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INTERVIEW
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20周年を経ても変わらぬ生への渇望。最新作から見えたTHE BACK HORNの現在地

text by 石井恵梨子

結成20周年を経て、新しくいい風が吹き始めた。10年目を超えてからのバックホーンは比較的安定した活動を続けてきたが、そこに胡座をかくメンバーがいなかったことが大きいのだろう。制作作業を等しく分担する4人は、切磋琢磨を繰り返しな がらバンドに足りないものを補完しあい、作品やライヴのために細やかな創意工夫を繰り返してきた。ハードなロックナンバーからメランコリックな歌もの、過激すぎる叱咤激励から心の一番弱いところを包むメッセージまで、最新作『カルペ・ディエム』は過去最高のバランス感覚を誇っている。そのうえで、ファーストとまるで変わらない〈生への渇望〉がギラギラ輝いているのだ。普通なら、円熟すると薄れていくもの。それがなくならないのは「バックホーンだから」だと菅波栄純(ギター)は言う。彼への単独取材から見えてきたのは、今のバックホーンがとてもいい季節にいる、ということだった。

(これは『音楽と人』2019年11月号に掲載された記事です)



遅くなったけど20周年の締めの武道館、よかったです。

「あぁ。来てくれてましたね。あれはよかったですねぇ。なんか20周年、けっこう俺ら長いことやってたんですよ」

20周年というか、その準備をね(笑)。

「そう。2017年の野音でのワンマンライヴから〈20周年イヤー〉って形で始めてて、その締め括りになるのが武道館だったから、俺らにとってもいい節目になったし。なんか、武道館で観たら改めて惚れ直した、みたいな人はいるんじゃないかと思います。けっこうカッコよかったんで、俺ら」

はははは。その発言そのまま載せるぞ。

「あははは。武道館の俺ら、カッコよかったと思います!」

そこからアルバムに繋がったものってありますか。今回はもう、生きろ!っていう一言に集約されるアルバムで。

「確かに。バンドが、そう言ってる感じ。なんとなくそれが必然になってる感じがしてて。この〈カルペ・ディエム〉って言葉はマツ(松田晋二/ドラム)が見つけてきて、まぁ俺らは〈今を掴め〉っていう解釈をしてるんだけど。でも昔、メジャー3枚目くらいの『イキルサイノウ』とか出してた頃って、〈メメント・モリ〉って言葉をわりとテーマにしてたの。表題じゃなくて、作る時のテーマとして」

死を想う、っていうね。

「そう。死を想うことで生を実感するっていう。で、〈カルペ・ディエム〉っていうのは、今生きてることを存分に発揮する、みたいなことだと思うんですよ。それって死を想うことと一緒で。表裏一体というか。俺の中では〈メメント・モリ〉から〈カルペ・ディエム〉に変換されただけで、その背後には〈いつ死ぬかわかんねぇぞ?〉っていう感覚があるのは変わんない気がする」

確かに。そこはバックホーンの変わらないところ。

「そう。で、20周年を経て武道館もあって、ここまでスタッフとかファンに支えてもらってきたなって実感もあって。そういう人たちに届けたいものを考えた時に、自然に前向きな言葉が出てきたんだと思う。マツが最初に言ってたんですよ。今回は応援じゃないけど、聴いた人が〈よーし!〉ってなるような曲を多く入れたい、って。その理由はやっぱり、20周年が終わった達成感と感謝みたいなものだと思う」

うん。これね、秋のアルバムっていう感じがした。

「あぁ、なるほどね! それは初めて言われた……でもそっか、あー、中盤とかは確かに秋が合うなぁ」

バックホーンを生き物として見るなら、もう春の季節にはいないと思うんだ。で、実は夏も過ぎてるかもしれない。

「はいはい。真っ盛り! 発情! みたいな感じではなくて」

そうそう。ただ、秋だからってしんみりするんじゃなくて、ここからもう1回、ちゃんと生きるぞ、って確認してるような感じ。

「季節で例えるなら確かにそうかもしれない。夏真っ盛りでギラギラして、そのぶん余計〈死の影が見える〉みたいな、そういう思想じゃない気がする。今は」

今は、しいて言うならどんな感覚ですか。

「今? うーん………でも俺、自分の作家性の本質で言えば、けっこう静かな、シーンとした冬みたいなものを持ってる人だと思う。アッパーな曲も書くけど、でも本質は秋っていうか、もはや冬? あの寒くて静かな感じ。俺、東北出身なんで」

根拠が弱いな(笑)。

「南東北だからちょっと弱いか(笑)。でも正月とかに帰るとマジで雪。外出てもほんとにシーンとしてる。音も雪に吸われてすっごい静か。遠くの音もほとんどなんも聴こえないし。で、そのシーンとしてる中で考えてることが、自分の表現したいことの根源にあって。静かな中で静かに生きたい、みたいなことを考えてるわけじゃなくて、その真逆の、躍動してる命みたいなものを想像してるんです。血がドックドク、みたいな」



へぇ。真っ白な雪の中でそういうこと考えるんだ。

「そう。ドクドクしたものを想像しながら、超静かな世界にいるっていう感覚。それはいまだにあるんですけどね」


ひとりきりだったら案外静か、特に派手なことなんて求めてないっていうのは、メンバー全員に通じる話じゃない?

「そうかもしれない。たぶん4人とも、そういう静かな部屋みたいなものを自分の中に持ち合わせてると思う。それは確かにある。4人でバックホーンだって塊になってガーッとやってるけど、どこかしら、4人ともそういうとこがあって」

なのに集まったら「生きろ! うぉー!」ってなるの?

「凄まじいっすね。ははは! いや面白いなぁ」

いや、なんでそうなるのよ、っていう話です(笑)。

「……不思議っすよね。なんか闘争本能みたいなのが、4人でいると出てきちゃうのはある。それは生き物として。〈まずお前には勝つ〉みたいな。4人とも〈いや、お前には負けねぇ〉って思ってる。別にケンカとかしないし、どっちかといえば仲いいバンドだと思いますけど、本能的な部分でなんか負けたくない。今は将司(山田将司/ヴォーカル)も光舟(岡峰光舟/ベース)も曲書くし、歌詞に関しては全員書いてるから、よりバトれる方向になっていくんですよ、バックホーンは毎回。いい曲誰かが書いてきたら煽られるし、〈あいつが書いてくれるから俺は何にもしなくていいや〉みたいな人間が実はいない。今、4人でこれだけ同じ数ずつ楽曲書いて、ちゃんとクオリティ成立させられるのは、お互いの闘争心だと思う。なんかこう、煽り合いがあるというか」

しかも今は衝突だけじゃない、自然な融合もある。「ソーダ水の泡沫」なんて、光舟の曲だとは思わなかった。

「これ好きなんだよ。マツが歌詞書いて光舟が作曲して、すげぇいい曲。うん、この4人でいて、実はみんな自分の心の中に静かな部屋があるっていうことを共有できてて、逆に対抗心みたいなものも剥き出しになってるっていうことが、今のバックホーンのスタイルになってるとは思います」

「なんでそこまで?」って言われるような欲望に気づけたことは、俺は表現者として、宝だなと思ってる

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