバンドを始めたての時期に、当時YouTubeにあげた自分の納得のいってない楽曲が、いろんな人に聴かれて自分のものじゃなくなる姿を見て怖くなってしまったことがあったんです。たまに、音楽とは関係のない中傷などが書かれたりしていて、かなり落ち込んでしまったり」


SNSやYouTubeだといろんな人に届けられる良さもありますけど、見ず知らずの人に簡単に知られてしまうのがイヤだと思う部分もあるんですかね。


「基本的に知らない人に自分のことを知られすぎるのはあんまり好きではないですね。それはSNSに限らず。よっぽど仲良くなってからじゃないと自分のことは話せないですし」


でも、自分のことを人に話せたほうが気が楽になることもあって。


「言えたほうがいいこともあると思います。全部じゃなくても、例えばこういう雰囲気の悩みを抱えているっていうのを相談するだけでも救われたりするのかなって。詳しくは言えないんですけど、僕もそう思うきっかけがあって少し言えるようになったのでだいぶ楽になりましたね。近しい人に話せてない部分もあるんですけど。心配させてしまうかなと思って」


相手を傷つけたらどうしよう、みたいに考えて言えなくなることもありますもんね。


「そうですね。で、どうしようかな、どう言おうかなとかまた考えてしまって〈はぁ……〉みたいな(笑)」


考え込んで、そこから抜け出せなくなると(笑)。


「だからそういう思考が自然と歌詞に出てきちゃうんだろうなって。でも自分が思ってもないことを書くのは違うなって思うんです。やっぱりペンが進むのは自分のリアルなことについてだから」


歌詞を書くことで、自分の気持ちを整理できたりすることもありますか。


「あるかもしれないですね。楽な気分になるというか。僕の場合、ちょっと言葉が悪いですけど……自分の中にあるクソのような気持ちですら(笑)、作品として昇華できるんだって。自分の日記のようなものに、メロディがついて作品として世に残せるのはうれしいし、報われたなって思ったりします」


曲を書くことをとおして、自分の気持ちに素直になれる部分もあるのかな。


「そうかもしれないです。歌詞は独り言のような側面もあるので。書いてる瞬間は誰にも気を遣わないですし、自分の気持ちのまんまの感じはしますね。僕、人と話す時はかなり言葉を選ぶので(笑)」


ふふふふ。さっき、自分のことを知られるのはあまり好きじゃないと話していましたけど、それでも知ってもらいたい、みたいな気持ちもありませんか?


「そうかも知れないですね。本当に何も知られたくなかったら、たぶん音楽活動していないと思うし」


うんうん。でも私も人見知りなので、知らない人って怖いなと感じてしまうことがあって。


「前は僕もそう思ってました。例えば誰かから良く思われないことが怖くて、最初から自分は嫌われてるものだと思い込んで生活するほうが楽だと思っていた時期があったんですけど。でも音楽活動をするようになって、最近だったら僕がバンドメンバー以外の人と曲を作ったり、いろんな方とライヴでご一緒することもあるので、そうやって思い込んでると損するなと気づいたんですね。自分の行動が制御されちゃうので、今はそこを払拭できた感じはあります。自分で思い込んでいただけで、実際はそんなこともなかったなって」


音楽をとおしてそういう変化はありつつも、それでも曲に落とし込まれるのは、近藤くんの中にあるモヤモヤとした感情や言えないものだったりする。


「そうですね」


そういう気持ちを日本語で唄ってみようと思ったりしませんか?


「ああ、全然あります。英語で唄っている理由は、自分の声質や曲のメロディラインには英語の語感がはまることが多かったからで。僕は声を楽器のように鳴らしたいと思うことが多いので、自分の場合、英語では楽器的に唄いやすいんです。だから日本語に抵抗があるわけではないし、今後日本語で歌詞を書くこともあると思います。なんだったら今、ソロのほうでは日本語で書いた曲もあるので」


てっきり唄っていることを聴かれたくない、恥ずかしいみたいなことかと思っていたんですけど(笑)、そういうわけではないんですね。


「最初はそういう気持ちもありましたよ。例えばライヴで唄ってる時に、日本語だとよぎるものがあるだろうなって(笑)。そこで反芻してしまうんじゃないかみたいな。でも今はどうやったらメロディにうまくハマるか、みたいに楽曲重視で考えているので、あまり日本語とか英語を意識せずに曲に合う作り方をしたいと思っています」


じゃあこれからもいろんなことができそうですね。


「そうですね。今、3枚目のアルバムに向けて曲を作り始めているんですけど、今回とはまた違ったことができるんじゃないかと思っています」


文=青木里紗


NEW ALBUM『No Buses』
2021.06.23 RELEASE

01 Preparing
02 Number Four or Five
03 Very Lucky
04 Alpena
05 Surprised
06 Not Healthy
07 Mate
08 Having a Headache
09 Yellow Card
10 Biomega
11 Playground
12 Imagine Siblings

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TOWER RECORDSで購入

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No Buses オフィシャルサイト

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