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GRAPEVINE田中和将インタビュー『新しい果実』を味わう10の言葉(完全版)

text by 清水浩司

2021年の田中和将の頭の中はどうなっているのか? ――それを引き出すための新企画キーワード・トーク。これはGRAPEVINEのニューアルバム『新しい果実』収録曲10曲の歌詞から気になるワードを1つずつピックアップし、それについてくっちゃべるという、まぁまぁありがちなもの。WEB版となる今回は『音楽と人』6月号の誌面に入らなかったぶんを増補して、2倍以上にボリュームアップ。みんなも一緒に〈フルで〉YOMOYAMAしようぜ!



今回の企画趣旨って聞いてます?


「まったく聞いてないです」


ハイ、じゃあ説明します。今回は『新しい果実』に収められた10曲の歌詞からそれぞれ1つずつキーワードを抜き出して、それについて2人で四方山話するという内容です。


「それはつまりシミコーのチョイスによって話が膨らむか膨らまないかという……」


ではさっそく行ってみましょう! まず「ねずみ浄土」からは〈①新たな普通〉。田中和将の〈ニューノーマル〉、この1年で何か変わりました?


「そもそも僕は古風なタイプというか前時代的な人間なので、考えが〈ニューノーマル〉じゃないと思うんです」


まあ、〈オールドアブノーマル〉なところはありますよね。


「もともとが普通だったかどうかもわからないので、特別新しい生活様式を意識してないですけど、それでもこんなに嫌いなマスクをするようになって。これは否が応でもしなければならないので、さすがに習慣になりましたね」


でもマスクって忘れがちですよね。あわてて買ったりして。


「そう、何回も忘れてその場で買いましたよ。コンビニで割高のマスク、よく買いましたね。それ以外に何が変わったかといえば……単に仕事がない!」


はははははは。仕事がないのがノーマルになった、と。しかしリモート会議やら呑みに行けないやら、1年経ってそれが当たり前になってるところがあります。


「それがニューノーマルってことなんでしょうけど、やむを得ずやってるだけだからそれがノーマルになってるのかどうかはわからないですよね。コロナが収束すればマスクなんてすぐに取りたいけど……でもコロナになる前からマスクって流行ってたでしょ?」


花粉とかそういうことですか?


「俺も『世の中、花粉症の人が増えてんのかな?』と思って観察してたんですけど、どうやらそうでもなくて。顔を隠したりコミュニケーションを遮断するために付けてるというか。耳にイヤホン突っ込んでる人も多いけど、それと同じで、そういう人が増えてる中でマスクが必需品になったからむしろ居心地良くなってる人もいるんじゃないですかね」


仕事がないということも含め、不安になったりしませんでした?


「僕らはまだ事務所に所属してるので比較的大丈夫ですけど、これが続くとそれも立ち行かなくなるでしょうし。潰えていってる業種もいっぱいあるじゃないですか。それがこれからどうなるのか……オリンピック如何によるところも大きそうですけど……」


……と、どんよりしたところで、そんな感じで進めていきます。2曲目「目覚ましはいつも鳴りやまない」からは〈②まだ出してない自分〉。最近、新しい自分出しました?


「僕に関しては、もうそんなのないですよ」


ないんだ(笑)。ないって言っちゃうんだ。


「出尽くしてますよ。枯渇してます」


なんかあるでしょ。これってつまり新しい引き出しを開けたってことですよね?


「新しい引き出しが開いた気はしてないですね。ただ、僕らは音楽を作ったり歌詞を書いたり、自分と向き合う作業が多いじゃないですか。普通の勤め人よりそうしたことに時間を裂いてると思うんで、自分を分析することも多くて、そうなると……いや、新しい引き出しは開いてないなぁ……」


いやいや、向き合ってるからこそ、ちょっとでも発見があったら「新しい引き出し開いた!」ってなるでしょ。


「些細なことではたくさんありますし、自分としてはこれまでやってないことをやろう、視点を変えてみようとは常々意識してますよ。だけど、それがはたしてどこまで人に胸張って新しい引き出しと言えるのかはわからないですね」


ああ、この面倒くさい感じ……久しぶりに聞くと清々しいくらいです(笑)。じゃあ大きな引き出しは開かなくても、小引き出しくらいは開いたんじゃないですか?


「いろんな引き出しをひっかきまわして『そういえばこんなんあったな、忘れてたな』みたいなものを今の感覚と混ぜ合わせることで、新しい扉になったりすることはありますよね」


着てなかった昔の服を着てみたら、ひと回りしていいんじゃないかってヤツですね。たとえば今回のアルバムで開けた小引き出しって、どんなものがあります?


「今作は僕の作曲した曲が多いんです。収録曲の半分の5曲を書いてて。それは単純になかなかレコーディングがはじめられなかったので溜まっただけですけど」


でも溜まったこと自体が新しくないですか?


「なんせ仕事ないですから!(笑)。まあ、作っても相変わらず自分ではいいのか悪いのかわからなくて。ひとまずいろいろ作ってみることで心を誤魔化しているという(笑)。仕事した気になっているという」


それが田中和将の〈まだ出してなかった自分〉……。しかしやっぱり自分ではなかなかいいと思えないんですね。


「昔からそう言ってるじゃないですか。結局僕はバンドでやること以外に、特にモチベーションがないんですよ。たとえばデスクトップで全部ひとりで作ってしまう今時の人の場合、『これはいい!』と思えてないとあそこまでできないと思うんです。ある種のナルシズムがないとできないっていうか」


最近の人ってすごいですよね。作詞・作曲・編曲・演奏はもちろん、ジャケットのイラストも描いて、MVも自分で作ってっていう。


「あれは相当自分に自信がないとできないです。僕はそういうタイプではないし、どちらかというとバンドをやってるだけで喜べるタイプですから」


バンドをやるには燃料となる薪が必要だから、誰かが持ってこなきゃいけないってだけですもんね。


「そうなんです。今回はたまたま薪を割れる時間がそこそこあったっていう(笑)」


そう考えると今回は状況自体が新しいというか、かつてない時間をすごしたからこそ開いた引き出しがあるのかもしれませんね。たとえばステイホーム期間中、リモートを使ってバンドで合わせたりはしなかったんですか?


「一切やってないですね! リモートは無理ですよ。試そうともしなかったです。それはもうバンドじゃないと思います」


それはタイムラグが発生するから?


「タイムラグはネットワーク上の問題でしょ? そんなことを言いだす前に、まずその選択肢はなかったです。リモートでやるなんていう選択肢はない!!」


そこは断言しますね……じゃあステイホーム中は一切音合わせできず、3ヵ月近く何もできないまま?


「だから7月に集まって久々に音出した時は、非常に気持ちよかったですよ。ヘタクソになってましたけど」

〈なかなか声の届かない人〉〈光の当たらない人〉っていうのは必ず一定数いる。そういう人たちの声が少しでも代弁できれば、とは思うんです

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