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9mm Parabellum Bulletだけにしか表現できない〈型〉。21年目の円熟を見せつけた〈9mmの日〉をレポ

text by 石井恵梨子
2025年9月14日


【LIVE REPORT】
〈9mm Parabellum Bullet presents Live「O」2025〉
2025.09. 09 at Zepp Shinjuku(TOKYO)




9月9日、19時スタート。「9mmの日」を記念した9mm Parabellum Bullet恒例ライヴ、今年はZepp Shinjukuにて行われた。選曲はこれまでに発表した作品の中から収録曲順が奇数の曲のみ。アルバムの1曲目や3曲目や5曲目など、偶数の順番ではない曲のみで固められており、これは2014年に行われた武道館公演以来の試みとなる。だから何かと言われれば、まぁ、限りなく偏愛に近いこだわりでしかないのだけど。


勢いよく幕を開けた前半から一息つかせる中盤に入っていくタームが、私には一番面白い流れに思えた。今年7月に配信された最新シングル「踊る星屑」、そして2005年の1stミニアルバムから「interceptor」、さらには2019年の8thアルバムから「Beautiful Dreamer」というものだ。


順に説明すると、スカ調のビートに乗って〈今夜この星は僕たちが回してやるよ〉と決めゼリフを吐くのが最新曲で、繊細なギターを爪弾きながら漠然と不安を見つめていたのが初期曲。さらには、滝 善充(ギター)の腕の不調が発覚して数年、それでも〈ぼくらは決して離れない〉とドラマティックに唄い上げたのが「Beautiful Dreamer」となる。この曲ではステージ奥のLEDスクリーンが稼働し、血のように赤いヒガンバナが映し出されていたことも印象的。どれも自分たちに起きたドラマで、乗り越えてきたヒストリーで、それをさらっと3曲限定で表現したところが今の彼ららしい。つまり、不安や混沌の中にいる時期はとうに過ぎているし、すべてはエンタメに落とし込める、ということだ。


初期曲の繊細さにはそれなりに驚くものの、基本的にこのバンドがやっていることは変わらない。メロコアもメタルも歌謡曲も大好きなギターロック。差し引きで混ぜるのではなく、全部を過剰な熱量で詰め込んでいく。最初こそ異端と言われ、それでも無我夢中で続けてきたことは、10年、20年と時間が経てば誰にも真似できない〈型〉になっていく。ドラマティックでミゼラブルな、言い換えればベタベタにクサい、それでも〈そうこなくっちゃ!〉というカタルシスに直結するキメの連続。歌舞伎役者が見得を切るのと同じだし、戦隊レンジャーの集合ポーズがずっと変わらないのと同じである。


21年目の9mmは、その〈型〉をさらに磨き上げる。たとえば開始早々、滝と菅原卓郎(ギター&ヴォーカル)がお立ち台に上がってコテコテなソロをキメ、その後ろでは中村和彦(ベース)とサポートギターの武田将幸(HERE)が腰を落としてがっちりと向き合い、さらに後方のかみじょうちひろ(ドラム)がトドメのツーバスを打ち鳴らすシーンがあったが、〈そうこなくっちゃ!〉が二重、三重と続くことでカタルシスは揺るぎないものになる。これにロックオンされてしまえば最後、他のバンドはどれも薄味で物足りないものに感じられるのだろう。


そして本人たちの表情も、この〈型〉が一番カッコいいという信念やロマンを感じさせる一方、こんなの本気でやるの俺らしかいないだろと笑い飛ばすような、いい意味での軽やかさや余裕に満ちている。煮詰めていけばドラマティックすぎ、クサすぎる悲恋劇の様相を呈していく世界観が、なぜかスカッとした快感に貫かれているのはこのためだ。これは滝の腕の不調に苦しんだあと、具体的には8thアルバムから今日に至るまで、より顕著になっている。


また、冒頭に書いた歴史総括の3曲のあと、LEDスクリーンをフル活用しながら見せたしっぽり歌謡ゾーンが、21年目の円熟を物語っていた。久々の「眠り姫」や、凍てつく雪景色を映し出す「銀世界」。さらに卓郎がハンドマイクで唄う「新月になれば」、中村がアップライトベースに持ち替えての「キャンドルの灯を」などなど。どれも若造には表現しきれない深みがある。卓郎のMCを引用するなら、このバンドは初期の頃「ステージでごろごろやってる」ばかりであった。意味のわからない絶叫や三角跳びなども好んでやっていた気がする。ただ、そこから好きなものを何ひとつ変えず、今はこれだけの幅を見せられる。映像技術の進歩によって息を呑むほど綺麗な演出も加えられるのだ。続けることは幸せなことだとつくづく思う。客席にいてそう思うのだから、そんな客たちで満杯になったフロアを見つめるメンバーは、どれほどの喜びを噛み締めていたのだろうか。


もちろん、しっぽりと終わりゆくほど彼らはまだ老いていない。ラストに向けては再びのフルスロットル。〈そうこなくっちゃ!〉のキメが次々と待ち構える怒涛の大団円へ突入していく。ギターも手放した滝がひたすら踊り狂うワンシーンに爆笑する。「生命のワルツ」が終わった瞬間、優勝したスポーツ選手みたいにガッツポーズを決めた卓郎に破顔する。いけいけ、もっとやれ。アンコールでは来年3月17日(〈9mmの日〉と同じくらい大切な、バンド結成日だ)に特別ライヴ〈Live「E」〉が開催されることも発表されていた。9mmだけの〈型〉、9mmだけのこだわりを詰め込んだ活動は今後も順当に続くだろう。そこに何の危うさも不安要素も見当たらないことが一番喜ばしいと思う。


文=石井恵梨子
写真=西槇太一



NEW LIVE DVD
『act IX』

2025.09.09 RELEASE

2024.03.17「カオスの百年vo1.20」@Billboard Live TOKYO
2025.03.17『YOU NEED FREEDOM TO BE YOU』Extra~カオスの百年vol.21@KT Zepp Yokohama

・数量限定販売
・ライヴ会場および通販サイトのみで販売
通販サイト:http://shop.sazanga.com


NEW DIGITAL SINGLE
「踊る星屑」
2025.07.25 RELEASE

https://9mm.lnk.to/odoruhoshikuzu


〈9mm Parabellum Bullet フロアライブ2025 『新宿FACE、死角なし。』〉
10月25日(土)、26日(日)新宿FACE ※SOLD OUT



〈9mm Parabellum Bullet presentsカオスの百年~Never Ending Tour 2025〜〉
11月15日(土)HEAVEN’S ROCKさいたま新都心 VJ-3
11月16日(日)HEAVEN’S ROCK熊谷 VJ-1
11月24日(月・祝)新潟NEXS
11月29日(土)横浜BAY HALL
12月7日(日)甲府CONVICTION
12月13日(土)金沢EIGHT HALL
12月14日(日)長野CLUB JUNK BOX


〈9mm Parabellum Bullet presents Live「E」2026〉
2026年3月17日(火)CLUB CITTA'

[9mm MOBILE会員先行] *抽選先行
受付期間:9/9(火)21:30-9/15(月・祝)23:59
受付URL:https://9mm-m.com
[オフィシャル先行] *抽選先行
受付期間:9/20(土)12:00-9/28(日)23:59
受付URL:https://eplus.jp/9mm/


9mm Parabellum Bullet オフィシャルサイト

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