テンパってるあまり、演奏がちょっと危ない曲もあったけど、楽しさがすごく会場中にあったから。やるだけやってよかったなって(菅原)
お疲れ様でした。楽しさと今のハードなベクトルが入り混じった、そんなライヴでした。
菅原「ライヴ中にも言ったんですけど、みんなが腕を振り上げてたり、こっちを向いていた時に、肌色だなぁ、と思いました(笑)」
ああ、MCで言ってましたね。
菅原「すんごい肌色でしたよ(笑)。横浜アリーナ終えて、ずっとライヴハウスでやってきたんで、やっぱりZEPPってデカいなあ、と思ってました。そんな場所にこんだけ人が来るのはすごいことだな、とも、だから……肌色だったんですよ(笑)」
中村「今日は大サービスな出し物もいっぱいあって。おかげで途中……今日のライヴ長くないか?って感じました。かなり身を削ってるというか、なんていいヤツらなんだろうって」
菅原「自分で?(笑)」
かみじょう「そうだね。慣れないことばっかりいっぱいして!(笑)」
そのかみじょうくんは?
かみじょう「やりきった感じですが、今振り返ると、ちょっと自分たちを安売りしすぎた……」
全員「あはははははは!」
かみじょう「チケット、もう2000円上げてもよかったんじゃない?」
中村「自分のギタープレイにってこと?(笑)」
滝「百万ドルプレイヤー!」
中村「まぁ配信されちゃうけどね(註:この日のライヴ音源は「カモメe.p.」の購入者特典コンテンツとして、同日の23:59から配信された)」
かみじょう「そこも安売りだよね」
くくく。じゃあ、滝くんはどうですか。
滝「ものすごい量のことをやったなぁって思います。キーボードなんか滅多にやらないけど、まあこの日だけの、特別なことを出来て良かったと思います。曲数もかなり多くて……正直に言います。疲れました!(笑)。短時間のうちにギター弾いてキーボード、ドラム、でまたギターに戻りましたけど、テンパって頭も追いつかなくて」
今回のカヴァーの選曲理由は?
菅原「武道館でもカヴァーのコーナーみたいにやりましたけど、それ以降にやったカヴァーの曲にしようと縛りをつけて。〈どうにもとまらない〉はしょっちゅうやってたから、自分たちで作った〈ルーレットでくちづけを〉まで入れて、カヴァー曲をやろうと」
そしてすごかったのがパートチェンジ。それも照れずに真剣に演奏してるから(笑)。
滝「真剣にクオリティの高い演奏を目指しました」
菅原「SEからいくってところがね!」
中村「かなりお客さん困惑してましたね(笑)」
滝「でもみんな緊張してたよね、さすがに」
菅原「あと、みんなの楽器難しいんだと思った」
けっこう練習したんですか?
滝「練習しましたね。ドラムはやっぱり大変だなぁ。肉体労働だなって思いました」
かみじょう「体力勝負だから」
滝「下手すると1曲でバテたりするんで、これを20曲もやってるかみじょうくんはどういうペース配分をしてるんだ、と」
かみじょう「レッドブルで力技(笑)」
でも最後、スキを見てまた叩き始めたじゃないですか。そんなに好きなのかと(笑)。
滝「そんなに好きです(笑)」
かみじょう「僕はサークルの時に、1、2回くらいギターヴォーカルやってたので。ちょっと昔を思い出しつつ。でも滝が言った通り、もうネタをつぎ込んであるので」
菅原「俺らの気分がとっちらかってるからね! 祭りにしようと思うあまり(笑)」
そういう気持ちは表れてましたね。
菅原「基本的には『Movement』ツアーの流れだから、9月9日の九州だけ『Movement』の曲は全曲やって、かつ、変わったことをしよう、って言ったらこういう形になった(笑)」
滝「キーボードだって普段合わせないですからね。昔、野音でキーボード弾いたんですけど。その時に致命的な失敗して、泣きたい気持ちになって、もう絶対弾かない!っていろんなインタビューで言ったんですけど、それ以来ですもん」
中村「そもそもキーボード入れるとか、パートチェンジとか決まったのが、当日までもう2週間切ってた(笑)」
かみじょう「決めたの8月の末でしょ?」
菅原「ちょっと前、宮崎くらいで決めた」
ここにはもう少し計画的な人はいないのか。
全員「あははははは!」
その状況でよくキーボードやるって言ったね。
滝「かなりビビってたんですけど、自分で言っちゃいましたから」
菅原「テンパってるあまり、演奏がちょっと危ない曲もあったんですけど、でも楽しさがすごく会場中にあったから。やるだけやってよかったなっていう」
『Movement』ツアーはどんな手応えですか?
滝「小さいハコのライヴハウス・ツアーがこないだで終わったんですけど、壮絶を極めました(笑)」
中村「壮絶でしたねー!」
滝「もう、語りつくせないくらいの壮絶さが」
中村「過酷な状況で、ギターが何回も壊れたり」
滝「湿気とか温度とかで、原因不明の故障を次々と起こすし、お客さんもばたりばたりと……もうグショグショで(笑)」
中村「山形と仙台でやった時に、めちゃくちゃハコの湿度が高くなっちゃって。4曲目くらいで、そこにいる誰もがぐったりしてた(笑)。あの時はみんな、今日はマジでヤバい、って顔してたね」
菅原「お客さんも俺たちも、ヤバいねって言ってるのが演奏しながら聞こえた(笑)」
中村「それでかなり鍛えられたところがあるので」
滝「でもバンドだったら、ああいうハコのライヴを当然やるべきだし、自分らがそうしたかったから。デカいハコも、小さなハコも、もっと見境なく平気な顔でやりたいですね」
かみじょう「でも……こんなに小さなライヴハウスを廻ることになるんだったら、ワンバスセットにしとけばよかった。今さら戻すのもカッコ悪いし……」
菅原「あいつ、小さいハコはワンバスらしいぜって(笑)」
じゃあ来年は何をするか教えてください。
中村「2週間前にならないとわからないです(笑)」
かみじょう「むしろ考えてください! じゃないと誰も考えないから」
菅原「でも知ってた? 俺たち再来年が結成9周年なんだよ。それは何かある感じじゃない?」
文=金光裕史
撮影=橋本 塁