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MUCCドラマーSATOち、バンド脱退を語る

text by 樋口靖幸

この原稿を書いてる時点で発表の詳細は把握していないが、MUCCのドラマーSATOちの脱退が発表された。1997年の結成から現在まで20年以上バンドの屋台骨としてはもちろん、癒しキャラとしてファンに愛されてきた彼がMUCCを去るという事実はあまりにも衝撃がデカく、MUCC史上最も辛いこの知らせを冷静に受け止められる人は皆無だろう。
良くも悪くも、SATOちは自分のことよりも相手の気持ちや考えを大事にしてしまう男だ。ドラマーとしての自分に自信を持てず、バンドが要求するプレイやセンスを提示できない自分を責めてしまう。もっと自信を持て、言いたいことを言え、弱音を吐くんじゃないと、これまで取材で何度も彼に言い続けてきたが、以下のインタビューのとおり、すでに彼は何年も前に心が折れていたことを知って愕然とした。その気持ちを誰にも明かすことができないほど、彼を追い詰めてしまった人間の一人として今、自責の念に駆られている。もはや彼にとってドラムをプレイすることの苦しみや辛さは、仲間とバンドをやることの楽しさでチャラにすることができなくなっていたのだ。そして彼は、このバンドからの脱退とともにドラマーとしての人生に終止符を打つ。事実上の引退宣言である。
もちろん泣きたくなるほどその事実は悲しい。でも、彼はもうたくさん苦しんできた。他のメンバーも同じように苦しんできたことだろう。お互いこのままバンドを続けていたら、きっとみんなが不幸になってしまうのは間違いない。だから、この決断は彼らの未来にとって決して間違っていないし、まずは12月27日の武道館での4人を、しっかりとこの目に焼き付けたいと思う。そして、この苦渋の決断とともに次の人生への一歩を踏み出すことを決めた彼に、心からエールを贈りたい。



(これは『音楽と人』1月号に掲載された記事です)



撮影どうだった?


「久々だった」


そんなことないだろ。こないだYUKKE(MUCC、ベース)と2人でやったじゃん。


「ソロで音人出るのは久しぶりってこと」


そうか。で、こうやってソロで撮影してインタビューするハメになったのは、この号が出る数日前の発表を受けてのことなんだけど。


「12月2日」


そう。コメント、出すんだよね?


「出す。でもまだ書いてない。今はどう伝えればいいのか考えてるところ」


どう? 今の心境は。


「今は……落ち着いてる」


やっと落ち着いてきたってこと?


「自分の気持ちをメンバーに伝えてから、ずっと配信とかいろいろやってきたから。今、ちょっとだけ落ち着いてきた」


やらなきゃいけないことがいっぱいあって、それどころじゃなかったと。


「それもあるし、自分の気持ちが決まった時は、コロナでぴあアリーナがどうなるのかとか、先のことがわからない状態だったけど、今は先のことが見えてきたから。だから、5月と今とでは全然心境が違います」


辞めるって話をメンバーにした時はどんな気持ちだった?


「どんなだっただろう……。でもその時も落ち着いていたかもしれない」


一緒じゃんか。


「わかんない。あの時はもう……悟りを開いてる感じっていうか。気持ちは決まってて、あとはメンバーに伝えるだけ、みたいな状態だったんで」


その気持ちを伝えるのが大変だったんじゃない?


「大変だったけど、自分の中でもう決めちゃってたから。決めた時は、ちょうどコロナで誰とも会わなかったし。だから、自分で決めたから自分で納得して、っていう感じで」


そういう意味で落ち着いていたと。


「うん。無の状態になってた」


でも俺が知ってるSATOちって、相手の気持ちとか周りに迷惑がかかるとか、そういうことを考えすぎて、言いたいことが言えないタイプで。


「そうっすね」


つまり、ずっと言えないままだった。


「それは、あるのかもしれない」


今回、こういう結論を自分で出すことになったきっかけを教えてください。


「きっかけは……Aki(明希/SID)と一緒に廻ったツアーの時」


〈M.A.D〉ツアー。2016年か。


「あの時にまずピークが来て。ツアーっていうか、そのリハの時から。俺、あの時のリハで全然上手く叩けなくて。昔から下手くそだったけど、その時はいつも以上にダメで。ていうかリハに入る前、一人で個人練してる時からドラムセットの調整とかいろいろやってたけどダメで。自分でもダメだなってわかってるままリハに臨んで。そしたらやっぱダメで、リーダーがめちゃめちゃ怒って」


