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  • #マカロニえんぴつ
  • #ライヴレポート

「マカロニえんぴつが必要ですか?」快進撃が続く彼らが曲や言葉を通じて気づかせてくれること

text by 宇佐美裕世

【Live Report】
マカロックツアーvol.8 〜オールシーズン年中無休でステイ・ウィズ・ユー篇〜
2020.01.12 at 東京 マイナビBLITZ赤坂



〈僕らは美しい〉


これはマカロニえんぴつの「ヤングアダルト」の一節だが、今の彼らをこれ以上ないほど表している言葉ではないかと思う。今月12日に開催された、マカロニえんぴつのワンマンライヴ〈マカロックツアーvol.8 ~オールシーズン年中無休でステイ・ウィズ・ユー篇~〉のファイナル公演を観て、強くそう思った。公演中も、公演から数日経った今でも、この言葉が頭の中に何度も浮かぶほど、あの日の彼らは眩しくて仕方がなかった。


マイナビBLITZ赤坂という自身最大規模のキャパに、超満員の観客。チケットは即完。それだけでバンドがいい状況であることは十分伝わってくるが、ステージ上にいた4人の姿が何よりもそれを表していた。「初めての人も大勢いると思うから、新旧まんべんなくセトリを組みました!」というはっとり(ギター&ヴォーカル)の言葉通り、マクドナルドのCMソングにも起用され、彼らの音楽がより多くの人に届くきっかけとなった「青春と一瞬」に始まり、「レモンパイ」「トリコになれ」「ワンドリンク別」「ブルーベリー・ナイツ」「洗濯機と君とラヂオ」と挙げたらキリがないが、これまでの彼らの歩みをたどるように、さまざまな曲が披露された。それらをすべて、心の底から楽しそうに演奏する姿が印象的だった。キーボードの長谷川(大喜)は、隣でにこやかに音を紡ぐ高野(賢也/ベース)に倣い、エアベースを披露しながら飛び跳ねてみたり、ギターの田辺(由明)は最年長として安定感のある堂々としたプレイを魅せる。そして、会場にいる観客、LINE LIVEでの配信を見ている人、1人1人に届くように、感情を込めて丁寧に唄い上げるはっとり。無理に自分たちを大きく見せようとか繕うわけではなく、あくまで自然体。それでいて迷いの一切ない彼らのパフォーマンスからは、この4人でバンド活動ができていることへの喜びや充実感、自分たちの音楽に対する揺るぎない自信のようなものが滲んでいる気がした。


この日最も印象的だった曲は、はっとりが憧れのあのミュージシャンへの思いを綴った〈あこがれ〉だった。正確に言えば、この曲はいつ聴いてもグッとくるし印象に残る。しかし、現に彼らがたくさんの人の「あこがれ」になっていることを証明しているような、この超満員の会場で聴くことで、言葉1つ1つがいつも以上に強く響くのだ。


〈どんなに頑張ったって/あなたにはなれないけど/憧れだけで生きていけるさ/才能ないとか/やめちまえとか言われても/憧れはやめられないから〉


誰にだって、憧れはある。その憧れに導かれるままに一歩を踏み出して、厳しい現実に直面して、挫折しそうになったり、未来に不安を感じることは山ほどある。マカロニえんぴつも、自分たちの進むべき方向性を見失ったことがあったという。いつかは飽きられて、リスナーが自分たちのところから離れていくんじゃないか? そんな不安に苛まれながら、それでも自分たちの曲を求めてくれる人たちのために、自分たちが心から納得できる音楽を追求し続けた。その結果、今日という日を迎えた。憧れの先にちゃんと道が続くことを、彼らは身をもって証明してくれたのだ。


マカロニえんぴつの曲は、やっぱりどうしようもなく優しい。時には情けない自分を肯定してくれたり、日常へのやるせない感情を代弁してくれる。世代も性別も問わない、たくさんの「共鳴」が詰まっている。この日、フロアを埋め尽くしていたのは、そんなマカロニえんぴつの曲が、好きで好きで仕方ない人たちばかりだったのだろう。コール&レスポンスは徹底的に大きな声で返すが、しっとりした曲ではジッと聴き入る。思わずはっとりも「盛り上がるところは盛り上がってくれて、でもちゃんと聴いてくれて……」と感嘆の声を上げていたが、彼らの曲が観客の愛情を吸収して、さらに大きく育っていく瞬間を目撃しているような気分だった。


アンコールで〈ヤングアダルト〉を披露する前、はっとりはこんなふうに言葉を投げかけてくれた。


「マカロニえんぴつが必要ですか? 俺たちも、あなたがいなきゃ意味が無いんです。生きていくってめんどくさい。でも絶望の裏側に希望があって、それを見つけるのはセンスです。ここにいるあなたたちは、センスがいい。生きる力をたくさん知っています。これからも、この音楽をよろしく」


今、彼らはシーンの最前線へ躍り出ようとしてるのに、浮かれている様子はない。それはきっとこの先も変わることはないだろう。曲中ではよく愛を求めているのに、観客よりも堂々と愛を与えてくれるはっとりを観て、このバンドはこれからもリスナーと真摯に向き合い、曲や言葉を通じて絶望を希望に塗り替えてくれるのだろうと思った。そして、何度だって気づかせてくれるはずだ。僕らは美しい、と。


公演終了後、『LiKE』リリース時のインタビューで、はっとりが話してくれたことを思い出した。


「自分の曲を好きな人は自分に似てる人だと思ってるから、そういう人たちを繋ぎ留めたい。本当の意味で縋ってくれる人がいてくれればそれでいいんです」


それが現実になる日もそう遠くはないと思えるような、温かい夜だった。


文=宇佐美裕世


【SET LIST】

01 青春と一瞬
02 トリコになれ
03 レモンパイ
04 恋のマジカルミステリー
05 眺めがいいね
06 MUSIC
07 愛の手
08 ワンドリンク別
09 幸せやそれに似たもの
10 TREND
11 STAY with ME
12 ブルーベリー・ナイツ
13 あこがれ
14 二人ぼっちの夜
15 洗濯機と君とラヂオ
16 Supernova
17 ハートロッカー
18 ヤングアダルト

ENCORE
01恋人ごっこ
02 ミスター・ブルースカイ


NEW ALBUM『hope』
2020.04.01 RELEASE

レモンパイ
ブルーベリー・ナイツ
青春と一瞬[Strings ver.]
Supernova
ヤングアダルト
遠心

全13曲収録予定(曲順、収録曲数未定)


マカロニえんぴつ オフィシャルHP http://macaroniempitsu.com/

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