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GOING UNDER GROUNDが語るバンドの現在。3人だけの地道な活動の中で取り戻した大切なものとは

俺たち、ここ10年でいちばん実入りがいいんですよ。年間400〜500万くらいはどうにかなってる。余裕はないけど(笑)



その後ゴーイングは、友人が主宰するYouth Recordsに移籍。古巣のビクターからも1枚アルバムをリリースする。どれも、このバンドの良さを知る人たちが、一緒にやろうと声をかけた形だったが、中学生の頃のような気持ちでバンドをやる、その信念が変わることはなかった。


松本「最初、Youth Recordsの会社が経営してるバー、天竺で働くことは決めてたの。事務所辞めるし、少しでも稼がないといけないから。その後、Youth Recordsから、ゴーイングをウチでやりたいって話をもらって、アルバムを作ることになったんだよね。エージェント契約みたいなもんかな」


石原「最初は、売り上げの25%を渡す代わりに、マネージメント業務をやってくれた」


松本「前みたいな、何に使ってるかわからない、使途不明金みたいなものはなくなるから、それでいいかなと思って。でも結局、それくらいかそれ以上のマージンは取られるんですよ。ビジネスなんだから当然じゃないですか。でも俺、何が一番楽しいのか考えたら、売れたとか、お金が入ってきたとか、大きい会場でやれたとか、そういうことじゃないんですよね。一番楽しいのは、ナカザと石原とバンドをやることなんです。じゃあレーベルに頼ることをやめて、自分たちができることはインディペンデントとしてちゃんと全部やらないと、バンドの未来は見えないと思ったんです。だって、レーベルが死ぬまで俺たちの面倒を見てくれるわけじゃないし、この3人で死ぬまでバンドやることは、もうその時わかってたから」


中澤「俺は、間にメンバー以外の人が入ることで、また徐々にやりたくないことが増え始めてるな、と思ってた。ここにいても楽しくないな、って。だったら売り上げの50%を渡して、その代わりに手伝ってもらう関係性は必要ないじゃないですか。それより売り上げ全部貰って、3人ですべての責任を負うほうが絶対いいなって」


そしてゴーイングはレーベルからも離れ、2019年、本当に3人だけで活動を始めた。不安なことは、独立系バンドの大先輩、ザ・コレクターズの加藤ひさしと古市コータローに相談した。彼らも事務所が倒産し、ライヴの売り上げを押さえにかかったり、ライヴハウスと直接交渉してギャラを貰ってきた経験者。池袋の居酒屋で、活動のノウハウや心構えをみっちり聞いた。古市からは、ブーツカットミュージック、というレーベル名も貰った。ブーツカット=裾広がり=末広がり。彼らしい、そして愛情こもった命名だ。きっと将来、これがゴーイングの会社名になるのだろう。しかし、レーベルさらにはJASRACすら通さないことで、外に出ていくお金は減ったはずだが、現実的に、3人とも家庭を養っていけるのか、心配ではなかっただろうか。自由になれたはいいものの、40歳のバイト生活では本末転倒ではないか。


中澤「こないだ高3の姪っ子がライヴに来たんですけど、実家で弟に同じことを言ってたみたいです(笑)。おじさんのバンド大丈夫なの?みたいな。でも俺たち、ここ10年でいちばん実入りがいいんですよ」


松本「収入が増えたから、住民税も保険料も上がりました(笑)」


中澤「規模感にもよるでしょうけど、今の俺たちのやり方だとライヴのギャラとCD、物販の売り上げ、全部ちゃんと入ってくるやり方がいちばん稼げてるんですよね」


石原「売り上げは俺の口座に入金するようにしてるんですよ。支払いもそこからやって、まとまった額が貯まったら『じゃあ分配しまーす』ってふたりに連絡して、振り込む」


中澤「まだ法人化してないんですよね」


松本「それをやるタイミングは、もうちょっとバンドに体力がついてからかなと思ってて。勘ですけど、今じゃない気がしてるんですよ」


石原「『あたらしいともだち』は、一般流通させないで、ほぼ通販と会場販売のみで売ってるから、流通にかかるお金が削減されたんですよね」


松本「僕だけずっと『レーベルどうしようか』って言ってたけど、ナカザは、『今回は絶対自分たちだけでやるべきだ』って言い張ってたよね」


中澤「今回、そういう形でやってみて、自分たちがアルバム出したら、どれくらい利益が上がって、どれぐらい売れて、どれくらい自分たちに分配されるのか、見ておきたかったんですよね」


松本「ちなみに『あたらしいともだち』は、一般流通させた前作の『FILMS』より売れてるんです」


石原「ネット注文が思った以上にきて。俺とナカザで必死になって発送しました。素生もやるって言ってたんですけど、発送してる最中に余計なこと言い始めて、面倒なことになるのがわかってたので、来なくていいって(笑)」


中澤「あれはめちゃくちゃ疲れた。途中、通知のメール開くの怖くなったもんな(笑)」


石原「宅配箱ってやつに入れて、ナカザが自宅からチャリで発送しに行くんですよ(笑)」


松本「800枚くらい売れたんだっけ?」


石原「そうだね。3000円だから単純計算で240万。制作費 100万かからないくらいだから、割ったら一人50万くらいの稼ぎ。たぶんレーベルにお願いしたら、トントンか赤字だったでしょうね」


