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INTERVIEW
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シドのフロントマン・マオが語る、売れるという命題と唄うことの楽しさ

text by 樋口靖幸

20年前の記憶が蘇るような熱を帯びたライヴだった。昨年12月27日、シドは日本武道館で〈SID 20th Anniversary GRAND FINAL 「いちばん好きな場所」〉を開催し、アニバーサリーイヤーを締めくくった。一時期はマオ(ヴォーカル)の喉の不調によりライヴ活動を休止する事態へと追い込まれたものの、周年の活動の中でコンディションを取り戻した末に素晴らしいステージを完遂。そこにはロックバンドとしての理想的なカタルシスと熱狂が渦巻いていた。しかし、これまでシドはロックバンドとしての美学やこだわりよりも、ヒットメイカーという使命を担ってきたバンドだ。つまり〈売れる〉という命題と徹底的に向き合ってきた。そんな彼らが事務所のイベントで初めて武道館に立った20年前を思い起こすような熱量をたずさえながら、ロックバンドとして復活を遂げた一夜、それが先日の武道館だったのだ。ニューシングル「面影」も発売となる今、〈唄うことの楽しさ〉についてマオに語ってもらった。

(これは『音楽と人』2024年3月号に掲載された記事です)



武道館を観て、とにかく取材をしたいと思いまして。


「ありがとうございます」


本当に素晴らしいライヴでした。自分ではどんなライヴだったと?


「MCでもちょっと言ったんですけど、ここしばらくはコンディションを気にしながらステージに立つことが続いてたのに、あの日は始まる前からライヴが楽しみだなって思いながらステージに向かうことができて。結果はどうあれ、とにかく今回は楽しめそうだなっていうのは最初からあったんです。もちろん歌のクオリティとか課題はあったんですけど、そういうのを抜きにして楽しめたライヴは本当に久しぶりでした」


どうして今回は楽しめたんだと思います?


「単純に自信がついた、っていうのが大きいと思います。唄うためにいろんなことを試したり、コツコツ練習したり、そういうことをひとつずつやって。それが結果に繋がるまで時間がかかったり、結果に繋がらなかったりすることもあったけど、とにかく自信だけはついたというか。ここまでの努力だったり頑張ってきたことが、武道館を楽しめた理由だと思います」


喉の不調との闘いの末に掴んだ自信だと。


「そうですね。一番最悪の時期は、もう唄えなくなるんじゃないかと思うぐらいだったので。だから、不調との闘いもありつつ、メンタルとの闘いもすごくあって。むしろそっちのほうが大変でした」


前回のアルバムが出たタイミングで初めて取材させてもらった時、喉の不調で苦しんだ経緯や心境を語ってもらいましたけど、そこからさらに駒が進んだんじゃないかと。


「ちょっとずつでしたけど、やっと夜が明けた感じはありますね」


武道館でマオさんが唄う姿を観ながら、20年前に初めてシドを観た時のことを思い出したんですよ。年末の武道館で、まだド新人だったバンドのヴォーカルがいきなりアカペラで唄いだした時のことを。


「あのライヴのことは僕もよく覚えてますよ。けっこう忘れちゃうライヴって多いんですけど、あの時の武道館はすごく緊張したので」


あの時、どうしていきなりアカペラで唄おうと?


「当時はまだ俺らのことを知ってるお客さんがほぼいない状況だったんで、いい演奏とかいい歌を普通にやっても、他のバンド目当てで来てる人からすれば、トイレ休憩にされちゃうバンドだと思ったんです。だから、〈なんだこれは!?〉みたいな始まり方でやりたいと思って、それがアカペラだったんですよ」


本当に〈なんだこれは!?〉って思いましたよ(笑)。


「そうやって俺らを知らない人たちの心を掴みたい一心でやったんですけど、めちゃめちゃビビりましたね(笑)」


で、すごく熱量のあるバンドだなって思ったんですけど、こないだの武道館はまさにあの時と同じ熱量をステージから感じまして。


「たぶん、あの頃の泥臭くてもいいから必死になってる感じはあったと思いますね。それこそ10年くらい前は、そこまで頑張らなくても自然体のままステージに出れば、いつでも大歓声を浴びる……っていうのが当たり前だったんで」


そうですよね。


「でも、そこから大歓声を浴びるどころか、ライヴ自体を休まないといけないことになって。言ってみたら落ちるところまで落ちたというか、それでまた必死さがバンドに出てきたのかなって思いますね」


20年前の話に戻りますけど、当時はどういうバンドになりたいと思ってたんですか?


「売れたいっていうのが一番強かったですね。もちろん〈こういう曲をやりたい〉とか〈こういうメッセージを届けたい〉とかもあったけど、まずは前提として、いろんな人に聴いてもらえるバンドにしたいっていうのが強かったです」


その気持ちは人一倍強かったほうですか?


「だと思います。例えば楽曲制作とかで二者択一になってどっちか選ばないといけない時、『こっちのほうがカッコいい』ってメンバーの誰かが言っても、『売れたいんだったら絶対こっちだ』みたいなことを言って、それでメンバーとぶつかったこともあって。それぐらい売れる道をずっと進んできたというか」


でもこないだの武道館は、売れることを優先してきたバンドのライヴじゃなかったですよ。


「うん、そうでしたね。そういう余計なことは何も考えてなかったです。とにかく今までやってきたことを出し切りたいっていう気持ちだけでしたから」


周年を総括するライヴでしたし。


「やっぱり20って数字が思い切り看板についてるライヴだったんで、そこは意識したところではあって。セットリストを決める前から、20年の集大成をどう見せるか、っていうのは考えてて。ただ曲でその歴史をなぞるだけじゃなくて、ここまでいろんなことがあったバンドの歴史をどう表現するか?っていう熱量がありました」

生まれ変わった気分なんです、新しい自分、新しいヴォーカリストに。だから、ここからもう1回始めようっていう

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