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INTERVIEW
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映画「森山直太朗 人間の森をぬけて」インタビュー。鬱蒼とした森の中で見つかった心の闇について

今はお互いに自分のことを主張し合うんじゃなくて、お互い自立の時期を迎えてるんだと思う



という事実を踏まえてこれを観ると、なかなかエグい作品だと思います。


「エグい質問ばっかりする人が『エグい』って言うんだったらいいドキュメンタリーだね(笑)」


森山直太朗が御徒町に対してキレてるシーンはかなりエグい。


「あったっけ? 俺がキレてる場面」


神戸のリハ。


「ああ。キレてるのは向こうでしょ。俺もキレてたっけ?」


わかりやすくキレてるわけじゃないけど、溜まってたものが一気に出た、みたいな感じで。


「あぁ。でも俺、キレ方をあまり知らないというか」


だから切れ味が悪い(笑)。


「あははははは。そのへんが自分的にはすごくモヤモヤするんですよ。ダメだなぁって」


でもそれは御徒町くんに限らず、誰に対してもハッキリ言えない人じゃないですか。


「そうですね」


自分の中に溜め込んでモヤモヤさせるっていう。


「そう。だから俺と彼の関係以前に、自分の育ってきた環境にも〈人間の森〉はあったというか、それ自体がハッキリ見えたような気がする」


例えばそれはどういう部分で?


「人との関係性の築き方、かな。どこかいつも……相手のご機嫌を窺いながら生きてきた節があって。それはなぜかというと、母親(森山良子)を筆頭に、みんながそれぞれ好きなことをやってるような家庭だったから、いわゆる家族的な横の繋がりが薄かったの。でもこれは決してネガティヴなことではないんですけどね。で、両親はのちに離婚するわけなんですけど、子供ながらにまず母親と一緒にいたいっていうのが当然あって。だけど基本的に旅芸人みたいな仕事だから家にはいない。久しぶりに会えたとしても、ここで俺が寂しいとか泣き言言ったら迷惑かかったり嫌われちゃうとか、そういうことを子供ながらに察知して、自分を装っていたというか」


要は期待に応えていたと。


「そういう子供らしくない部分があったし、自分の中で家族愛みたいなものに対しての歪んだ何かが、そのまま友達だったり、恋愛だったり、さらにこの活動においても、いろんな人との関係にも色濃く反映してて。その象徴が奈歩(前マネージャー。森山の異父姉でもある)との関係もそう。とにかく彼女に対しては同調するポジションをとるっていう」


まな板の鯉というか。


「実際すごくプロデュースの気質がある人だから、乗っかってよかった部分もたくさんあって。でもその関係においても溜め込んできた自分というのがあり、そして……今に至る(笑)」


ずいぶん話を端折ったな(笑)。


「はははは。でも〈人間の森〉っていうツアーだけに、本当に鬱蒼とした舞台だったんですよ。映画の前半部分に函館で呑みながら『俺には俺の基準があるんだ』って御徒町に抗戦している場面があるんだけど、じゃあそれが何なのかっていうことに対して思考が尽きちゃいそうになるぐらい大変で。とにかく自分の尊厳みたいなものをちゃんと訴えていかないと、大きな渦に飲み込まれるような感覚があったから」


ツアーの中で御徒町くんも常にそれを求め続けてましたよね、主体性という言葉で。


「これ読んで誤解してほしくないのは、御徒町は本当の気持ちとかウソのない言葉で人と触れ合っていたいだけなんだよ。けど変に頭がいいというか知恵があるから、言葉で人のスタンスを測ったり、言葉で追い込んでしまうところもある。そういう彼に対して俺は俺で自分のやりたいことを主張し続けなきゃいけない。けど、今はお互いに自分のことを主張し合うんじゃなくて、お互い自立の時期を迎えてるんだと思う」


鬱蒼としたツアーを潜り抜けた結果、森山直太朗は1人の人間として自立したい。それが今の心境ですか?


「まず、もっと自分らしい表現というものを1人でしたいです。1人で唄いたい、1人で表現したい。たぶん僕…………もっといいことができるはずなんですよ」


いいこと?(笑)。


「うん(笑)。いいことって何?て感じなんだけど、もっと自分の表現で……僕の音楽を聴いてくれる人たちをもっと鼓舞できるような、音楽にとどまらない表現ができるんですよ。でもそこに踏み込もうとはせず、今の自分だったり環境というものに手を打っていた自分がいて。そのことに気づいた」


つまりちゃんと人と向き合える自分でありたい、っていうことですよね。相手の顔色を窺ったり同調するポジションから人と付き合うのではなく。


「そう。ずっと殺してきた自分というものをちゃんと表現しようと。それが『1人で唄いたい』っていう意味」


じゃあここから新しい森山直太朗の音楽が生まれるってことなんでしょうか。


「わかんない。今は新しいものを作りたいとかクリエイティヴな発想には行き着かなくて。とにかくその前に舞台の上で表現をどうにかしたい。新しい創作の前にやるべきことがたくさんあるような気分なんですよ。例えば〈さくら(二〇一九)〉を今回出してるのも、もともと僕がやろうって思ってやったことじゃないんだけど、どこか心の底から願ってたことでもあって。今の表現で、今までやってきた曲を聴いてもらいたいんですよ。それが今やりたいこと。だから、自分の足元を見つめ直すというか、土掘り返すみたいなことを『もう1回この曲でやり直せるならやり直せ』って言われてるような気がするんですよ。だからここからがスタート……って、いっつもこのインタビューではそのセリフを言ってるけど……でも、これで本当に最後にしたい」


あはははははは!


「ここからが本当のスタートです(笑)」


文=樋口靖幸


映画「森山直太朗 人間の森をぬけて」
12月13日全国公開

監督:番場秀一
出演:森山直太朗 御徒町凧 ほか

全国8ヵ所にて、公開記念・トークイベント付き上映会を開催
映画特設サイト https://www.wowow.co.jp/music/moriyama_movie/
映画twitter https://twitter.com/moriyama_movie


「さくら(二〇一九)」
配信中

「さくら(二〇一九)」特設サイト https://www.universal-music.co.jp/moriyama-naotaro/sakura2019/

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