5月26日にニューアルバム『新しい果実』をリリースするGRAPEVINE。彼らが表紙を飾る『音楽と人』6月号では、メンバーそれぞれへの個人インタビュー、田中和将が語るアルバム楽曲キーワードインタビュー、さらにGRAPEVINE愛の深いさまざまなジャンルの方に話を聞いた〈僕の、私のGRAPEVINE、この1曲〉など、盛りだくさんの内容で特集しています。
さらにWEBでは、アルバムリリースまでの間、2015年2月号に掲載した〈僕の私の「GRAPEVINE、この一曲」〉の一部を数日にわたって特別公開してきます。さまざまなミュージシャンからGRAPEVINEの好きな一曲を挙げてもらい、思い出や好きな理由を語るこちらの企画。多くのミュージシャンに影響を与えてきたGRAPEVINEの魂を感じてください。第1弾は、和田唱(TRICERATOPS)、稲村太佑(アルカラ)、松本大(LAMP IN TERREN)の3名。
(以下、音楽と人2015年2月号に掲載された記事です)
和田唱(TRICERATOPS)
「会いにいく」
(SINGLE、ALBUM『イデアの水槽』収録/2003.12.03)
バインの好きな曲を1曲……う~ん、「風待ち」にしようかと思ったけど今日のところは「会いにいく」にしよう。発表当時、随分豪華なビデオを作るなぁと軽く嫉妬した記憶が(笑)。でもそんな気持ちも帳消しにする、なんともいい曲。
同期であり、何かと比較されてきたGRAPEVINEに対しては、どこかでライバル意識は働いているのだろう。けれど、ライバルに抱きがちな嫌な感情を持ったことなど一度もない。音楽的に似たようなルーツを持っていて(それは決してここ日本ではポップとされないものも多く含む)かつ、自作曲はそれをポップソングとして昇華させようとする心意気。その辺に自分との共通点を多く見い出せるからだろう。
もちろんわかる奴にだけわかればいいという精神も併せ持ってる。なのに面白いのはバインとトライセラは生み出す音楽の感触が全く違うところだ。だからこそ2バンドともサヴァイヴして来れたんだと思う。リスナーもそれぞれのバンドのよさを理解してくれている。と同時にステレオタイプな評価に疑問を感じることもある。トライセラが「陽」だとするとバインが「陰」ってやつだ。
そんな単純ではない。
俺はバインの「陽」の部分にこそ注目したい。多くの曲のメロディ、田中くんの声、そして人柄は紛れもなく「陽」だと思ってるし、それこそが「会いにいく」等を聴いて心がホワっとなる所以であり、バインの奥行きに繋がってると思うのだ。では最後に。同期の戦友でいれることをいつだって誇りに思ってます。もうしばらくは、このよくわからん音楽界に居座ってやろう!!
【TRICERATOPS INFORMATION】
TRICERATOPS TOUR ’21 -OPEN THE GATE!-
2021年
6月11日(金) 愛知 名古屋DIAMOND HALL open18:00/start19:00
6月20日(日) 大阪 なんばHatch open16:00/start17:00
7月10日(土)東京 EX THEATER ROPPONGI open17:00/start18:00
チケット料金:全席指定¥6,500(税込) ※ドリンク代別
https://triceratops.net/
稲村太佑(アルカラ)
「B.D.S.」
(LIVE ALBUM『GRAPEVINE LIVE 2001 NAKED SONGS』/2002.02.20)
GRAPEVINEを知ったのは2001年1月ですね。バンドを結成する前で、交通事故で2ヵ月ほど入院していたんです。病院で退屈していた僕に友人が「音楽をやりたいならGRAPEVINEを聴いたほうが絶対いいよ」って勧めてくれて。それで聴き出したのがはじまりですね。いろんな要素が混ざり合っているのに美しくて、とてもロック。でもいざコピーして再現しようとしたら繊細さや綿密さがすごくて。この人たち本当に天才なんだなってあらためて思わされますね。だから好きな曲をあげるっていうのは非常に難しいですが、ライヴアルバムの『NAKED SONGS』がすごく好きで、その中でやってる「B.D.S.」ですかね。アルカラ結成初期のツアー中、よく移動中の車でこのアルバムを聴いていて、「B.D.S.」の曲終わりに「ありがっとぉー」って田中さんが叫んでるのが印象的で、面白くてよく真似してました。GRAPEVINEの音楽って、それぞれの楽器がそれぞれの持ち味を発揮し合い〈掛け算の音楽〉になっているんですよね。それでいて詰め込み過ぎてなく、引き算もしっかりできている。アコギ1本でも楽曲を成り立たせることができるっていうのは、やっぱり憧れますね。
メンバーには何度かお会いしているんですが、会うまでは〈もの静かで凛としてる〉印象でしたが、お会いしてからは〈気さく〉な方たちだなと思いました。とくに田中さんとは、お酒をご一緒させていただく時があったんですが、その時から兄貴であり師匠です。そしてすこし暴君でもあるという(笑)。ぜひまた〈ネコフェス〉に出てもらいたいですね。出演期待して待ってますー!!
