【STAGE REPORT】
『チャーリーとチョコレート工場』
2023.10.08 at東京・帝国劇場 ※公開ゲネプロ
1964年に出版されて以来、世界的なベストセラーとなっている児童文学が原作で、2013年からイギリスで上演されたミュージカル版も数々の賞を受賞した『チャーリーとチョコレート工場』。『ナイツ・テイル-騎士物語-』以来5年ぶりの新作ミュージカルへの挑戦となる堂本光一が、日本版初演となる本作の主演を務める。
「イマジネーション、想像すれば見えてくる」――これは、堂本光一演じる天才ショコラティエ・ウォンカと少年・チャーリーとをつなぐ魔法の言葉。まさにその言葉を具現化したように、ステージの上には子供の頃に夢見たポップでカラフルでワクワクする世界が広がっていた。そしてその中心には、美しく気高く妖しく、キュートでおちゃめでユーモア溢れるウォンカ=堂本光一。ステージに立ち続け、エンターテイメントの力を信じる彼だからこそ演じられるウォンカが、観客を夢の旅へと誘う。
児童文学『チョコレート工場の秘密』を原作にしたミュージカルの日本版初演。世界一カラフルでカッコ良くてオシャレな日本版を目指し、演出のウォーリー木下をはじめ、今注目のクリエイティブスタッフが集結。堂本も「世界中で上演されている作品ですが、たぶん一番いい出来なんじゃないでしょうか」と自信を持って届ける壮大な作品が誕生した。
堂本が演じるのは、世界中の子供たちに愛されるウォンカ・チョコレートを作る謎多き人物、ウィリー・ウォンカ。ゴールデンチケット入りのウォンカ・チョコレートを手に入れた子供がウォンカの工場に招待されることになり、招かれた5人の子供とその家族は、ウォンカの案内で驚きの体験をする――。
第1幕では、キャンディー・マンとして街でお菓子を売るウォンカと、慎ましやかな暮らしの中で1年に1度、誕生日に買ってもらえるウォンカ・チョコレートを楽しみに生きる少年・チャーリーとの出会いが描かれる。キャラメル色のロングコートにメガネ姿の堂本はスタイリッシュで、チャーリーとの掛け合いは愛らしくほっこり。ゴールデンチケットの当選者が現れると、ドイツ、ロシア、アメリカなど各国のダンスや音楽を取り入れた華やかなショーが次々と展開され、キャンディー・マンもノリノリ。コーラス隊に交ざってみたり、エアギターを披露したり、自由に動き回る様子が楽しくて目が離せない。チョコレート工場の門前では、年老いて腰の曲がった姿で登場したウォンカが一瞬にして妖艶なウォンカに変身。伸びやかな歌声を響かせるソロナンバーと「ようこそ、チョコレート工場へ!」と言い放つ迫力に圧倒される。
第2幕は、不思議なウォンカの工場内を巡る冒険であり、歌とダンス満載の豪華なショータイム。客席にもチョコの甘い香りやイチゴの香りが漂う仕掛けがあり、観客も一緒に旅をしている気分に。大人も子供もファンタジーの世界に夢中だ。そして、その作り込まれた世界の中で、さまざまなジャンルのダンスを踊り、セリフの掛け合いを楽しみながら、唯一無二の存在であるウォンカを見事に演じた堂本光一。エンターテイナーとしての彼の真摯さが、カンパニーも観客も丸ごと包み込んで、幸せな空間を作り出していた。来年2月の大阪公演まで、甘く美しいウォンカが日本を席捲する。
文=関 亜沙美
写真=中村 功
※QLAP!2023年12月号ではより多数の写真でレポートをお届けします
『チャーリーとチョコレート工場』
福岡・博多座 2024年1月4~15日
大阪・フェスティバルホール 2024年1月27日~2月4日