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THE NEATBEATS 眞鍋“Mr.PAN”崇がライヴハウスをオープン! 無謀ともいえるプロジェクトを実現させた男の物語

〈よし、今やるしかない!〉って思って。どういう形にするか考えて、2、3年かけて設計していった感じだった



ちょうどバンド結成から10周年となる2007年。「このバンドはずっとやっていくんだと思ったから、自分たちが100%満足できるスタジオを絶対作ろう」と考え、Toe Ragスタジオのようなモノラル録音をメインとするヴィンテージ・レコーディング・スタジオ「GRAND-FROG STUDIO」を完成させた。そして、ここで制作したアルバム『ROLL ON GOOD!!』のリリースをもってTHE NEATBEATSは、メジャーレーベルから離れ、ふたたび自分たちで動き始めることとなった。このタイミングで、「Toe Ragスタジオで録音したい」から発展させた「Toe Ragみたいなスタジオを作る」という夢を、眞鍋は叶えた。そして、ここから彼の思いは、もうひとつの夢へと向かっていく。


「スタジオ作った時には、もうすでに〈次はキャバーン・クラブみたいな場所を作りたい〉とは思ってて。なんだろ、話には聞いてたけど、メジャーから離れた途端、めちゃめちゃわかりやすく周りに人がいなくなってね(笑)。結局残ったんはメンバーと、メジャーの前からいた人たち。でもそうやって周りから人がいなくなった瞬間に、〈もう、やりたいことやろう!〉みたいな気持ちになったんだよね。だからもしかしたら、ずっとメジャーレーベルに所属してたら、そんなこと考えなかったかもしれないなって思ったりするし、また自分たちでやるようになってよかったと思ってて。メジャーの時に売れていれば違ったかもわからないけど(笑)、まあいい体験ができたとは思うかな」


自身のスタジオを設立し、そこで感じた喜びと自信から、〈キャバーン・クラブで演奏したい〉ではなく、〈キャバーン・クラブみたいな場所を自分たちで作りたい〉となって数年。現在TOP BEAT CLUBが入るビルのオーナーである人物から、一緒に何か楽しいことをやらないかという提案があったのが、2016年のことだった。地元・和歌山にいる頃から眞鍋のことを知るその人に、よく自身の夢を語っていたのだという。


「いつかやりたいな、ぐらいのレベルだけど、そういう話は10年くらい前からしてて。やっぱり言葉にしてると、誰かが引っかかるというか、〈それいいと思う〉みたいな感じで一緒にやろうってなる人が出てくるかもしれなくて。だから、なるべく自分が本当にやりたいと思ってることは、言葉にしていったほうがいいと思うんだよね。あとレコード屋にしても、スタジオにしても、それぞれタイミングというか、巡り合わせみたいなものがあって。それを逃したらもうダメだなっていうのは感じてきたから、今回も〈よし、今やるしかない!〉って思って。それでどういう形にするか考えて、2、3年かけて設計していった感じだったかな」


荻窪のまっさらな土地に、キャバーン・クラブのようなライヴスペースとカフェ、そしてレコードショップもあるような場所を作る。そのためには地下深く掘削し、その上で建物の基礎を作っていくといったような特殊な建築計画を組み立てていく必要がまずあった。じっくり時間をかけそれらを行い、いざ実行に移そうとなった矢先、新型コロナウィルスによるパンデミックが起きる。未知のウィルスへの対抗策としてマスクの着用と、三密の回避が通達された。三密とは、「密閉」=換気が不十分な閉ざされた空間、「密集」=多くの人が同じ場所に集まる状況、「密接」=近距離で会話や発声がある状況、を指す。つまり数多のエンターテインメントを楽しむ多くの空間が、このすべてに該当することになってしまった。とりわけライヴハウスは、コロナ禍当初にクラスターを発生させた場所として大々的に報道されたこともあり、かつてない逆境に立たされていた。


そんな状況の中、新たにキャバーン・クラブのような場所を作ろうとしてる眞鍋に対して、多くの仲間から心配の声が寄せられたのは言うまでもない。コロナ禍という想定外の事態に、ビルそのものの着工も予定より後ろ倒しにせざるをえなくなったわけだが、それでも眞鍋は計画を白紙撤回する気持ちには一切ならなかった。


「確かに『え、今やるんですか?』『大丈夫なの?』っていう声はほんと多かったよね。でも周りにやるって散々言ってもうた手前、もう引き返されへんやん。それが一番の理由かな(笑)。もちろん計画を白紙にするかどうかの話も出たけど、ここまで来て白紙になんかならへんやろって。何年もかけて書き込んできたわけだから、真っ白にはならへんよ。いくら消しゴムで消しても跡残ってるで、みたいな(笑)。それにライヴハウスとかやらへんのやったら、何にすんのよ?って話で。そこでコンビニやりたいか?って言ったらそうじゃないし、それこそ不動産オーナーになりたいわけでもない。だったら、やっぱりやるしかないし、やるしかないなら、コロナだろうとなんだろうと、ここだったらできるんですっていうことを証明すればいいと思って。今から作れるんだから、むしろコロナに対応したシステムにすればいいんじゃないって。そういうふうに考えればいいよなってなったかな」


そんな彼の強い信念と生来のポジティヴさによって、周囲も納得の上、計画が実行に移されていった。まずは2021年4月、建築予定地にて地鎮祭が行われ、ビル自体の建設工事が始まった。いよいよプロジェクトが大きく動き出した一方、「もう1回みんなが集まることができるための安心材料を作っといたほうがいいと思ったから、むしろトゥーマッチなくらいコロナ対策のシステムを整えたほうがいいんちゃう?って。ま、そしたら予算もトゥーマッチになっちゃたんだけどね」と、資金繰りにはかなり苦労したようだ。


銀行からはなかなかいい反応が得られず、「今からこの事業を立ち上げて元がとれるのか?」「この規模のプロジェクトをやろうというミュージシャンを審査するのは前例がない」という回答に、根気よく熱意を伝え、交渉を続けていった。「まあ、『僕、ロックンロールが好きで、こういうことをやりたいんです』とか熱く語ってるバンドマンが、何千万単位のプロジェクトやろうとしてるなんて、そりゃねえ」と、交渉が難航するのは本人もわかっていたわけだが、そんななか、今度はウクライナとロシアの戦争に端を発する世界的な物価高が、追い討ちをかけた。


「建築資材とかがものすごく高騰して、コロナで見直した予算よりもさらに膨大な費用がかかるってなって……その時はほんと、〈誰か俺と変わってくれ!〉っていう気持ちにはなったよね。銀行とは、『本当に大丈夫なんですか?』と言われつつも、『でも面白そうですね』って感じで話がついて、なんとかこのままゴールに行けるやろと思ってた時やったから、さすがに心折れかけた。しかも銀行とは別に信用保証協会ってところにも融資の相談をしてたんだけど、なかなかそこが信用してくれなくてね。まあきっと職業的なものもあったんだろうけど、でもそこで変に嘘をついてもしょうがないから、『僕はバンドをやっていて、ロックンロールが好きで、ロックンロールができる場所を作りたいんです』みたいな、小学生の作文レベルの話をずっとしてたかな(笑)」

こだわりがあっても入口は大きく。TOP BEATCLUBは ロックンロール公民館になったらいいなって

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