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INTERVIEW
  • #THE BACK HORN
  • #アーカイヴ

THE BACK HORN山田将司の唄う意味とは。休止期間の思いを語る

俺、やっぱり唄いたいんだなってわかった。唄うというコミュニケーションが、俺の世界をちょっとずつ広げてくれたから



そうしてみて何か変わりましたか。


「まだわかんないね。だってこの4、5ヵ月、全然人と会ってないから(笑)」


でも1月、確か手術する前だったと思うけど、フラッド(a flood of circle)のライヴで会ったじゃん。


「会ったねー。フラッドと真空ホロウのライヴには行ったんだ。なんかね、自分のせいでツアー飛ばして、歌も唄えなくて、下手したら俺、このまま音楽から離れていっちゃうんじゃないかって不安があったから、確かめたかったんだよね。ライヴ観て、どんな気持ちになるかを。その頃、音楽を聴くのは好きだけど、別に作ったり唄ったりしなくてもいいんじゃないかな、って思ってたし」


ライヴのあとに、けっこうしつこくメシ誘ったじゃん? ぶっちゃけ将司がそういう気配を覗かせてたから、心配だったんだよ。


「でも、ファンのみんなはもちろん、メンバーや先輩のバンドマンが気にかけてくれてるのに、自分が(声が出ないことを)ちゃんと受け止めないまま終わらせるのは失礼だな、と思ったんだよね。あと、俺、幸せすぎるところにいると気持ち悪くなるんだよ。たとえば大切な人と一緒にいて、幸せな瞬間があると、その幸せを受け止めちゃいけないような気になっちゃう。だから後輩がすごく心配してくれて『将司さん、大丈夫ですか?』って声かけてくれてるのに、『なんでオメーは、大丈夫じゃねぇ人に大丈夫ですかって言うんだよ!』って絡んだりしてたな(笑)」


本当にメンタル弱ってたんだね。


「そんな状態で歌を唄っても、いい歌なんか唄えるはずないよね」


そして2月に手術して、ずっと安静にしていたと。


「トレーニングばっかりしてたね。3日間ジム行って、1日休んでの繰り返し。週6くらいジム行ってた。なんかやってないと気が狂いそうで。不安でしょうがないっていうか、自分がどうなっちゃうかわかんなくて」


体力落としちゃいけないしね。


「でも俺、いろんな人から気にかけてもらって、物事を素直に受け止められる気持ちになったな。それまで、自分の気持ちが誰にわかる、って感覚だったけど、こういうことに直面して、支えてくれる人の気持ちに感謝できるようになった。自分の性格の悪さにげんなりしつつ(笑)」


将司の性格が悪かったら俺なんかどうなるんだ。


「自分のことしか考えてなかったもん」


でも手術終わって、ちょっとは楽になった?


「まあね」


しばらく声出さなかったんでしょ?


「2日間は完全沈黙。3日目から受け答えくらいはするようになって、5日目くらいから話し始めた。なかなかキツかったよ。しゃべれないから、このまま声が出なかったらどうしようって不安だった。唄うことしかできなかったのに、このまま唄えない人生になっちゃったらどうしようって」


だろうね。


「でもその不安は3日間だけじゃなくて、ライヴ飛ばした時からだね。正直、ステージに立つことが怖くなった。それでもやっちゃうんだけどね。『運命開花』のツアーだったかな、奈良のネバーランドでライヴやった時も、一切声が出なくて、お客さんに唄ってもらってどうにか終えて。もうこんな気持ちでステージ立つの嫌だ、って思ったくせに、3日後、次のライヴになったら、ステロイド打ってステージに立ってた。そういうところ、バカなんだろうね。恐怖心を忘れちゃうっていうかさ。普通だったらみんな、唄い方を変えるとかキーを下げるとかして、どうにか回避することを考えると思うんだけど、俺全然そういうこと考えなくて。自分が強くあればいけるはず。だから大丈夫っていう精神論で立ち向かおうとするの。でも強くなくて、何度も返り討ち(苦笑)」


そうやって立ち向かおうとする姿勢がバックホーンらしさじゃないですか。


「そうなんだよ。こうなったのは生活が一因でもあるから、そこは改善していくけど、唄い方をガラッと変える気はない。それは待ってくれてる人たちを裏切らないために言ってるわけじゃなくて、これからも自分がグッとくるところを求めていきたいから」


やっぱり最終的にはそこなんですよね。


「バックホーン唄う時はたぶんそうなるよ。バックホーンじゃない曲を唄う時があれば、もう少し優しく唄うかもしれないけど」


バックホーンのヴォーカルは、こういう唄い方じゃないとダメなんだ、と。


「ダメだね。だってバックホーンという存在が出してるエネルギーは、メンバー1人1人の個の強さだから。そのエネルギーがデカすぎるから、それを甘っちょろい気持ちでは唄えないんだよね」

(誌面未掲載カット)


手術後、リハに入って唄ったりした?


