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INTERVIEW
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橋本絵莉子、約2年4ヵ月ぶりとなるアルバム『街よ街よ』が気づかせてくれたこと

text by 平林道子

〈このアルバムを作れたことが、これからの自分にどういう風に作用するのか、それがすごく楽しみです〉。そんなコメントとともに届けられた橋本絵莉子のセカンドフルアルバム『街よ街よ』。シンプルかつポップでありながらも、どこか一筋縄でいかないオルタナティヴな手触りのバンドサウンドとともに、さまざまなタイミングで生まれた11篇の曲が収められている。前作『日記を燃やして』から本作に至る約2年4ヵ月。その間に起きたさまざまな出来事によって身動きが取れなくなってしまいそうになっていた時期もあったという橋本。しかし、立ち止まりそうになった彼女を前に進ませてくれたのが、このアルバムであり音楽だったのだ。だからこそ優しく、柔らかな感情とまっすぐな力強さがこの作品には宿っている。久々となる橋本との対話。アルバムのこと、新たにチームに加わったドラマーのこと。さらには進化論に基づいた彼女なりの人間の習性まで(笑)、実に多岐に渡ったのであった。

(これは『音楽と人』2024年5月号に掲載された記事です)



ソロになって2枚目となるアルバムが完成しましたが、まずは今の手応えや、率直な気持ちを聞かせてもらえますか。


「いつも制作の時は悩みますけど、今回は、アレンジとか歌詞とかだけじゃない迷いもあったから、いざ完成してホッとしています。ここからどういうふうに、このアルバムが自分に活かされていくんだろうなって、ようやく楽しみになってきたところです。今はまだ新しいアルバムを出しますっていう情報だけで、みんなに聴いてもらえてない状況なので、どういうふうに聴いてもらえるやろ?とか、そこにワクワクしはじめてます」


9曲目の「ホテル太平洋」は、2022年1月の初ワンマンでやってましたよね。


「そうです。今回は、『日記を燃やして』の時にはすでにあったけど、入れてなかった曲っていうのもわりとあって。2022年1月のライヴの時には、私だけのデモの状態だけど3曲あったんです。その中からどれをライヴでやりますか?ってメンバーさんと話し合って、〈ホテル太平洋〉にしようってなって、あの日演奏しました」


前作『日記を燃やして』を作った時点ですでにあった曲は、あとどれになりますか?


「〈私はパイロット〉です。あと〈慎重にならないか〉は、歌詞がなくて曲とメロディだけがありました。もうずいぶん前……2018年のほんとに何にも考えてないあたりに作ってたもので」


チャットが完結してしばらくギターも触らずにいたけど、徐々に音楽を聴くようになった頃だ。


「はい、燃え尽きて、しばらく音楽から離れてたんですけど、なんかふとギターに触れた時にポロンポロンって何気なーく弾いたやつを残してあって。で、セカンドアルバムを作ろうって決めたあたりで、歌詞をつけてみようかなって。だから歌詞は新しいけど、存在はだいぶ前からあったやつです。あと、〈偏愛は純愛〉のサビは、高校3年生の時からありましたね」


そうなんだ。ということは、このアルバムの中で一番古い曲になりますか?


「ですね。もともと1曲ちゃんとあったんやけど、サビ以外の部分が少し幼すぎて、今の私とはちょっと合わなかったから、サビ以外の部分は新たに作り直しました。だから今回はほんと、バラバラというか、いろんな時期にできた曲を録ってできたアルバムです」


ライヴで聴いた時も思ったんですけど、「ホテル太平洋」って、なかなかインパクトのあるタイトルですよね(笑)。


「あははは。でも徳島に実際にある旅館の名前なんです」


あ、そうなんだ。


「バイパス沿いにあって。で、ホテル何々っていうタイトルの曲、世の中にわりといっぱいあるじゃないですか」


イーグルスの「ホテル・カリフォルニア」を筆頭にね。


「そうそう。で、〈ホテル何々〉っていうのが自分の曲にもあったらいいなぁって思って(笑)」


あははは。よく「東京」という名の曲をみんなが作るのと同じ感じだ。


「そうです(笑)。〈ホテル何々〉やったらもう、徳島のホテル太平洋しかなくない?って思って、タイトルから決めて作りはじめたんです」


そうなんですね(笑)。つまりこの曲は、橋本さんなりの「ホテル・カリフォルニア」なんですね。


「そう、そういうことです(笑)」


サビ以外の歌詞を新しく書き換えたという「偏愛は純愛」の〈幼い頃の憂鬱が/今になって生きている〉であったり、先に配信リリースされた「宝物を探して」の〈地元の駅で待ち合わせ/立体交差を超えて〉とか、「ホテル太平洋」もそうですけど、今回のアルバムには、今の自分が、幼い頃や徳島で暮らしてた時の自分に思いを馳せてるような歌が多いですよね。