CD売り上げという面では結果が出ているようだ。しかしこの1年の活動は、コロナ禍の影響もあり、ライヴ30本前後。リリースはこのアルバム1枚。そんなに数多くのライヴをこなしたり、イベントに出ている印象はない。他の仕事もしていない。もちろん3人とも家庭がある。このインディペンデント活動で、一家の大黒柱としての収入は得られているのだろうか。


松本「俺は最近、西東京のほうに引っ越しました。家族構成は奥さんと子供ふたり」


中澤「うちの息子は小5です。最近猫を飼い始めて、ものすごく充実した毎日です(笑)」


石原「ダンサーの奥さんとふたり、仲良く暮らしてます。お互いの収入についてはノータッチだけど」


松本「家族の考え方はそれぞれ違うけど、年間400〜500万くらいはどうにかなってる。余裕はないけど、ちゃんと生活できてますよ(笑)」


中澤「夏期講習の授業料で10万とか言われると、ちょっとビビるけどね(笑)」


松本「そういう座組でやってるんですよ。こうやったらちゃんと生活できるな、って」


中澤「余計なものがないですから。事務所の家賃ない。機材車ない。マネージャーいない。広告費もない。レーベルに取られるパーセンテージもない」


松本「それをやってる人はやってる人で立派だと思いますよ。いつか会社を大きくしようと思って、投資してるようなものだから。僕らはその余裕がないし、ただバンドをやりたいだけなので、そういうものにあまり意味がないってことに気づいちゃったんです。バンドをやってく中で、その必要がどうしてもでてきたら、やればいいだけの話で」


石原「だからそこそこのキャリアがあるバンドが、30代後半に差し掛かって、いろんな意味で大変そうな話を聞くと、自分たちでやればいいのにって思います」


中澤「みんな、メーカーやレーベルとやったら、人に聴かれる機会が増えるとか、売れるきっかけがあるって思ってるでしょうけど、俺たち、そのチャンスにどれだけ賭けてきたと思います?もう肌感でわかるんですよ。今の自分たちのサイズ感だと、一緒にやっても意味がない、って」


松本「でも僕らも、将来、勝負賭ける作品ができて、メーカーやレーベルとやる日が来ると思いますよ。そのためには、今、ちゃんと音楽やってないとダメなんです。それをやりたかったんですよ。別に規模感を小さくして、昔の名前で食えりゃいいなんて、まったく思ってなくて。誰にも介在させないで、自分たちが120%これだって思うことを胸張ってやれてるか。俺たち最高だと思いながらステージに立ててるか。それを自分たちに問いかけながら活動してる。他のバンドマンにも問いかけたいですよ。一瞬でもそう思わないなら、バンドなんてやってる意味ないから」


石原「若いバンドにはそれがあるんだよね。こないだ府中のライヴハウスで対バンしたkoboreと灰色ロジックとか、キラキラしてたもんな」


松本「そうあの日、初めて〈トワイライト〉聴いた若い子が、『すみませーん。鉄塔のなんとかって唄ってるあの曲、めちゃくちゃいいんですけど〜』って声かけてくれて。20年経っても、自分がその子くらいの年齢の時に作ってた曲を〈いい〉って言ってもらえるんだって」


中澤「いい話だ」


松本「そう思ってもらえるのは、懐かしいとかじゃなくて、koboreや灰色ロジックと同じように、俺たちが最高だと思ってステージに立ててるからじゃん。バンドやるヤツらはみんな、そういう気持ちでいないとダメなんですよ。でも俺たちと同世代か、ちょっと下のバンドマン見てると、一瞬で、今、あいつらそうじゃねえな、ってわかる。気持ちをごまかしながらバンドを続けていくのは絶対に無理。生き物だから、バンドは。どこかにしわ寄せがくるよ。ウチはそれでメンバーが、5人から3人に減ったんだから」


石原「だって洋一さん、当時、深夜にバイトして、そのままツアーに行ってたんだから。それは辛くなってくるよ」


松本「楽しめなくなるに決まってんじゃん。辞めんのは、自分の人生なんだから当たり前だし、恨む気持ちもまったくない。でも今考えたら、辞めようなんて思わせない、バンドの運営の仕方があったよな、って思う」


石原「洋一さんも丈も、決して辞めたくはなかったと思うけどね」


松本「うん。でもまた一緒にやるのは無理だよな。丈も洋一も大好きだけど、たぶん、無理だと思って離れてしまった人と、バンドが好きで一生懸命やり続けてきた人だと、向き合い方が違うもん。今の俺ら、昔とは違って、ステージに立つことの尊さを、誰よりも知ってるから。あの頃みたいな気持ちじゃ、もうできないよね」


中澤「洋一は辞めたあと、何回かゲストで出てるんですよ。あれ、本当に嫌だったんだよな」


松本「みんなそうだよ。嫁さんも、悔しくて泣いてたもん」


中澤「洋一が嫌なんじゃないですよ。券売を伸ばさなくちゃいけない、って打算しかそこにないんだもん」

ここに戻ってくるには、この道筋を踏まないと戻ってこれなかった。ほんとそうなんですよ。俺たちはここに戻りたかったの、ずっと

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