【アルカラ INFORMATION】
アルカラ主催、神戸のサーキットイベント「ネコフェス2021」開催!
2021年6月26日(土)
・ネコフェス 前夜祭 ep.1(昼公演)
神戸RAT(弾き語り2マン予定)
・ネコフェス 前夜祭 ep.2(夜公演)
神戸BLUE PORT(3マン予定)
2021年6日27日(日)
・ネコフェス2021(2会場同時開催)
神戸CHICKEN GEORGE / 神戸VARIT.
2021年6月28日(月)
・ネコフェス後夜祭(アコースティックな後夜祭)
神戸ART HOUSE
https://nekofes.net/
https://arukara.net/
松本大(LAMP IN TERREN)
「Darlin’ from hell」
(ALBUM『TWANGS』収録/2009.07.15)
何にしようかめっちゃ迷ったんですけど、『TWANGS』ってアルバムに入ってる「Darlin’ from hell」ですね。もともとうちのベースが高校生の頃からGRAPEVINEが好きで、彼に教えてもらってCDショップでジャケ買いしたのが『TWANGS』だったんです。当時は歌詞の意味とかまったくわからなかったんですけど、曲の雰囲気が好きで。なんか、寂しかったんですよね、聴いてる時。でも、その寂しい穴を埋めてくれるような曲で。ここに自分がいるってことをあらためて実感させてくれる歌というか。この世界で生きてるってこととか、自分自身を満たしてくれてるって感覚にすごく近いのかな。
この前、〈スペースシャワー列伝100〉(註:2014年11月)で初めて対バンしたんですけど、本当に嬉しかったです。ちゃんと挨拶もできたし、連絡先を交換して写真も撮ってもらえて。あんまりライヴで喋らないから寡黙な人だと思ってたんですよ。そしたら、こんなに喋る人だったのかっていう(笑)。正直、冷たく接せられるだろうなって思ってたんで。でも、僕が送ったメールに、返信までしてくれて、その時は革命が起きたぐらいの衝撃でしたね。
僕は知ったのが最近なので、アルバムを出すたびに〈ここが変わった!〉とかはあんまり思えないんですけど、ニューアルバム(註:『Burning tree』2015年作)を聴かせてもらって、やっぱり今回もちゃんとGRAPEVINEだった。こんだけ長くバンドを続けていると、いろんな葛藤はあると思うんですけど、意思表示された感じがしました。新しいところに行ったけど僕たちはなにも変わりませんよっていう。だから大好きなんですよね。
【LAMP IN TERREN INFORMATION】
LAMP IN TERREN 定期公演『SEARCH #028』
5月26日(水)渋谷Star lounge
18:00OPEN / 18:30START(20:00END予定)
LAMP IN TERREN 定期公演『SEARCH #029』
6月26日(土)渋谷Star lounge
■『SEARCH #029 -マチネ-』(昼公演) 13:00OPEN / 13:30START
■『SEARCH #029 -ソワレ-』(夜公演) 16:30OPEN / 17:00START
https://www.lampinterren.com/
GRAPEVINEが表紙を飾る、音楽と人6月号が発売中!
はっとり(マカロニえんぴつ)、INORAN(LUNA SEA)、嶋佐和也(ニューヨーク)などが語る〈僕の、私のGRAPEVINE、この1曲〉を掲載。ぜひチェックを!
GRAPEVINE オフィシャルサイト https://www.grapevineonline.jp/