「確かに」


1年半前に「宝物を探して」の取材の際に、保育園のプールで顔をつける練習をしてる時のことを話してくれて。それがタイトルにもつながってると言ってたんですけど、そういうふうに小さい頃のことを思い出す瞬間が、橋本さんは多かったりしますか?


「そうですね。一瞬嗅いだ甘い匂いから、〈あ、この匂い嗅いだことある、なんだこれ?〉ってなって、一生懸命思い出して〈あ、ちっちゃい時に使ってた匂い付きのティッシュだ!〉ってなって。そこから、〈そういえば、あの子と匂い付きティッシュ交換したよな〉とか、その時のやりとりを思い出したり」


ああ、匂いとか、そういうちょっとしたことがきっかけで、ふっと昔を思い出すことってありますよね。


「たぶん、そういうのが楽しいんでしょうね(笑)。あの時のあれや!とかっていうことが」


新しい発見をした気持ちになるみたいな?


「そうそう、発見って感じなんだと思う、自分の中で。だからそれを唄ってしまうんでしょうね」


ちなみに今回のアルバムの中で一番新しい曲はどれになりますか?


「〈このよかぶれ〉ですね。それ以外は全部一昨年のうちにできてたから。〈このよかぶれ〉だけ去年です」


ほんと最近できた曲だ。


「はい。とにかく新しい、最新の曲をひとつ入れたいっていう気持ちがすごくあって。それでできたので、『これ入れます』ってなった」


この曲の〈あなた〉というのは、誰かにとって、かけがえのない、でも今はここにいない大切な人のことを思い浮かべるものになってますよね。〈語りかけていきます/いつだって今あなたに/この言葉が届いたらいいのに〉という最後のフレーズは、すごく橋本さんのまっすぐな気持ちが伝わってくるところで。


「うん、そうですね。なんだろうなあ……今ここにいなくても、その人が言ってくれた言葉とかが、これからの自分に活きるんだろうなって思うし、それってすごい素敵なことだなって思ったんです。時空を超えてる感がすごいあるじゃないですか」


この曲の前に入ってる「離陸」は、恒岡(章)さんが参加されたライヴの音源じゃないですか。


「そうです。ツアー初日のものになりますね」


それこそ、この曲を再生するたびに、そこに恒岡さんを感じることができますし、そうやって時空を越えさせてくれるところが音楽にはありますよね。


「うん、ほんとそう思います。なんか音楽ってすごいなぁって」


また「やさしい指揮者」のアウトロの〈今日のための鼻歌に変えて〉という言葉と、それに続く〈1234〉というカウントのリフレインは、とりあえず前に行くんだといった気持ちが表れてるなとも思ったし、ふっと心が軽くなる感じがあっていいですよね。


「ありがとうございます。この曲は一昨年できたものなんですけど、友達に悲しいことがあって。その話を聞いて、同じように自分も悲しくなって、〈どうしよう、どうしよう〉ってなっていた時あたりに書いた歌なんです。自分の気持ちとか感情を、指揮者みたいに自分でコントロールできたら、悲しいって気持ちも減ったり、ちょっと楽になれたりするかなとか考えてたから。鼻歌を唄ってる時ってわりと無自覚というか、周りは気づくけど、本人はあんまり意識せずに唄ってることが多いじゃないですか」


そうですね。鼻歌を唄おう!と思って出るものでもないですよね。


「そうそう。すぐには無理かもしれんけど、できるだけ悲しみを取り除きたいという思いがあったし、鼻歌ぐらい自然なものとして、その出来事が捉えられるようになったらいいなって」

最初からバンドで鳴らすぞって作ったアルバムやから外に出てるんです。街にいるというか広がってる

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