社歌とは、労働意欲や愛社精神の向上をねらいとして、会社の理念やイメージをもとに作られた曲である――アーティストに弊社・音楽と人の社歌を作ってもらう連載コラム「社歌を作ろう!」。今回は、『音楽と人』を昔から愛読していたという東京少年倶楽部の登場です。
今から10年ほど前、音楽と人誌面で「社歌を作ろう!」というコラムがあり、その続編としてWEBで復活を果たしたこの企画。前回のフレンズからバトンを受け継いだのは、東京少年倶楽部の4人。取材させてもらうたび、ヴォーカル&ギターの松本幸太朗は「音楽と人のインタビューが大好きです」とありがたい言葉をくれるが、正直、心の中では〈社交辞令をありがとう〉なんて思っていた。しかし、毎回あまりにも真っ直ぐ音人愛をぶつけてくれるし、松本が器用に嘘をつける人間ではないこともわかってきたので、彼の音人愛は本物だと確信。そこで、思いきって社歌の制作を依頼してみることに。すると、「僕らでいいんですか? 社歌を作れるなんて光栄です!」と喜びを爆発。という感じで、昨年の秋頃、彼らとの社歌プロジェクトはスタートした。
社歌を作ってもらうにあたり、編集部で「どんな方向性の社歌を依頼するか」の議論を展開。その中で、東京少年倶楽部の担当編集者と松本の共通点が〈生真面目な性格〉であることに気づき、担当編集者の生真面目さをネタにした、クスッと笑える感じの曲を依頼することに。早速バンド側にも相談。それから数週間後、東京少年倶楽部のマネージャー・Y氏から「折り入ってお話がありまして」と連絡が。何事かと思いつつ、松本、Y氏、担当編集の3人で打ち合わせを行ったのだが……その模様の一部がこちら。
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何かありましたか?
松本「あの、社歌の方向性なんですけど……僕、やっぱり音楽で誰かをイジることはできません!」
えっ。
Y氏「提案していただいた方向性で、松本も何回か歌詞を書いたみたいなんですけど、やっぱり難しいみたいで……すみません」
それなら大丈夫ですよ。折り入ってご相談って、そのことですか……?
松本・Y氏「はい」
えっと、他には?
松本「あ、特にないです……」
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逆に申し訳なくなった。〈編集者をイジってオモシロ曲を〉なんて無茶振りに真摯に向き合ってくれた挙句、こうしてわざわざ顔を合わせて説明したいなんて。どこまで生真面目で不器用なんだ、東京少年倶楽部! それならばと、彼らには自由に曲を作ってもらうことに。数ヵ月後、ついに社歌は完成した。マネージャー自ら編集を手がけたというMVをご覧あれ。
松本幸太朗コメント
音楽と人の社歌を作りました。
担当編集の宇佐美さんと話した時に、面白そうだなと思って、もう自分の中では「音楽」と「人」について作るのがいいなと思ってました! 好きなミュージシャン達が表紙を飾ったり、話したりしている歴史ある雑誌の中で、自分達も話したり社歌を作ったりできて純粋に嬉しいです。
それから、宇佐美さん全国流通から話を聞いてくれて、初ワンマンのレポートもいつもありがとうございます! いじったりはしないけど笑
これからも宜しくお願いします。あと表紙やりたい! いつか!
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『音楽と人』という雑誌と、そこに登場するバンド。その2つに対する敬意を松本なりに融合した結果、この社歌ができあがったという。熱のこもった衝動的なサウンドには彼らの揺るぎないロック愛が滲んでおり、聴いているこちらまでロックに憧れた頃の初期衝動を思い出してしまう。社歌の枠を超えて、素晴らしい曲が誕生したのではないだろうか。社歌の方向性に必要以上に悩んだり、正直、見ていると心配になってしまうくらい不器用な彼ら。それでも、不器用な彼らが唄うからこそ響くものがあると信じている。だからこれからも、この曲に宿っているような瑞々しい感性を大切にしながら、東京少年倶楽部には前だけを見て走り続けてほしい。この曲は3/5(土)0:00から配信リリースされるので、ぜひチェックしてみてください。
「I hope I die before I get old」
2022.03.05 DIGITAL RELEASE