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yonigeが今、真新しさで溢れる理由とは? 心の脱皮を経てたどり着いた新作を紐解く

text by 宇佐美裕世

朝一番の澄んだ空気を吸った時のように、新鮮な気持ちになった。yonigeの最新アルバム『健全な社会』は、歌詞もサウンドもすべてが真新しい。牛丸ありさ(ヴォーカル&ギター)は、前作『HOUSE』の取材時、「恋愛から距離を置いて曲を書きたい」と語っていた。恋愛の曲を求められるばかりに、一時は曲を書くことが嫌いになった日もあったという。しかし、約1年半の時を経てリリースされる本作で、牛丸は完全に恋愛の呪縛から解き放たれ、自分以外のことや、人と人との関わりを客観的な視点で無理なく描ききっている。怒りと悲しみから恋人にアボカドを投げつけた経験を唄っていたあの頃とはまた別の魅力が、今このバンドには溢れているはず。バンドとしても人としても、こちらが想像していた以上に成熟していたことに少し寂しい気もするが、今のyonigeがもっとたくさんの人に届いてほしいという気持ちのほうが圧倒的に強い。yonigeにとって新しい名刺的な1枚となった本作。きっと彼女たちをより開けた場所に連れて行ってくれるのだろう。



(これは『音楽と人』2020年6月号に掲載された記事です)



あんまり言いたくないんですけど、素晴らしいアルバムだなって、聴き終えたあとすぐに思いました。


ごっきん(ベース&コーラス)「あんまり言いたくないんですか(笑)」


素晴らしいって簡単にまとめてしまうのが嫌いで(笑)。


ごっきん「あぁーなるほど」


『健全な社会』ってタイトルはどうやって決めたんですか?


牛丸「まず、歌詞カードをテストの裏側に落書きしたみたいな感じにしたくて、そこからジャケット写真は学校にしようってなって。学校で習字の授業があるじゃないですか」


ありますね。


牛丸「あれで書く言葉って、なんか全部胡散臭いものばっかじゃないですか」


ああ、やけに前向きな感じの。


牛丸「〈希望〉〈青い空〉とか。それ面白いなと思って画像検索してたら、〈健全な社会〉っていう習字がバーッて並んでる画像があって。なんか、けっこうワード強めやなって思って。今思えば、すごい強めなワードなのに、あの時は授業だから何も考えずに書かされてたみたいな。それが面白いから使いたくなったんですけど、yonigeは社会派バンドじゃないから(笑)」


過激な思想は持ってないですよね。


牛丸「そんな強めなワード使っていいのかなって思ったけど、やっぱり〈健全な社会〉って言葉が面白いので使いました」


歌詞にも強い思想とかが入ってるわけじゃなくて、基本的には日常のふとした瞬間に湧き上がるような感情がメインになってますよね。そのなんでもない毎日こそが〈健全〉とも言えるんで、タイトルと曲がリンクしてる部分もあると思うんですが……最初からそういうテーマで曲を作ろうと考えてました?


牛丸「完全に後付けですね、アルバムのタイトルは。曲を作りながらなんとなく『健全な社会』かなって思って付けて。でも結果的に、毎日人とのお別れがあったり、悲しいことがあったり、モヤモヤすることばっかりだけど、それが一番健全な日常というか、健全な毎日だっていう意味をあとから付けましたね」


なるほど。今回、過去に思いを馳せてる曲が多いですよね。「11月24日」の〈どこにもいないよ、過去は〉って歌詞だったり、「ここじゃない場所」の〈手当たり次第探している/あの日、あの時、正しい言葉選びを/ずっと忘れていた人たちを/思い出しては、忘れる〉とか、「あかるいみらい」の〈思い出す、あの日のこと〉とか、「春一番」の〈もういないあの人も、知らないあの人も必ず/思う過去があり、思う人がいるのか〉も。


牛丸「そうですね、曲を何曲か書いてるうちに、〈忘れる〉っていうワードに自分自身ハマったというか、今一番書きたいことだったっぽくて。すごい久しぶりに、学校の友達とか、忘れかけてたような人たちから連絡が来て〈あっ、久しぶりだな〉と思ったけど、たぶんまたすぐ忘れるんだろうな、みたいなことを思ったりして。なんだろう……忘れるって、一番無意識で罪悪感がなくて、自分でもコントロールできない行為じゃないですか」



悲しいですけど、悪気も何もないんですよね。


牛丸「だからこそ、一番悲しいことなのかなって思ってましたね。人のことを嫌いになるとか、喧嘩するとかよりも、全部忘れることのほうがずっと悲しいことなんだなっていうのは最近しみじみ思ってて、無意識に書いてましたね。私の中で失恋したとか、何か失ったとかでもないんですけど。なんとなく、忘れるって悲しい行為だって最近すごい思ってました。たぶん、自分自身のことでは悲しくならないんですよね。客観的に見てるのが一番悲しくないですか? あの子、あの人のこと好きだったのに忘れちゃったんだとか、痴呆症のおばあちゃんとか」


うんうん。前作『HOUSE』のインタビューで、「恋愛とかにあまり重きを置かないで、日常のことを書きたい」っておっしゃってたんですよ。で、今作ではその〈忘れる〉っていう自然な行為に目を向けてみたり、表現の幅がまたさらに広がってるなと思ったんです。


牛丸「そうですね。『HOUSE』の前の『girls like girls』の時は完全に恋愛に振り切ってたんですけど、『HOUSE』はまさに『健全な社会』と『girls like girls』の中間で。どっちにもまだ振り切れてなくて、『HOUSE』は私の中で挑戦の初めの一歩みたいな作品だったんです。でも今回やっと自分の過去のこととか恋愛のこととか、そういう個人的なことよりも、すごい客観的に人と人との関わり合いをシンプルに書けましたね」


人と人との関わり合いを客観的に書くために、心がけていたことはありますか?


牛丸「えー、一番はプライベートを大事にするってことですね。プライベートっていうか、プライベートで関わってる人たちを大事にすることですかね。仕事とか、映画観るとか、小説読むとかより、人とちゃんと関わることかもしれない」


生身の人と向き合うことですね。


牛丸「うん」


ごっきん「そのターニングポイントになった知り合いが牛丸にはいて、その人と出会ってからいろいろ面白い方向に変わっていってるなとは思います。その人の仕事への姿勢とかを見てると、すごく新しい世界を取り込んでくれるというか」

「なんとかなる」でまかり通らない時期だし、いろいろ考えないといけない

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