社歌とは、労働意欲や愛社精神の向上をねらいとして、会社の理念やイメージをもとに作られた曲である――WEBも本格的に始動し、まさに今が頑張り時!な『音楽と人』編集部も、オリジナル社歌が欲しい!ということで、アーティストにオリジナル社歌を作ってもらう企画をスタートしちゃいます。記念すべき第1回は、メリーのガラ&結生篇。ここまでの道程と、禁断?のレコーディングの模様を一部お届けします。
今から10年ぐらい前の本誌コラムで「社歌を作ろう!」という企画をやったことがあり、それは当時「音楽と人」が会社として独立したのがきっかけだったんだけど、ここにきてなぜかその企画をWEBで再開させたい!という話で編集部一同が盛り上がり、その第一弾をメリーのガラにお願いすることになった。
大変ありがたいことに、ガラは彼を取材するずっと前から弊誌の愛読者であり、そんな雑誌に自分も出たくて編集長に直筆で「僕を取材してください、お願いします」と手紙を書くような一途な男。現在穴埋めコラムとして継続中の「ガラの毒言」では、編集部から雑な扱いを受けているように見えるかもしれないが、ここまで毎号全ページを隅から隅まで読み漁り、見つけて欲しくない誤植やプレゼントコーナーのアイテムが少ないことを指摘したりと、その熟読ぶりには心から感謝をしている。で、そんな彼にこそ弊社の社歌を作っていただきたい……と、思った次第だ。
社歌は編集部にて2回の打ち合わせを経てレコーディングされた。制作期間はおよそ2ヵ月。社歌という言葉から連想される曲調や歌詞の内容をガラ&結生とともに行ったブレストをもとにデモが制作される。当初の打ち合わせではメリーらしいバンドサウンドを基調としたものを想定していたが、デモは彼らがバンドとは別に行っているアコースティックユニット「新宿ブルース」同様、アコギ一本で抒情的なメロディを唄い上げるフォークソングに着地した。歌詞はさすが弊誌の愛読者でありコラム取材で毎月弊社を訪れていたことだけあり、独自の解釈と観察眼によって綴られたユーモアとペーソスが入り混じったものとなった。ただし、あまりにも歌詞が長かったので、そこは丁重にお願いして編集してもらった。それにしてもここまで素直で聴きやすい曲が書けるなら、メリーはもっと売れるはずなんだが……(遠い目)。
6月某日、本格的なスタジオを押さえる予算などあるはずもなく、街のリハスタで彼らは淡々とレコーディングを行った。まずは結生がギターのトラックを録り始めるが、その時ガラはスタジオからいなくなってしまい、テンポは結生がその場で適当に決めていたところにメリーらしさを感じてしまう。続いてヴォーカルの歌録りだが、iPhoneのメモ帳に書かれた歌詞を片手にガラが唄い出すと、さすが歌唱力には定評のある男だけに、思わずその歌声に聴き惚れてしまう。が、〈判子を押した〉という一節が聴き取りづらかったので僭越ながらも「〈判を押した〉でどう?」と提案。すると言葉がメロディに馴染んで聴きやすくなったことをガラは盛大に喜んでくれるのだった。
というわけで数テイクを経て完成した社歌のレコーディング風景をお届けします。来月は編集部で行われる完成披露ライヴの模様とともにその全貌が明らかに!
文=樋口靖幸
※レコーディングの詳しい模様は、発売中の『音楽と人』8月号の「ガラの毒言」にも掲載中!