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INTERVIEW
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GRAPEVINE田中和将 アルバム『Almost there』インタビュー(完全版)

text by 清水浩司

9月にリリースされたGRAPEVINEのニューアルバム『Almost there』。かつてより荒々しさの増した、ふてぶてしいばかりのロックアルバムに仕上がった新作について、『音楽と人』誌面では、10月号と11月号の2号に渡ってメンバーの言葉をお届けしてきた。
WEB版となる今回は『音楽と人』2023年11月号の誌面に入らなかった田中和将のインタビューを増補して、2倍以上にボリュームアップ。突然の沈黙から今日に至るまで、何が起こっていたのか。さらに詳しく紐解いていく。



今回は新作の話を聞くにあたって、前作からの流れでお聞きしていきます。まず『新しい果実』はデビュー以降26年間のバンドの歴史の中でひとつの節目になるアルバムだと感じました。田中さん的にはどうでしたか?


「あの時はコロナでしたから世の中みんなそうだったんでしょうけど、フラストレーションみたいなものがありましたし、仕事ができないという状況がありましたから。だから心境の変化といえば変化はあって。これまで僕はセッションで曲を作ったりするほうが刺激的で面白いと思ってたんですけど、コロナ禍で時間もあるので曲を作っても損はないと思って作曲を頑張ったって感じですね」


長年作曲は亀井さん(亀井亨/ドラム)とセッションが主流でしたが、前作は全10曲中5曲を作曲。それはコロナという外圧のせい?


「なんせやることがなかったですから。それに加えて前作が17枚目のアルバムで〈もうなんでもええやろ〉って気持ちはありましたよ(笑)。それまで自分の曲は必要ないと思ってたんです。世の中の人はメロディアスないわゆる〈いい曲〉を求めてて、僕が書くような奇天烈な曲は必要されてない、と。だけどよくよく見渡すと世の中の曲ってなんも面白くないわけです。〈これはこういう楽しみ方をしてください〉って書いてあるものをそのまま受け止めて、消費しているだけのような。まあ、だから自分には需要がないんだろうって思ってたんですけど」


どうせ俺が作ってもな、と(笑)。


「ところが再びバンドが楽しいし、今後もバンドを楽しんでいくためには手練れに走らないことが重要なわけで。そうなるとこれまでの方程式にハマらない曲が必要になるんです。ということは俺のチカラが必要じゃないか!――と思ったという」


世の中には必要とされてなくてもバンドに新風を吹き込むには必要とされている、と(笑)。


「やっぱりGRAPEVINEでは新しい曲を作って、あっぷあっぷしながらツアーをやりたいんです。毎回〈光について〉〈風待ち〉みたいな曲だとこっちも楽しめないじゃないですか。なにかしら自分たちもあっぷあっぷしたいし、スリリングでありたいという気持ちがつねにあるんです」


そこで作って持って行ったのが「ねずみ浄土」であり「目覚ましはいつも鳴りやまない」だったりしたわけですけど、特に「ねずみ浄土」は波紋を呼びました。


「わりと、してやったりというか、インパクトがあってよかったんじゃないですかね。日本のロックバンドがやらなさそうな音楽でもありますし」


自分の作る曲は世の中に受け入れられないだろうと思ってたけど、出したらちゃんと反響があったわけですよね。


「ありがたいことに。そういう意味で前のアルバムは非常に手応えを感じましたよ」


前作はコロナ禍を経て改めてバンドの楽しさを実感し、さらに「ねずみ浄土」のような新たな方向性も打ち出して、またそれが好意的に受け止められた。バンドとしてとてもいい波に乗っていると感じてましたが、その矢先に体調不良に襲われました。


「去年はデビュー25周年で『another sky』を再演するツアーを廻ってたんですけど、そんな中で事件を起こしてしまい     ……情けない話ですけど年末年始は胃潰瘍になりましたし、精神的にも戻ってこれないというか。音楽も映画も本も頭に入らないような状態が年明けまで続きましたね……」


かなり大変だったと聞いてます。そこからはどういう流れで?


「新年になってまずはピロリ菌を退治しました(笑)」


あ、まずは胃潰瘍の方の対処をした、と(笑)。


「そこで年も変わったし、ピロリも退治したし、ここからなんとか自分を立て直さんとアカンと思って音楽を貪るように聴きはじめたんです。で、だんだん音楽が聴けるようになってきて、映画や本も読めるようになってくると、『早くバンドやりたい!』って気持ちが湧いてきて。さらに年末年始の間に亀井くんがデモをたくさん作ってくれて、それが背中を押してくれたんです。ますます〈早くバンドをやりたい!〉って思うようになったし、〈バンドをやるには亀井くんだけに頼っちゃいけない。俺も曲書かないと!〉って思うようになりましたから」


個人的に興味あるんですけど、4ヵ月近く音楽を聴けない状態が続いたあと、どんな音楽から聴きはじめたんですか?


「……(ローリング・)ストーンズです。僕の原点。そこからは自分が好きだったCDを片っ端から引っ張り出して聴くってことをやってました。それこそビートルズ、ストーンズ、ブリティッシュ系ロック……ほんま中学生頃に一回帰らんとアカンかったというか、実際そういう精神状態になってたと思います」


貪るように聴くって、次から次へと集中して聴く感じなんですか?


「というよりも、これらの音楽は自分を癒してくれるものだ、自分の気分を良くしてくれるものだ、自分を興奮させてくれるものだ――って実感できるようになるまで戻さなければいけなかったというか。貪るように聴くって新しい音楽を取り込もうとしてる感じがするけど、そうじゃなくていろんな意味で音楽が自分を高めてくれるものだってことをもう一度取り戻そうとしてたんでしょう」


それって無感覚みたいなところから感覚が戻ってきた感じですか?


「心身が快復してくるに連れて〈やっぱり音楽はいいものだな〉って感覚が戻ってきて。そうなると早くバンドをやりたい、演奏する歓び、あそこに戻りたい! 音出したい!って気持ちがだんだん膨らんでいったんです。あと自分の原点みたいな音楽を聴き直してると中学生みたいな精神状態に戻って、そうなると〈自分はこういうことをやりたかったんだな〉って気持ちに立ち戻って。それもあって早く音出したい! バンドやりたい!って思うようになったところはあったかもしれないです」


たとえば体調不良でずっとモノを食べられなかった人が快復していく場合、お粥とかで慣らしますよね。ストーンズやビートルズを聴いた時って、久々に食べ物を口にしたようなじわじわ美味さが沁みていく感じってありました?


「ありましたねぇ……まさに味覚が戻る感じというか。ウチはあまり実家の料理ってものがないですけど、たとえとしては僕にとっての〈母の味〉みたいなところがありましたよ」


そういう時って胎内回帰じゃないけど、中学生の時の「ロックってカッコイイ!」「バンドやりたい!」っていう初期衝動まで思い出すんですね。


「あといろんな人に助けてもらいました。まさに中学校の頃につるんでた地元の友人にも話を聞いてもらったし。そういうことを同時進行で進めていく中で少しずつ心が和らいでいった感じです」

制作に入る前に昔使ってたスタジオに入って、バンドでリハをやることからはじめたんです

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