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BLUE ENCOUNT、6年ぶりの日本武道館ワンマン。節目のライヴから伝わってきた未来への道しるべ

text by 竹内陽香

【LIVE REPORT】
〈BLUE ENCOUNT TOUR 2022-2023
~knockin' on the new door~THE FINAL @日本武道館〉
2023.02.11 at 日本武道館



「バンドで食っていくって親に言った時、『ちゃんと就職したほうが幸せな人生を送れるよ』って言われて、『本当に?』って思ってた。今の俺はめちゃくちゃ幸せな人生を送ってて。答えなんて、その時になってみないとわかんないですよ」


大きなスクリーンに映る4人の表情を観ながら、3月号のインタビューで田邊が話してくれた言葉を思い出していた。「DOOR」の歌詞に言及した時のこと。メディアやSNSを通じて、いろんな人の経験をのぞき見ることができる今の時代、これが正しいんだってことを頭だけで考えて答えを出してしまいがちだ、と言いながら話してくれた内容だ。そして今、目の前で「DOOR」を演奏している4人は、本当に幸せそうな顔をしている。正直、何が正しい選択かなんて今はわからない。でもステージから聴こえる力強いサウンドと、満面の笑顔を見せてくれる4人の姿が、何よりも勇気と希望を与えてくれるものだった。完璧じゃなくてもいい。出来損ないだっていい。彼らが音楽を鳴らし続けてくれるかぎり、一緒に前を向いて生きていきたい。ただ、そう思わされた。

(▲)
(★)


BLUE ENCOUNTは、ベースの辻村が活動拠点をアメリカに移し、日本とアメリカの二拠点でバンドを続けていくという選択をした。楽曲制作はリモートで、ライヴはサポートプレイヤーを入れて行う。前例のない活動形態だ。この日は辻村の渡米前ラストライヴであり、6年ぶりの日本武道館ワンマン。壮行会のようなエモーショナルな雰囲気に包まれるシーンも時折あったけれど、それ以上にバンドがひとつになって前へ進んでいこうとする、強い意志がステージから滲んでいた。幕開けの「アンコール」は唄い続けていく決意を、キレキレのプレイとラップを放った新曲「vendetta」は攻めていく姿勢を。現在進行形のバンドのモチベーションを次々と突きつけていく。

(★)


だからといって、過去を切り離すようなことではない。むしろこれまでの歩みを噛み締めたうえで、現在と未来を強く感じさせる場面も多くあった。例えば、地元・熊本の母校やインディーズ時代に出演していたライヴハウスなどが映し出されたムービーと、そのあとに演奏された「city」。辛酸を舐めてきた日々で気づいた〈俺はあなたにとっての「街」になってみせる〉という思いを綴ったこの曲が発表されたのは2017年。前回の武道館を終えた翌年というタイミングだ。当時ライヴで聴いた時は、〈なってみせる〉という歌詞のとおり、こういう人間にならなきゃいけないという責任感や余裕のなさを田邊から感じていたけれど、今はそういったものは一切ない。ハンドマイクで自由にフロウする田邊。その歌声からは、この歌詞を現実にする自信と大らかさがしっかり宿っていた。

(★)


ストリングス隊が加わり壮大なアレンジとなって届けられた「ZERO」「虹」も素晴らしかった。6年前もストリングス隊と一緒に演奏するシーンがあって、武道館らしい華やかな演出ではあったけど、どこか手助けをしてもらっているような印象も否めなかった。しかし今回は、バンドが楽曲の屋台骨をしっかり作り上げたうえで、さらなる彩りとしてストリングスが寄り添うようなコラボレーションに。楽曲が本来持つアグレッシヴさや雄大さがグッと増して、その世界へ聴き手をグイグイ引き込んでいくようだった。


4人から放たれるエネルギーが客席の熱量を引き上げ、一緒になって大きなうねりを作っていく。お客さんに連れてきてもらった、という雰囲気だった6年前の武道館と今回で、圧倒的に違うのはそこだろう。会場を引っ張っていたのは間違いなくステージ上の4人。その変化は、紆余曲折ありながらもここまでバンドを続けてきた4人の経験、共有してきた感情、そういったものの積み重ねがあってこそ。決して順風満帆とは言えない不器用なバンド人生が、確実に彼らを強くさせた。それが今に繋がっている。

(★)
(★)


「何年経っても完璧な人間になれない。不安しかない」と田邊は言った。完璧じゃなかったからガムシャラにやってきた。不安しかないからもがいてきた。いろんな人に助けてもらいながら何とか前を向いて進んできた先で、こうして一緒に音楽を共有できる仲間、スタッフ、ファンと出会えて、今日という日を迎えている。「完璧になる必要なんてないんだよ。生きてさえいれば、俺がこの3人と出会えたみたいに、この4人であなたに出会えたように、あなたも大事な何かに出会えると思う」という言葉がなによりも優しく響いてきたのは、田邊自身がそれを一番実感しているからだ。


そんなMCのあとに続いた「DOOR」と「青」は、柔らかい光が眼前を照らすような演奏だった。歩もうとしている先が不透明でも、扉の向こうからは確かに光が差している。そんな希望と安心感が音になっていた。不器用な自分を受け入れて、不格好でも足りないものがあっても、生き続けていれば、大切なものに出会える。だから何も諦めることはないし、未来に夢見て生きていけばいい。デコボコな道を歩いてきた彼らだからこそ伝えられるメッセージであり、4人のまっすぐな演奏と笑顔は未来への道しるべのようだった。

(▲)


〈夢は守ってちゃつかめない/怖がらずにぶつかってみろ/きっと答えはついてくるよ〉
〈報われないその努力は「壁」を「扉」に変えるから/怖がらずにさぁ、ノックして〉


アンコールの最後に演奏された「HANDS」は、インディーズ時代の曲なのに、まるでこの日のために用意されたかのような曲だった。そして、あらためて気付かされたのは、彼らはバンドを始めた時からずっと不透明な未来へ向かって歩いてきた、ということ。今日を境にバンドの体制は変わるけれど、彼らがやっていくことは何も変わらないだろう。「就職したほうが幸せな人生を送れる」と言われながらも、未知の明日へ飛び込んで、〈幸せ〉と言える日々を迎えている今。その事実だけで未来は明るいじゃないか。答えなんて誰にもわからない。だから、壁を次への扉にして、怖がらずに前に進んでみよう。自分たちなりの歩き方で進み続けることを決意したBLUE ENCOUNTに、背中を押されながら会場をあとにした。

文=竹内陽香
写真=浜野カズシ(★)、ヤマダマサヒロ(▲)

(▲)
(★)


【SET LIST】
01 アンコール
02 Survivor
03 ポラリス
04 DAY×DAY
05 ロストジンクス
06 HEART
07 vendetta
08 コンパス
09 ルーキールーキー
10 NEVER ENDING STORY
11 city
12 Z.E.R.O.
13 虹
14 もっと光を
15 #YOLO
16 VS
17 バッドパラドックス
18 DOOR
19 青
ENCORE
01 それでも君は走り続ける
02 だいじょうぶ
03 HANDS

BLUE ENCOUNT オフィシャルサイト

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