「リハは1回も入ってない。自宅で発声練習っていうか、声を出すリハビリしてるだけだね」


早くそういう場で唄いたいと思いますか。


「うーん……まだ思わないね(笑)。自分が完全にでき上がって、これは間違いねぇってなったらそう思えるかもしれないけど、コロナでみんな自宅待機になっちゃったしね。ARABAKI(ROCK FEST. 20)も、9mm(Parabellum Bullet)とやるイベントも延期になったし。だからその期間中も、ゆっくりリハビリさせてもらおうかなって。前向きにとらえてるけど」


この取材も、5月末からツアー再開だから、それに向けたインタビューのつもりだったけど、自粛要請が続いて、社会はどんどん閉塞していって、本当に先が見えなくなって。


「外に出ることすら制限されてくると、おかしくなっちゃうよね。こういう時こそ、メンタルをどう保持していくのかが大切でさ」


そうだよね。社会との繋がりがSNSくらいになっちゃうから、出処がわからない情報で、不信や憎しみが煽られてさ。


「そうならないようにしたいね。ライヴってさ、どんな考えの人が来ても、その瞬間だけはステージ観て、ひとつになれるわけじゃん。不信も憎しみも忘れてさ。だから好きだし、今だからこそ力になりたいって思うよ」


いいんじゃない?


「優しくありたいよね。もちろん声をあげなきゃいけない時はあるけどさ、あえてギスギスさせるような物言いをすると、どんどん分断されていくから。優しくなろうとしないと、そうなれないじゃない?」


そうありたいね。そういう気持ちも含めて、今回喉を壊して、手術して、バンドを休止して、あらためて感じたことはありますか?


「この長い休みで、自分のことを客観的に見れたのはよかったと思ってる。俺、やっぱり唄いたいんだなってわかったから。唄うというコミュニケーションが、俺の世界をちょっとずつ広げてくれたから」


そうだね。


「あまりにもキツそうな俺を見て、優しさから『辛いなら辞めちゃえばいいじゃん』って言ってくれた人もいたけど、やっぱり俺、唄うことでいろんなことを知ったと思うから。メンバーもスタッフも、もちろんお客さんも、出会えた人みんな、俺の宝物だからさ。それを手放したくないし、諦めたくないんだよね。後々、声が出なかった時のことを回想して、あれもいい時間だったって思えるように、この先を生きたいよね。声が出ないってことは、俺にとって、死を宣告されたようなもんだから……1回終わった気持ちで客観的に見ると、感謝の気持ちが芽生えてくるんだよね。遅いんだけどね。もっと早いうちから……」


いやいや、そうなって気づくものだから。俺も雑誌休刊になった時、初めて気づいたもん。


「そういうもんだよね。だから俺、もっと優しくなれると思うんだ」


将司は前から優しいよ。


「いろんな人に支えてもらって、ここまでやってこれたし、また唄おうって思えたから。そういう人との出会いがなかったら、きっと辞めてた。そのために恩返しもしたいし、自分のことも幸せにして、それがいいほうに連鎖して、どんどん自分の命がつながっていけばいいな、って思ってる」


以前は、自分はどうなってもいいから、だったのが、自分のことも幸せにしたい、って思えたのは、とても大きな変化だし、いいことだよ。


「そうだね」


自暴自棄よ、さようなら(笑)。


「楽しみにしててよ」



文=金光裕史
撮影=笠井爾示


DIGITAL SINGLE「瑠璃色のキャンバス」
2020.06.24 RELEASE

Download / Streaming https://jvcmusic.lnk.to/ruriironocanvas
特設サイト https://www.thebackhorn.com/feat/ruriiro



THE BACK HORN オフィシャルサイト https://www.thebackhorn.com/

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