第1部が終わり、15分ほどの休憩へ。一旦、楽屋へと戻った出演者のみなさまは、相変わらず野球話を続行中で、第1部の最後に出た金本監督の退団話からの来季のチーム人事について語り合ってます。セパ5球団で監督交代があった今年。指揮官が変わるとチームカラー、戦い方が変わるため、そこも踏まえての来季の展望などを酒杯片手に、むしろ壇上よりも真剣に語り合う面々。お互いの近況を尋ね合うとか、バンドマン同士の情報交換とか、そんな会話は楽屋でも一切ありません。
20:30すぎより始まった第2部では成績順ではなく、年間観客動員数のカウントアップ方式での登場。いくらプロ野球大好きミュージシャンとはいえ、さすがに贔屓球団の動員数までは把握しておらず、誰が呼ばれるのかわからないまま、「うち球場小さいからなぁ」「甲子園と東京ドームのどっちが1位だ?」とああでもないこうでもないと語りあいながら、ちょっとドキドキしつつ呼び出しを待つ面々。しかも、登場時には、「もしあなたが打席に立つとしたらどの曲で入場しますか?」という事前アンケートで選んだ曲が流れるという企画となっており、第4回にして、ようやくミュージシャンによるトークイベントらしい、音楽と野球の融合がなされたのでした。尚、それぞれの登場曲は以下(登場順。カッコ内順位は動員数ランキング/選曲。敬称略)
キョウスケ(日ハム、札幌ドーム:7位)/ゴダイゴ「銀河鉄道999」
佐藤シンイチロウ(ベイスターズ、横浜スタジアム:6位)/DA PUMP「U.S.A」
グレートマエカワ(中日、ナゴヤドーム:5位)/「ULTRA SEVEN」
ウエノコウジ(広島、マツダスタジアム:4位)/「スパルタンX」
樋口豊(阪神、甲子園球場:2位)/Darude「Sandstorm」
Die(巨人、東京ドーム:1位)/長渕剛「とんぼ」
全員が着席したところで、第2部は、それぞれの入場曲についてのトークからスタート。実は別の曲を最初にセレクトしていたユータさん。「誰かに使ってほしいなと思って」ということで選んでいた曲のイントロを流した途端、場内からは手拍子があがる。そして、「オーマイガッ」というキラーフレーズをDieさんが言うと歓声が。そう、ユータさんが最初に選曲していたのはBUCK-TICKの「独壇場Beauty」。ぜひどなたか、来季この曲を入場曲にお願いします!
続いて第二部のメインテーマの「来シーズン注目・期待する選手」へ。まずキョウスケが推す日ハムの若手、北浦投手について熱く語ったあと、すでにグデグデ状態のシンちゃんが期待する横浜・今永投手がイケメンだという話から球界のイケメン話に。と、ここまでは良かった。しかし差し入れで運ばれてきたイエーガーのショットを、なぜかDieさんがウエノさんに渡す→俺呑むけど、ユータさんが呑んでない、とウエノさん→ユータさんにもイエーガーが渡され2人で乾杯→呑み干して、ウエノさんがユータさんの頬にキス――と、マエカワさんいわく「昭和の合コン」状態に(笑)。
さらに中日の注目選手として、夏の甲子園で活躍し大阪桐蔭からドラフト1位で入団した根尾選手とマエカワさんが「似てる」とシンちゃんが主張(註:似てません)したことから、どういうわけか裸にオーバーオール(マエカワさんのステージにおける正装)話で盛り上がる。「僕も裸にオーバーオールやったことあります」とDieさんが告白すれば、「もし来年カープがBクラスになったら、裸にオーバーオールになる」とウエノさんが言い出し、「バンドマンのドラフトやってみたい」というDieさんの提案から、ユータさんがフラカンに入ったらどうなるか?……と会話があちこちに飛びまくる、完全に午前2時すぎの居酒屋状態と化していったのでした。
とはいえ、注目の選手と来季の展望を語る時は、みな熱くプロ野球愛全開で話しております。広島生まれ、生粋のカープファンであるウエノさんがその思いを真摯に語り、「今生で日本一がみたい」という言葉には、会場にいる広島ファンのみなさんも大きく頷く(1984年以降、リーグ優勝はあれど日本一にはなっていない)。そして「来年こそは!」という思いのユータさんの期待・注目選手は、大山、才木、望月選手。名前を書いたスケッチブックを出した瞬間、会場のあちこちから「可愛い〜!」という歓声が飛んでくる。「イラスト描いただけで、こんなに盛り上がること普通ねえぞ」とシンちゃん。そう、スケッチブックには選手の名前とともにシリアスベアーのイラストが入っている(ちなみに今回、ファンの方々からシリアスベアーを模ったお花も届いておりました。感謝!)。「このリアクションの違いはなんだ!」と先ほど熱くカープ愛を語っていたウエノさんが言うのも無理もない(笑)。そしてDieさんが、今年3割30本塁打の好成績を収めた岡本選手に来季も期待すると話して、このトークは終了。最後に「来季、原監督になることに対してどう思う?」というマエカワさんの質問に「彼が結果出してないことないでしょ」とビシッと答えるところに、Dieさんの絶大なるジャイアンツ愛を感じたのでありました。
気づけば終演予定時刻5分前。駆け足で、毎回恒例の順位予想を行なうも、途中で「ゆーにゃん」とDieさんがユータさんに甘え始めれば、前回同様、シンちゃんが最前列のお客さんに絡み始めるというカオス状態に。なんとか「なんかいいよね。こうやって野球好きっていうだけで、みんなと一緒にこうやってバカ騒ぎできるなんてさ」というウエノさんの言葉で場が締まり、最後のじゃんけん大会へとたどり着く。そしてじゃんけんに勝ち残ったラッキーな方へ出演者全員のサイン入りボールがプレゼントされ、約3時間に渡るトークイベントはお開きとなったのでした。
回を重ねるごとに、客席のユニフォーム着用率もアップし、壇上の出演者がうろ覚えの出来事も場内からの声で判明したりするなど、音楽好きだけでなく野球好きの方々が集うようになってきたこのイベント。愛溢れるプロ野球話を通じて、ジャンルも世代も超えたミュージシャンたちが、ひとつのグルーヴを生み出していた、そんな夜となったのでした。
開幕前とシーズンオフの年2回開催が定例化しつつあるので、きっと次は、来年春頃の開催でしょうか。好きなことを語り合う時に生まれる熱気、そして音楽・バンドにドラマがあるように、野球にもドラマがある。そんなことも感じられるトークイベント「僕たちプロ野球大好きミュージシャンです!」。次回もぜひお楽しみに!
撮影、文=音楽と人編集部