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GRAPEVINE田中和将インタビュー『新しい果実』を味わう10の言葉(完全版)

〈なかなか声の届かない人〉〈光の当たらない人〉っていうのは必ず一定数いる。そういう人たちの声が少しでも代弁できれば、とは思うんです



お次は先行で配信された「Gifted」から〈③若い私〉。最近ミュージシャンにしろ、若い人との交流が増えてるんじゃないですか?


「近年、僕らは先輩後輩問わず対バンを積極的に行ってますけど、キャリアも長いので『聴いてました』みたいなことを言ってくれる人もちょくちょく出てきて。こっちが齢取ったんで自然と後輩が増えてきたってことでしょう」


すでに2回り違うとか、そういう世界でしょ。


「世代的には息子になるような人もいますね。元NICO(Touches the Walls)の光村(龍哉)とはちょうど1回り違って干支が一緒ですけど、アイツもすでに中堅ですから。さらにその下世代がもっともっといるわけで、なかなかすごいもんですよ」


オーディエンスも若い人が増えてる気がします。


「やってるぶんにはわからないけど、チラホラ『親子で来てます』みたいな話も聞いて。それはすごく嬉しいです。『娘も年頃になって、一緒にライヴ来るようになりました』みたいな。僕らもそういう世代になったんでしょう」


この「Gifted」なんて、曲自体に若い人へのまなざしを感じます。


「それは僕に子供がいるだけに、今の若い子らが非常に厳しい状況にいるんじゃないかってことが身近に感じられるところもあるんです。さっきの〈目覚ましは~〉もそうですけど、そういう目線の歌詞は増えましたね」


大変だろうなって思うのは、どういうところですか?


「一言では言いにくいですけど、情報が非常に多様化してる時代だけに逆に動きにくいんじゃないですかね。たとえばSNSでヘタな発言ができなかったり。めちゃくちゃ便利で選択肢が多いだけに、縮こまる要因も多々あるというか。作った音楽を簡単にYouTubeとかにアップできる半面、それに問題あればすぐ炎上したりするでしょ。そうなると口をつぐんでいく方向に流れることも多いんじゃないかな、と」


両極ですよね。自由に、のびのびと、ふてぶてしく発信する人もいれば、そういう人が突然叩かれて、責められて、退場に追い込まれることもあるっていう。


「僕は性格上、あまり選択肢が多いと萎えるタイプなんです。限られた範囲の中で選びたいというか。さらにネット社会で時短になってるじゃないですか。何もかも効率が求められて、速読じゃないけど映画やドラマも早送りで観たりして……大変やなって思いますよ」


田中くんの中には、そういう大変そうな若い人たちに何か伝えたい気持ちがあるんですか?


「伝えたいという偉そうな視点はまったくないですけど、世代にかかわらず〈なかなか声の届かない人〉〈光の当たらない人〉っていうのは必ず一定数いるわけじゃないですか。そういう人たちの声が少しでも代弁できれば、とは思うんです。彼らに何か伝えたいというよりは、見たくないものを見ようとしない人たちに彼らの存在を伝えたい――そういうことだと思います」


光が当たらない人の中でも、若い世代でもがいている人の姿が目に入ったんでしょうね。


「日々ニュースを見ても新聞を読んでも入ってきますし。さらにウチには年頃の子供がいるんで身近に感じるんですよ。世の中を見ると、なかなかイヤな事件が多いじゃないですか。〈そうか、コイツらはこんな世界を生きていかなければならないのか……〉って感じはすごくします」


自分自身が〈若い私〉だった頃が20~30年前じゃないですか。その頃とは違います?


「違いますね。ただ、今の時代を否定するというより、〈この多様化した時代を乗りこなすのは大変だろうな〉って思いながら見てる感じです」


それは傍観してるってニュアンスなんですかね?


