• HOME
  • RANKING
  • NEWS
  • INTERVIEW
  • COLUMN
  • QLAP!
  • MAGAZINES
  • BOOKS
  • ABOUT
  • HOME
  • RANKING
  • NEWS
  • INTERVIEW
  • COLUMN
  • QLAP!
  • MAGAZINES
  • BOOKS
  • ABOUT
INTERVIEW
  • #中田裕二
  • #最新号

何も比べるものなんてない。中田裕二がニューアルバムで築いた、唯一無二の聖域

text by 金光裕史

8枚目のオリジナル・アルバム『Sanctuary』には、そのタイトルにあるように、他人の目を気にして生きる時代の中で、自分自身のサンクチュアリを持つことが大切だ、というメッセージが込められている。そしてそれは、彼自身が自分に言い聞かせていることでもあるのだ。  
思えば彼の音楽性は、まったく時代や流行に寄り添うことなく、己の道を歩んできた。形容するなら、洋楽に強く影響を受けたソウルフルなシンガーソングライター、だろうが、その裏に、日本の歌謡曲への深い憧憬も併せ持つ。それが独特の存在感を生み出している……というか、こんな王道かつひねくれたアプローチをしているミュージシャン、他には存在しないのだ。だから居場所を作るしかない。それがサンクチュアリ=聖域となる。中田裕二という人間が生み出したものを認め合う、そんな場所。彼はこの作品でそれを作り上げた。君は比べるもののない唯一の存在なんだ。彼の歌はそう語りかけている。


(これは『音楽と人』2019年6月号に掲載された記事です)



マザー牧場の写真、いいね。

「楽しかった! 羊と戯れる、今までにない写真じゃないかな」

でも中田裕二はセクシーでないと……。

「まだ言うか(笑)」

白シャツ着て、第3ボタンまで開ければ完璧だから、君は。

「次回はやってあげましょう(笑)」

冗談ぽく強調してますが、そこは魅力なんですよ。ルックスだけじゃなく、声や楽曲も含めて。

「そういうところがあるのはわかります」

でもあなた、知っててそっちに行かないじゃないですか。

「やりたいのは決してそれだけじゃないですからね」

バンドやってた頃も〈すべてのロック幻想を受け止める〉とぶち上げて、周囲の期待を大きくさせて、メジャー・デビューが決まったら、まったく違うアプローチに走ってロックから離れ……。

「ああ懐かしい(笑)。若かったなあ、俺」

なんか、自分らしさが見つからなくて、これじゃない、いやまだこうじゃないはずって、ずっと探し続けてる感じ。でも今回のアルバム、いい意味でバランスがとれてるんですよ。中田裕二のスタンダードになった、とでもいうか。

「あの、今まではきれいな曲線になってない作品が多かったんですよ。自分で聴いてても、どこか引っかかっちゃうところがあった。でも今回は、すごくきれいにできたと思ってて。きれいなんだけど、中身はエグい。ツルツルで光っててきれいなんだけど、触ってみたら泥団子(笑)」

きれいにしようとしたのはどんなところですか?

「最後まですらっと聴けるようにこだわったんです。だからかなり聴きやすい。でも内容的には重苦しい」

歌詞に世相が強く反映されてますよね。

「そうなんですよ。政治的とかそういうことじゃなくて、行き詰まってる空気感が、今の自分と重なったというか」

だからせめてサウンドは、聴き心地のいいものにしようと。

「そうだったのかもね。なるべく洋楽のクオリティに近づけたかった」

誌面未掲載写真



洋楽のクオリティって、どんなところを指すんですか?

「かぶれてるわけじゃないけど、洋楽には落ち着きを感じるんです。音楽への愛情もあると思うけど、どっしりした包容力があって、どのジャンルもリアリティを感じる。俺が好きなのはビンテージソウル系のシンガーソングライターだけど、みんな今の世相を捉えつつ、温故知新がすごくある」


だから新しいけど、どこか懐かしい。

「それを俺もずっと目指しているところですけど……だから俺は居酒屋に行くんですよ!」

よくわからん(笑)。

「連載でもよく行きますけど、最近の若い人たちも昭和の匂いがする居酒屋とか、立ち呑みとか好きじゃないですか。どんなに今どきっぽい顔してても、そういうのが根っこにある」

でもそういう温故知新と同時に、世相を切り取ってる人って、少ないんですよ。

「少ないですね(笑)。ていうか今どきっていう感覚がわかんなくなってる。でも時代感は感じてんだよ。わかる?」

わかります。じゃあ世間の空気って、今、どんなものだと思ってますか?

「目に見えないモヤモヤがずっと渦巻いてる感じ。単純に言うと、わかりやすい夢がないよね(笑)。あとシェア戦争」

シェア戦争(笑)。

「うん。なんでもSNSで共有するから、日常に情報がどこまでも入り込んでくる。だから絶対不可侵な、聖域みたいなものを各自が意識的に作らないと、どんどん心が荒んでいく」

比べれば比べるほどしんどくなる。だから俺、音楽シーンの新橋で、立ち呑みしてる状態です(笑)

NEXT

1 2 3

© 株式会社音楽と人

FOLLOW US
タグ一覧
ライヴレポート / 最新号 / WEBオリジナル / アーカイヴ / 編集部通信 / BUCK-TICK / 怒髪天 / 映画 / 小室ぺいの自由研究 / DEZERT / NITRODAY / 言の葉クローバー / 僕たちプロ野球大好きミュージシャンです! / GRAPEVINE / 音楽と人LIVE / PHY / MUCC / 9mm Parabellum Bullet / THE COLLECTORS / 中田裕二 / フジファブリック / a flood of circle / noodles / go!go!vanillas / the pillows / 銀杏BOYZ / THE BACK HORN / Mrs. GREEN APPLE / SixTONES / The Birthday / ヤバイTシャツ屋さん / 後輩ノススメ! / BRAHMAN / ENDRECHERI / SUPER BEAVER / UNISON SQUARE GARDEN / ストレイテナー / KinKi Kids / 吉井和哉 / 忘れらんねえよ / 2019年プレイバック&MY BEST MUSIC / The Songbards / The Songbardsの描写探訪 / THE YELLOW MONKEY / aiko / ポルノグラフィティ / 山崎まさよし / 阿部真央 / THE NOVEMBERS / KEYTALK