ミヤくんがキレるのはいつものことじゃん。


「そうなんだけど、その時リーダーから『ドラムに対するモチベーションはあるのか』みたいなことを聞かれて。でも俺、その時に何も言えなかったんですよ。本当は『モチベーションどころか、ドラムを叩くのが辛い』っていうのを言えばよかったんだけど」


言えなかったと。


「言えなくて、ずっと黙り込んじゃって。で、結局そのままリハやって、ツアーに出て。もちろん本番でも上手く叩けなくて、どうしてできないか考えれば考えるほどできなくなって。で、厚木だっけ? その時のライヴで俺、大ゴケしたんですよ。クリックとリズムがズレちゃって、ライヴ終わって楽屋戻ってからリーダーにめちゃめちゃ怒られて。『なんでできねえんだよ』って一喝されて」


そうやってリーダーに頭ごなしに言われることに対してはどうなの? 反発しようとは思わない?


「……MUCCを始めてる時点で、ミヤは親父みたいな存在だったから。親父に怒られても反抗しようとは思わないでしょ?  しかも誰よりも才能あって、曲も書いて詞も書いて、バンドのこといっぱいやってて。それはたぶん他のメンバーも同じ感覚だと思う」


その頃って20周年の前の年で。当時ミヤくんはすごく焦ってたと思う。〈このまま20周年迎えてもバンドが落ち目になるだけ〉みたいな。そのぶんメンバーへの当たりもキツかったというか。


「でもリーダーがそう思うことも正しいというか。そこでみんなが頑張らないとダメだし、でも俺は叩けなくて。その前からずっとそうだったけど、あの時はもうドラムが辛いっていう気持ちのピークだった」


そういう状況を変えたくて、SATOちなりにいろんなことを試して――。


「変えたいとは毎日思っていたし、毎日ドラムのことを思ってた。ドラムが向上するってどういうことだろう?って考えてたし、めっちゃいろんなことやってた。例えばYouTubeのドラムレッスンみたいなのをやってみたり。でも、メンタルがついていかなくて、何をやっても身にならない感じだった」


うん。『脈拍』のレコーディング現場で会った時、めちゃめちゃ暗かったもんな。


「覚えてる。しかもあの時『つまんねぇ』って言われたから。『今のオマエ、つまんないよ』って言われて、ショックだった」


そう言ったのは覚えてる。いつものSATOちじゃなかったから。


「俺、ドラムのことで悪く言われるのは慣れてるからいいんだけど。でもその時、『おまえヤバいよ』って言われて。『え、だってドラム一生懸命やってるよ』『ドラムじゃねぇ。オマエなんかヤバいよ。最近ちゃんと笑ってるか?』って」


そんなこと言ったか。


「だからあの時期は樋口さんに会うのが辛かった。だって全部、俺のこと見透かしてるから。でもそれ、最初に思ったのが〈負ヲ讃エル謳〉の時かな」


そんな前?


「その時もソロで取材されたの。で、その時も俺、ドラムで悩んでて、でもそんなこと誰にも言えないから『ドラム大好き』みたいな感じを装ってたんだけど、『今オマエはドラムが嫌いになってるだろ』って言われて」


図星だったと。


「でも言えないでしょ、ドラマーがドラムのことを嫌いになってるなんて。そういう核心を突くようなことを言われるから、怖かった。でも、当時からライヴを楽しくやるって感じじゃなくなってたから、そういう俺の気持ちに気づいたんだろうなって。とにかくリーダーに怒られないようにやるので精一杯だっし」

10年後のMUCCってものを想像した時、自分がMUCCの進化についていけてるとは思えなかった

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