「まあ、そこに合わせていくつもりはないですから。音楽作っててもそうですけど、『サブスク時代だからイントロは短いほうがいい』とか言われるけど、そこにウケようと思ってないし。その曲が必然的にそういうはじまり方が最適だったらそうしますけど、そんなのオッサンが若作りしてるみたいで気持ち悪いじゃないですか」


そういうバインも見たいですけどね。〈めちゃ若者にすり寄ってる!〉って。


「『寄せてきよったわ!』って(笑)。TikTokにしろClubhouseにしろ、周囲からのアドバイスがあればやることは厭わないですけど、無理してやるのはオカシイでしょ。傍観者って言ってしまうと突き放してる感じですけど、合わせにいく気は一切ないです!」


さっきお子さんの話も出ましたけど4曲目の「居眠り」からは〈④家まで歩こう〉。ステイホーム期間はその名の通り家が重視されたわけで、創作家やロックミュージシャンにとって家というのがどういうものか興味があります。田中くんは外に仕事部屋を持ってるわけではなく、自宅で曲作りとか歌詞を書いたりしてますよね。


「生活と仕事の境目がないから、これまで何回も分けたいと思ったんだけど、結局実現してないんです。経済的な理由もありますけど、今はこれが普通の状態になってますね」


いわゆる創作と生活が一体化してるというか。


「僕は〈音楽命〉〈創作命〉といった人間じゃないんで、昔から生活の延長線上に創作がある感じというか、音楽をやるために何かを犠牲にするつもりは一切ないんです。そういう性分なんで、この状態でもやれてんのかなと思います」


できたら分けたいけど、これはこれでできなくはない?


「たとえば〈仕事に打ち込みたいから、こんな環境じゃできねえ!〉って人もいると思うんです。俺は〈不便やな……〉と思いつつも、それはそれでやってるわけで」


だって〈歌詞が書けん……〉って頭抱えてるのに、〈おとーさーん、ごはーん〉って呼ばれたりするわけでしょ?


「そう(笑)。それもひっくるめての創作、ってことになってるんです。何度もそういうことがあって、何度も分けたいと思ったけど実現してないわけですから、それも含めての僕のリズムなんでしょう」


面倒だけど受け入れるしかないか、と。


「逆に外に仕事場借りたら〈やらなアカン!〉ってプレッシャーになりそうじゃないですか。〈金払って仕事場借りてんのに今日も何もせんかった……〉って(笑)」


それこそ〈家まで歩こう〉の帰り道がめちゃ切ない状態ですよ! でも考えてみたら田中くんの好きな文士とかは、基本的に自宅=仕事場ですよね。


「そういえばこの前、中井にある林芙美子記念館に行ったんです。めちゃ羨ましかったですね。大きな敷地の平屋建てで、最初は日の当たる庭の見える部屋を執筆部屋にしてたのに、ご本人は『明るすぎてイヤだ』って日の当たらない狭い部屋で書いてたっていう。そういうもんだろうなって思うけど、建物は昔ながらのいい家で羨ましかったです」


田中くん、そういう暮らしに憧れるところありますよね。


「そう考えると、いまの生活が合ってるんでしょう。イヤやと思うところはいっぱいあるけど」


田中くん的には〈家=落ち着く、平和〉みたいなイメージですか?


「誰しもそうじゃないですか。家が落ち着く場所、安心できる場所であってほしいし。逆にそうじゃなかったら辛いでしょ」


でも『火宅の人』(壇一雄)みたいな例もありますよ。


「あれはあれで憧れるな(笑)。あれは不倫小説でありながら美食小説でもあるからね」


ちなみにステイホーム中、家ではどうすごしてました?


「コロナ期間中は、もう主夫ですよ。日中は近所への買い出しに行き、掃除、洗濯、炊事。家族が寝静まったあとにようやく自分の時間が来て、そこから音楽を聴いたり本を読んだり、歌詞を書いたり曲を作ったりするわけです」


ほんと主夫の生活だ(笑)。こんな生活感のない音楽なのに。で、料理もするんですか?


「しますよ。この1年で腕が上がったんじゃないかな? ちなみに得意料理は麻婆豆腐。合わせ調味料で済ませず、ちゃんと生姜ニンニクをすりおろすところから作ります!」

闇とはしっかり付き合うべきだと思うんです。そういう自分のドス黒い部分とか、逆にプラスに使えるかもしれませんから

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