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プッシュプルポットの4thミニアルバム『日々を彩って』に宿した思い。Vo.山口が描いた未来について

text by 石井恵梨子
2025年10月20日


〈少年少女、前を向け!〉。今どき熱血教師でも言わないことをステージで叫び、ゴールを決めた選手みたいにスカッと笑う。なんだこの明るさはと思った。普通言えないだろとも思った。それがプッシュプルポット、山口大貴(ギター&ヴォーカル)の第一印象だ。探っていけば、出身は岩手県北東部、3.11で被災した経験を持ち、その記憶を綴った「13歳の夜」という曲(ファーストミニアルバム『僕らのままで』収録)があることも明らかになるのだが、とはいえバンドは石川県金沢市が拠点である。楽曲もおおむね爽快、時にパンキッシュに弾けるギターロック。彼だけの話に焦点を当てるのは違うと思っていた。あれから時が経ち、バンドの名前が全国区に広がってきたタイミングで届くのは4枚目のミニアルバム『日々を彩って』。「13歳の夜」の続き、自分の未来を描いた新曲「光」を聴き、ようやく時期が来たのだと感じる。本誌初登場となるプッシュプルポット、山口に話を聞く。


(これは音楽と人2025年11月号に掲載した記事です)



ミニアルバム、完成しました。先行で配信された「光」ができたのは大きいんじゃないかと思って。


「そうですね。ずっとずっと作りたいなと思ってたエピソードというか。ライヴのMCでは言ったりしてたことで、ライヴのMCで言うってことはきっと曲になるだろうと思ってました」


というと?


「昔、高校時代にコピーバンドをやってたんですけど、久慈ユニティってライヴハウスの店長さんに『ステージでベラベラ喋ることあるんだったら、それ曲にしろよ!』って、当時も言われてたから」


あははは。山口さんの出身は久慈に近い野田村市で。


「そう。野田村は、久慈の、一個下」


一個下(笑)。つまり南側ですね。ユニティでよくやってましたか?


「はい。高校2年生くらいから。コピーバンドでモンパチの〈小さな恋の歌〉を練習しに行ってて。スタジオもそこしかないんですよね。そしたら店長さんから『お前ら、ライヴあるから出ろ』って言われて。『や、俺らまだ3曲くらいしかやってないし、クオリティもそんなだし……』『いいから出ろ。いつまで経っても下手なんだから、出ろよ』って(笑)」


その当時から、ベラベラ喋ってたんですか。


「喋ってましたね。3曲じゃ持ち時間が余っちゃうから、自分なりにベラベラ喋って、ちょっと曲やってみたいな(笑)」


今回の「光」では、被災した当時ラジオから流れてきたロックンロールに出会えたこと、それが自分の憧れや夢に変わっていったことが描かれてますけど、これ、ちゃんと歌にするまでに時間がかかったんだろうなと。


「そうですね。プッシュプルポットでオリジナル曲をやり始めて、7年くらい経ったんですけど、まず〈13歳の夜〉を書くまでにも2年かかっているんです。書くきっかけは、ピエール中野さん(凛として時雨)で。同じイベントに出た時に『曲はいい、声もいい。けど、もっと自分にしか書けない歌詞を書いたほうがいいよ』って一対一で向き合って言ってくれたんですよね。そこで、〈自分にしか書けない歌詞〉って、きっとそれなんだろうなと思って。そこから過去のことを喋ったり、改めて見つめ直すことになったんですね」


被災者って、当然ながらひと括りにできないですよね。当時のことを話したい人もいれば、黙っちゃう人もいる。


「うん。僕は、わりと言いたくない、蓋をしてた過去でした。しかも石川県、金沢っていう土地でバンドやってて、自分の背景を知らない人たちの前でわざわざこの話をしなくてもいいと思ってたし。ただ、〈自分にしか書けない歌詞〉ってことを考えると、自分の中でもちょっとずつ蓋が開くようになって。だから音楽を通じて僕は発信できてるんだなって思います」


被災経験と、音楽との出会い、ロックバンドに向かっていく気持ちは、自分の中で一直線に繋がってます?


「いやぁ……どうだろう? こんな長くバンドやるとも思ってなかったです。中高6年間、ソフトテニスやってたし、高校でバンド始めたけど、文化祭だけ目指してやってたようなものだから。普通に大学入って就職するんだろうと思ってたんで。結局、大学辞めるんですけど、まさか大学を辞めるとも思ってなかったし」


はははは。わりと行き当たりばったりだ。


「友達に誘われて、大学で軽音部に入ってみたけど〈馴染めんのかな?〉って思ってたし。いざ入ってみると、みんな軽音部の中だけで演奏してるんですよね。でも僕は高校の時、ライヴハウスで演奏してたから、〈だったら自分で曲作ってライヴハウス出たほうが早いな〉と思って。それで曲を書き出してメンバー集めて」


バンド活動が本格化するのは、大学を辞めてからですよね。


「そう。それもけっこうゲーム感覚で捉えてたのかな。地元から県外に出て行くような先輩バンドがいなかったし、当時コロナ禍だったんで〈失うもんもないわ〉〈俺らがやったろ〉と思って。それで、とりあえずMV上げてみよう、オーディションに音源送ってみよう、ツアーも廻ってみようって。『社会人ひとりいて土日しか無理なんですけど、どこでもいいんで、ライヴさせくれません?』ってライヴハウスに電話したり」


日程も決めないまま電話を?


「そう(笑)。それで決まったらパワーポイントでポスターとか作って。ザラッザラの画像粗いやつ。だからほんと、憧れの真似事に近いですよね。客もそんないないのに〈なんか俺らバンドやってんなー!〉みたいな感じだった」


ふふふ。最初にライヴ観た時びっくりしたんですよね。こんな楽しそうにステージ立つ人たちがいるのかって。


「そうですね。お客さんに楽しんでほしいんだったら俺らがまず楽しまなきゃって、それはこのバンドを組んだ時から決めてました。でも最初は熱さだけでやってた気がする。やっぱり〈13歳の夜〉っていう曲ができてから、より引き締まるというか、起承転結がしっかり作れるようになった気がします」

泣けなかった。悲しいんだけど涙が出ない。卒業式で泣いたりする人を見て、ずっと〈羨ましいな〉って思ってました

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