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Ghost like girlfriend、初ライヴ。ようやく彼は呪いから解放された

text by 樋口靖幸

【Live Report】
Ghost like girlfriend WWW -WEAKNESS,WITNESS,WINDNESS-
2019年3月7日 at Shibuya WWW



ステージには、再び人生のスタートラインに立った男が唄っていた。

 
岡林健勝のソロプロジェクト、Ghost like girlfriendにとって初ライヴとなる渋谷WWW。チケットは発売と同時に即完だったというだけあってフロアにはオーディエンスがひしめきあっている。昨年ごろから都会的なサウンドとそれに相反する内省的なリリックがSNSを中心に話題になっていたにも関わらず、ライヴはおろか本人のビジュアルも明かさず活動していたアーティストに寄せる関心の高さを象徴する光景だ。


ライヴは「sands」のギターのリフで幕が上がる。スポットライトを浴びながらハンドマイクで唄う彼の声は堂々としたものだが、その仕草や表情はどこか硬い。というのも彼自身、シークレット以外に人前で歌を唄うのは3年ぶりのことだという。本名で活動していてまったく芽が出なかった頃の自分に区切りをつけるため、彼はしばらくライヴ活動を封印していたのだ。そしてこの日、ようやく迎えた初ライヴ。目の前にいる観客と向き合おうとするものの、その視線はあらぬ方向へと泳いでしまうのも仕方がないだろう。きっと本人もどこか現実味がないままライヴをやっているに違いない。そして1曲の演奏が終わったところで、ようやく笑顔を見せる。恥ずかしさと嬉しさがない交ぜになったようなその表情には、音楽を始めてからずっと彼がこの日を待ち焦がれていた感情が露わになっていた。

曲が進むにつれ彼はフロアの観客と向き合いながら唄うようになっていく。「煙と唾」では美しいファルセットを響かせながら、「cruise」では歌詞に乗せた感情を思い切り吐き出すように、それらすべてを目の前にいる人たちへ届けようとしているのがわかる。そんなひたむきさがある一方で、曲中もステップを踏んだりターンを決めたりとクールな自分を演じようともする。オマエどっちかにしろよ、と普通だったらツッコミを入れたいところだが、そもそも彼の作る音楽にはどちらも存在しているからこれでいい。都会の冷たさのようなものと自分の生い立ちや人間性に根付いた泥臭さ。そのコントラストがGhost like girlfriendの魅力であり、それをありのままステージで体現しているのだ。


最初は目も合わせられなかった男が、ライヴが進むにつれ最終的には友達とダベっているようなノリでお客さんに話しかけるまでになっていた。そんなステージとフロアの境目も取っ払ってしまうような空気の中で「髪の花」を唄う彼は、とても幸せそうだった。きっと彼はこんな場所で歌を唄うことをずっと望んでいたのだろう。10代で才能を見出されたにもかかわらず、ずっと雌伏の期間を過ごしてきた男が、ようやくたどり着いた光景。それは青春時代に呪いをかけるような言葉を歌にすることで奮い立たせてきた自分を救う場所でもあったに違いない。


物販のTシャツに着替えて再び登場したアンコール。こうしてTシャツを着て自ら宣伝することもずっと夢だったという。そのことを心から嬉しそうに語る彼のことを誰もが微笑ましいと感じたことだろう。そしてGhost like girlfriendは6月にEMI Recordsからフルアルバムをリリースすることと、7月には初めてのツアーを行うことが発表された。そして彼の新しい門出を祝う拍手の中で披露された新曲「Last Haze」。その曲を唄う姿に、2時間前にはフロアも直視できずにいた彼はもういなかった。この日、ついに彼は呪いから解放され、音楽をやる新たな理由を見つけたのだ。


文=樋口靖幸
撮影= 神藤 剛

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