POLYSICS
再び3人に戻ったPOLYSICSの新体制一発目のステージ。ハヤシ、フミが向かい合い、センターにヤノという布陣で、ストイックに3人の世界観を作り上げていく。ハンドマイクのハヤシがシンセを操りながら唄う「Crazy My Bone」、ヤノがパッドを叩く「DNA Junction」など、レア曲ばかりの中で3人のプレイがバチバチとぶつかり合う。いつものUKFCでは、お客さんと一緒にハッピーな空気を生み出すことが多かったが、オンラインならではのディープな内容。しかし、ひとり遊びのように夢中でプレイする3人の姿は、なによりもPOLYSICSらしくて、最後まで画面に惹きつけられっぱなしだった。全14曲、ノーMC、ノートイスの50分。演奏後に倒れ込んだハヤシに拍手喝采!
EASTOKLAB
ブルーのライティングに照らされたステージに現れたのは、昨年UKプロジェクトからデビューを果たしたEASTOKLAB。POLYSICSが残した強烈な熱量に臆することなく、「Contrail」から幻想的なシューゲイズサウンドを響かせていく。隙間の多いサウンド、伸びやかなファルセット。デジタルとバンドの生音が重なり、時間の流れを忘れさせるような非日常空間体験。全曲、6月にリリースされた新作からのラインナップで、今の自分たちをこの場所にしっかり刻みつけていた。
the telephones
「配信だからって関係ねぇ! 踊ろうぜー!」と石毛がシャウトすると、新曲「Here We Go」で幕開け。この日、この他に3つの新曲を披露し、復帰後初、新境地とも言える11月発売のニューアルバムへの期待を高めた。しかしライヴは全体をとおして、いい意味でいつもどおりのthe telephones。ステージを自由に飛び跳ねまくるノブは、フロアへ降りてアルコールスプレーを大量噴射し、石毛の「ディスコー!」もキレキレ。なのにMCはゆるくてグダグダ(笑)。無観客とかオンラインとか彼らには関係ない。いかに振り切れるか、いかに楽しいと思えるか、そこだけを狙い、遊び尽くすだけ。最後は「Love&DISCO」で、特大の愛とディスコを大放出。「開催するか迷ったと思うけど、開催してくれてありがとう」と、この日を迎えられた感謝と喜びを言葉にして、ステージを去っていった。
the shes gone
FUTURE STAGEのトリを務めるthe shes goneは、「行くぞUKFCー!」と兼丸が気合いを入れる。初登場の去年は、緊張とプレッシャーが伝わるステージだったが、今年は堂々とした佇まいで、落ち着いた演奏。それによってグッと自分たちの空気を引き寄せていた。切ないメロディに乗せて、心にしまったままの思いや後悔を紡ぐ歌。届かなかった思いを誰かと共有することで気持ちが楽になる瞬間がある。丁寧に4曲を演奏し終えると深々とお辞儀する4人。目の前に人がいなくても、たとえ画面越しでも、彼らの温かい思いはきっと伝わったはずだ。
[Alexandros]
10回目のUKFCのオオトリは、今年10周年を迎えた[Alexandros]。「Run Away (Bedroom ver.)」でゆったりとスタートすると、いつまでベッドで横になってんだと「She’s Very」「Dracula La」でテンションを上げて叩き起こす。合間には、タブレットやスマホをもちいて視聴者のコメントを拾い、配信ならではの方法でお客さんとの交流を図る場面も。中盤に「久々に仲間に会えてうれしい」と口にしていた川上。しかし、「10年前の初出演の時、全部のバンドにケンカ売ってました。この曲をやるとその時の気持ちが蘇ります」というMCを挟んで、ラストは「For Freedom」。ギラついたサウンドがビシビシ伝わってくる。どれだけ大きな会場でやれるようになっても、後輩も先輩も関係なく、全員ぶっ倒す気持ちでライヴに臨む。それは10年前から変わらずに彼らがライヴで示してきた姿勢そのもの。アンコールでは「LAST MINUTE」を披露して、今年のUKFCが終幕した。
感染対策として、出演したバンドは演奏後すみやかに退館していたので、終演後に全員で記念撮影したり、ステージに誰かが乱入したり、という目に見える和気あいあいとした場面は今年はなかったけれど、お互いの闘い方でせめぎ合うというUKFCに脈々と流れるものが全面に見える日だった。新しい発見もたくさんあった。しかし、願わくはライヴハウスでその熱量を体感したい。毎年、次回の開催が明言されないこのイベントだが、来年こそは――、そうあれることを今はただ願うばかり。
文=竹内陽香
写真=@masaty_x、AZUSA TAKADA、河本悠貴
セトリプレイリスト公開中 https://ukp.lnk.to/UKFCintheAir/
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