【STAGE REPORT】
『DREAM BOYS』
2023.09.09 at 東京・帝国劇場 ※公開ゲネプロ
2004年の初演以来、代々引き継がれてきたジャニーズの伝統ミュージカル『DREAM BOYS』が今年も上演。ボクシングを題材に、少年たちの夢や挫折、熱い友情を、客席上フライングなど難易度の高いパフォーマンスを交えながら描き出す。2019年からは演出に堂本光一が参加し、ますますバージョンアップしている本作。今年は新たに、主演にSnow Manの渡辺翔太、ライバルのチャンプ役にSixTONESの森本慎太郎を迎え、新生『DREAM BOYS』が幕を開けた。
Snow Manの渡辺翔太が、ついに帝国劇場の0番に立つ。Snow Manが結成されるよりも前のジャニーズJr.時代からこの『DREAM BOYS』に出演していた渡辺。そんな渡辺が時を超え、大きな成長を遂げて主人公を演じるのだ。彼自身も会見で「胸がいっぱい」と話していたように、まさに奇跡的な巡り合わせ。そして、ライバルのチャンプ役を務める相棒が、デビュー前から切磋琢磨してきた戦友・SixTONESの森本慎太郎というのもまたグッとくる。
舞台は純白の衣装に身を包んだオールキャストが揃う、華やかで壮大なオープニングナンバー「Opening Next Dream」からスタート。渡辺と森本が向き合い、見つめ合って歌う場面では、どちらからともなく笑顔がこぼれる。2人でステージに立つことの喜びを噛み締めるような、幸せに満ちた表情に彼らのこれまでの軌跡が重なり、胸が熱くなる。積み重ねた経験からにじみ出る自信が、圧倒的なオーラとなってまぶしい輝きを放つ。今の2人だからこそ見せられる、新たな『DREAM BOYS』の始まりにワクワクした。
歌、ダンスの実力はもちろん、身体能力も高く、卓越したパフォーマンス力を誇る渡辺と森本のステージは終始、圧巻の一言。2人が歌い、踊るたびに心が震えた。今作のために書き下ろされたそれぞれの新曲「光」「CHAMPION」で放つそれぞれの個性はもちろんのこと、2人で歌う楽曲の声の相性も抜群。伸びやかで力強い渡辺の声と、甘やかに響く森本の声は、一見正反対のようで、互いを補い合うようにピタリと合致して心地いい。また、芝居の表現も渡辺と森本のタッグならではだ。病気の弟・コウキ(川﨑皇輝/少年忍者)の前では明るく振る舞いながらも、真っすぐな瞳で主人公・ショウタの芯の強さを伝えた渡辺。一方の森本は、感情を抑えた“静”の演技でショウタと対立関係にあるチャンプの虚無感と孤独を見事に体現した。2人の細やかな表現により、すれ違いながらも互いに思い合い、心の内では誰よりもリスペクトし合っていることがわかる。特に、クライマックスで2人が手を取り合うシーンは涙なしには見られない。差し出された森本の手を渡辺が両手でギュッと握り、ひたいを寄せる。物語を飛び越え、2人の強い絆を感じた瞬間だった。
渡辺は、壁に対して垂直の姿勢を保ちながら映像に合わせて走ったりジャンプする『DREAM BOYS』の伝統的な演出であるウォールフライング、自分の腕の力だけでロープを登っていくアクロバットなど、大技の数々にも挑戦。さらには、渡辺が演出担当の堂本に「どうしても帝国劇場で飛びたい!」と直談判したという客席上空を飛ぶフライングも披露! オープニングで森本が、フィナーレでは渡辺がそれぞれ客席上空を華麗に飛び回った。フライング姿はもちろんのこと、着地の際に互いを引き寄せてキャッチし合うという演出がまたエモい。森本に力強く引き寄せられ、ステージに舞い戻った渡辺がグッと大きく胸を張る。帝国劇場のセンターで大きな拍手を浴びる渡辺の姿はとても美しく、感動的だった。長い年月をかけ、辿り着いた夢の場所。しかし2人の伝説はまだ序奏にすぎない。彼らが描く終わらない夢をこれからも共に見ていきたい。そう強く思った。
文=鳥取えり
写真=中村 功
※QLAP!2023年11月号(10月14日発売)ではより多数の写真でレポートをお届けします
『DREAM BOYS』
東京・帝国劇場:9月9日〜9月28日
出演:渡辺翔太、森本慎太郎 ほか