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INTERVIEW
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亜無亜危異、20年ぶりのフルアルバム。彼らがパンクロックで時代を斬る理由とは

text by 石井恵梨子

亜無亜危異、全員60歳、デビュー40周年、20年ぶりのオリジナル・フルアルバムと、ゾロ目の揃った目出度い門出である。そのタイトルが『パンク修理』……というこのセンスにまず脱帽! 徹底的に初期パンクロックにこだわった直球のサウンドと、今をぶった斬る問題提起の嵐、そして思わず笑ってしまうユーモアの応酬は、鮮烈なデビューから40年が経った今だから完遂できた「みんなのアナーキー像」そのものだ。それが無邪気な原点回帰、これでいいのだ的な開き直りに聴こえないのは、このバンドが持っている社会的視点、時代に対する洞察力がまったく失われていないから。仲野茂(ヴォーカル)へのインタビュー。今作の曲作りに彼がほとんどタッチしていないと直前に知らされて思わずのけぞったが、しかし、だからどうしたとばかりに彼の言葉はこちらに突き刺さってくるのだった。濃厚で、迷いなく、おそろしく鋭い言葉たち。これが亜無亜危異だ。



(これは『音楽と人』2020年6月号に掲載された記事です)



よろしくお願いします。


スタッフ「あ、すいません。今回って全部藤沼伸一(ギター)が作ってて。中身のことってたぶんあんまり語れないと思います。ジャケットの話とかはできるんですけど……」


……はははははは! スタート直後にそんなこと言われるインタビューって初めてです。


「まぁ前の『パンクロックの奴隷』も半分以上は伸一だし。半分以上か。俺、一曲半くらいしか作ってない」


今回はいっそ全部お任せしようと?


「そう。なんか伸一の中でイメージがあったらしく。意外や伸一は、プロデューサー的に亜無亜危異を俯瞰して見られるのかな。亜無亜危異はこんな歌を唄うべきだ、こんなことやったら面白そうだ……みたいなものが今回のアルバムっぽい」


っぽい(笑)。それは、復活してライヴを重ねていくことで固まっていったイメージなんですか。


「そう。元々の亜無亜危異に戻ってきたというか。ぶっちゃけ、求められる俺たちの姿みたいなもの? マリ(逸見泰成/ギター)の事件があって4人でTHE ROCK BANDになったり(註:86年、逮捕された逸見を除く残りのメンバーでアナーキーから改名した)、そのあとに新生ANARCHY作ったりして、とにかくやりたいことだけをずっとやってて。俺たちは俺たちですげぇミュージシャンになりたくて、実はミュージシャンになればなるほどアルバム売れなくなっちゃってて、当時。最大の要因は国鉄服を脱いじゃったこともあるだろうけど。で、こっちはこっちで〈新しいモノを作るぜ〉〈イメージ脱却!〉みたいなことやって、そのたびに〈そんなの亜無亜危異じゃない〉って思われたり。そこに俺たちは気づかなかったの。でも再結成して、求められてるわかりやすい亜無亜危異、それをこの年になってもっかいやってみたら自分でも面白い。そのほうがパンクっぽいって、これは勝手に思ってるんだけど。まぁ時間が経ったから思えるんだけどね。照れたり構えたりすることがなくなった」


新生ANARCHYの頃のライヴを覚えてますけど、新曲と初期の曲とでファンの盛り上がりが明らかに違っていて。これはやるほうもジレンマだろうなと思ってました。


「あぁ……まぁ、それはあったね。だから『古い曲やるの止めちゃう?』って話も出てたと思うんだ。今後一切やらないって。でも今考えると自分たちでも上手く消化できてなかったし、結局そうやって古い曲もやって、新生ANARCHYなんだけど脱却できずにいて。そういうのってやっぱ客に伝わっちゃうんだよね。ジレンマみたいなのも含めて。で、昔のファンからは『じゃあ昔の曲だけやりゃあいいじゃねぇか』って言われて。まさにごもっとも、なんだけど」


今はそういうのも全部引き受けてますか。


「引き受けた……いや? 俺はずっと自分たちが作ったものをやり続けることはいいんじゃねぇのと思ってたから」


特に伸一さんが、新しいものをやりたがるタイプ。


「そうだね。新生の時も、再結成の時の条件も〈新曲をやる〉ってことで。必ず言いやがるから、あいつ。それもあって『パンクロックの奴隷』ができたんだけどね」


あの作品は満場一致で「これを待ってた!」という盛り上がりになりましたけど、反応をどう感じました?


「嬉しかった。やっぱり〈こんな感じでやってくれよ!〉っていうのは強く感じたかな。で、特に嬉しかったのは、まだアルバム出る前に一回『おら、この奴隷ども!』って言ったら、客から『奴隷じゃねぇぞー!』みたいな声があったわけ。今はさすがに曲として定着してるからそういう反応もないけど。でも最初に客から声が来て、俺はそこでまた燃えるわけ」


亜無亜危異の客のガヤって、素晴らしく仕上がってますよね(笑)。もうプロの仕事だなと。あれは別に、バンドが求めたわけでもないんですか?


「俺たちが作ったわけじゃないけど、嫌がんなかったのはある。一番初めに内田裕也の〈ニューイヤー・ロックフェスティバル〉出た時、もうあのステージに立つこと自体が俺たちには憧れだったんだよね。で、いざ出たら客がステージ上がってきてめっちゃくちゃになっちゃったの。裕也さんも『止めろ』って言うんだけど、俺らはそのまま演奏して、裕也さんもファンでもみくちゃになって(笑)。そのあと当然怒られるんだけど。だから、俺たちがファンに対して、そういうのは止めてくれとか言ったことがないからじゃない? 俺はあんまり言うべきじゃないと思ってるし、コントロールなんてできない気がするんだよね。もちろん、みんなで振り付けとか、俺たちはやんないにしても、そういうのはあると思う。でもファンをコントロールってできないよ。あれは仕上げてくというより、ファンが勝手に仕上がってくんだよ」


素敵だと思います。アルバムの話ですけど、レコーディングは順調に進みましたか。


「うん。まぁ4人、いい感じに。相変わらず面白かった」


伸一さんの歌詞を唄うことで、茂さんのテンションもマックスになっていくんですか?


「なってかないね。さすがに俺と伸一ではワードに対する感覚とかリズムが違うから。『ここはこうやって唄って』って言われて直される(笑)。でもまぁしょうがない。だったら自分で作れよって話なんだから」


実際、自分で作ろうとは思わないですか。


「いや全然。そんなの作りたい奴が作ればいいし、昔はみんなでワーワー言いながらやってたから。そういう意味では誰が作ろうが誰が書こうがあんまり問題じゃないっていうか」

ひとりきりで生きていこうと俺は一切思わない。人と関わって、外圧みたいなものがあるから、それを突破したいと思う

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