心を揺さぶられたり、座右の銘となっている漫画、映画、小説などの1フレーズが誰しもあるはず。自身の中で名言となっている言葉をもとに、その作品について熱く語ってもらう連載コラム『言の葉クローバー』。今回は、Nothing's Carved In Stoneの生形真一が出会ったアインシュタインの本の中の名言を紹介します。
(これは『音楽と人』2024年12月号に掲載された記事です)
書籍『アインシュタイン150の言葉』
想像力は知識よりも重要である
作品紹介
『アインシュタイン150の言葉』
著書:ジェリー・メイヤー&ジョンPホームズ
20世紀最大の物理学者・アインシュタインは、人間に対する観察眼も超天才的だった。人生の真実をつき、愛と勇気に溢れるアインシュタインの名言の数々を集めた1冊。1997年初出、累計30万部を突破しているロングセラー作品。
昔から本をあまり読まないんですよ。本当にたまに、年に1、2回気になったのを買って読んだり、買ったままいまだに読んでないのもあったり。その中でも一番わかりやすくて今でも印象に残ってるのがこの本ですね。出会ったのは10年以上前で、たまたま本を読んでみようかなってタイミングに本屋で見つけたんです。
タイトルどおりアインシュタインが残した言葉が1ページにひとつやふたつずつ、ポエムみたいに載っていて。だから本を読まない自分みたいな人でも手に取りやすいっていうのがありましたね。アインシュタインが物理学者だってことはもちろん知ってるし、相対性理論とか難しいんだろうけど、その説明がすごくわかりやすく書いてあったり、哲学的なんだけどシンプルな言葉で諭したり、あとは姪っ子から送られてきた手紙の返事が書いてあって、それもすごくユーモアに富んでいてよかったり。人生とか生きるうえでの核心みたいな言葉が、わかりやすく並んでる本なんです。
その中で「想像力は知識よりも重要である」っていう言葉をあげたのは、自分にとってはミュージシャンとしての心構えというか。もちろん音楽をやるうえで知識や技術はとても大事だけど、本当に大事なことは想像力で。これを読んでそうだよなって当時思ったんだけど、たぶんその時の俺はかなり行き詰まっていたんだと思う(笑)。普段から自分は悩みごとがあっても、あんまり人には相談しないタイプで。けど、誰かに何かを言ってもらいたくて、その時に出会った本なのかもしれない。10年以上前だから何に悩んでたかは覚えてないけど、当時の自分の意識とか心構えには影響を受けたと思います。
相変わらず本は苦手で、とくに小説とか文章が長いと読むのにエネルギーがいるんですよ。そこに書いてあることを〈こういうことだ〉ってちゃんと理解しないと先に進めないから、ストーリーだけ追うような読み方ができない。なので詩集とかなら読めるかなと最近思ってて、今度谷川俊太郎の詩集を読んでみようと思ってます。