【STAGE REPORT】
『ABC座星(スター)劇場2023 ~5 Stars Live Hours~』
2023.12.07 at 東京・帝国劇場 ※ゲネプロ
2012年にA.B.C-Z(橋本良亮、戸塚祥太、河合郁人、五関晃一、塚田僚一)がデビューして以来、さまざまな題材で毎年上演してきた舞台『ABC座』。今年は過去最多の全59曲をパフォーマンスするというライヴ形式のSHOWに挑戦した。

2011年12月、A.B.C-Z初座長舞台『ABC座 星(スター)劇場』の制作発表会見が行われ、その席でA.B.C-Zのデビューが発表された。あれから12年。劇場を変えながらも、毎年欠かすことなく上演されてきた『ABC座』。今年もまた、ステージに並び立つ気高く美しい5人の姿に心が躍る。そして、この公演の千秋楽をもって河合がグループから旅立つため、これが5人のA.B.C-Zとしてのラストの場。寂しさは募るばかりだが、そうした思いも全て温かく包み込んでくれるのがA.B.C-Z。全59曲、歌とダンスを詰め込んだ2時間のステージは、この5人だからこそ作り出せる、純度100%のエンターテイメントだった。
劇場のドアを開けると、ステージの壁一面にA.B.C-ZのCDやDVDのジャケット写真。昨年までは事務所の先輩後輩の写真だったところがA.B.C-Zで埋め尽くされた光景に、それだけでも胸がいっぱいになる。幕が上がると、伝説の大車輪型機構“5Star”を背負った5人が“5starsポーズ”で登場。1曲目はデビュー曲であり“5人”の象徴とも言える「Za ABC~5stars~」。5人のキラキラした笑顔に安心し、いつも通りの河合の「エビバーディ!」の掛け声で盛り上げる。冒頭から“らしさ”全開のパフォーマンスが帝国劇場を彩る。

“ActA”と題された第1幕は、事務所の先輩後輩の曲を中心とした圧巻の40分ノンストップメドレー。河合による選曲は、「Diamond」、戸塚&河合による「欲望のレイン」、五関が踊る「Make It Hot」など、その歴史と伝統を知る者ゆえの濃厚さ。ラストにはSMAPの名曲「STAY」、最新EP収録のA.B.C-Zの「オリジナルストーリー」と続き、1曲1曲に込められたメッセージと物語を感じる。入所したてのちびっ子ジュニアを見守る5人のまなざしも印象的で、彼らが受け継ぎ伝えていく魂は揺るがないとステージから語り掛けてくるようだった。
第2幕は“ActZ”と題し、A.B.C-Z曲尽くし。星空のように輝くステージ上空で「雪が降る」を歌い上げ、新曲「JODEKI!」では爽やかな大人の色気を放出。ファンおなじみのマッシュアップ曲や、河合の「せーの!」の声で観客が一斉にペンライトの色を変える演出、それぞれのソロ曲など、まさしく帝国劇場でのぜいたくなコンサート。A.B.C-Zとファンとの絆と歴史を詰め込んだ幸せな時間が流れる。河合のソロ曲では、数々のステージに立ってきたA.B.C-Z河合郁人の歴史を懐かしい映像で振り返る場面も。デビューからずっと彼らの歴史とともにあった『ABC座』、そして生のステージを、5人が並ぶ最後の場に選ぶのが彼ららしいと実感する。真摯にステージに向き合ってきた彼らの思いを受け止めて、笑い合う5人の姿を目に焼き付ける――。誇らしきA.B.C-Z、ここにあり。
文=関 亜沙美
写真=中村 功
※QLAP!2024年1月号ではより多数の写真でレポートをお届けします