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DEZERTの千秋インタビュー。ニューアルバムで一番言いたかったこと

text by 金光裕史

延期に次ぐ延期を経て、最終的にはツアーの中止を発表したDEZERT。その代わりと言ってはなんだが、彼らから『RAINBOW』という新しいアルバムが届いた。ヴォーカル千秋はインタビューで触れてるように、ファンとの約束を果たせなかったことを心苦しく思っているのだが、実際のところはツアーでファンと会えなくなってしまったことを、彼自身が一番悲しんでいるのがわかる一枚だ。ここには、昨年末の渋公(LINE CUBE SHIBUYA)ライヴで「俺たちは虹をかけるんだ」と叫んだ彼の切実な思いが刻まれている。正面切って本音を叫んでいる。けど、そんな自分を否定されるのは怖いし、芯の部分がグラグラだから、照れ隠しみたいな歌も唄って煙に巻こうともする。素直になれないけどどうしても嘘はつけない。そんな男がこねる屁理屈と愚痴と甘ったれな言動に、いま一度付き合ってみることにした。

(これは『音楽と人』8月号に掲載された記事です)



ツアー大変ですね。


「延期や中止が繰り返されるのは、ファンの子に本当に申し訳ないです。信頼関係っていうのは少なからずどの世界にもあると思うんですけど、僕は去年、ファンの子と約束したのに、それを果たせてないことも多いから」


約束したっていうのはどんなこと?


「来年、延期になったツアーを中止にしない、絶対やる、って。本当にそう思ってたんですけど、果たせなかった事実があるから、本当に申し訳ない。いい曲を作って、いいライヴをする」


なんとシンプルな。


「そして悩んで考える」


悩むんだ、そこで。


「悩んだほうがいいと思うんですよね。悩んだら考えるから。最近あまりなかったですけど。悩みは『black hole』の時がピークでしたから」


その時はどんなことで悩んでました?


「バンドも来年で10年目を迎えるし、自分で方向をチョイスしていかないとアカンな、と思ったんですよ。それまでは、周りがこうしたからこうする、こういうものが流行ってるから逆にこうしよう、すべて戦略から入ってたんで。魂みたいなものはあったんですけど、やっぱりまずは人に認めてもらわなきゃ、ってことが先に立ってたんですよね。でもいざ、じゃあ何をやろうと考えたら……俺には何もない。闇の中」


ブラックホールだった、と。


「結局、魂みたいなものがあるったって、人に評価されたいだけだった。じゃあ何やって評価されたいんだ、って話なんですけど、何でも良かったんです。何でもいいから評価されたい!   それが原動力」


でもツアーがコロナで中止となって。


「でもアルバムのことを思えば、中止で良かったのかも 。あそこにはメンバーがいなかった」


ん?


「全部自分で作ったようなアルバムだったから。俺はこういう人間だ!ってのを、薄っすら散りばめてる。『TODAY』を出したのに、DEZERTという看板より、俺のソロみたいなイメージがすごい強くて」


『TODAY』で、ここから踏み出す一歩、って大きく謳ったにもかかわらず。


「一歩がこれかよ、って。まあそういうところも人間臭いな、って思うようにしてます」


屁理屈すごいな(笑)。


「僕は好きなアルバムなんです。でもDEZERTのコンポーザーとして見たら、ちょっとどうなの、と」


でもこの『RAINBOW』は、バンド感が強いですね。


「コロナ前から、次はこういうイメージだって思ってました」


『RAINBOW』にはどんな意味をこめてますか?


「いろんな色」


うちの娘のほうが深いこと言うな(笑)。


「ははははは。希望とかそういう解釈する人もいるんですけど、僕の中では、いろんな色が空にかかってる、そんな感覚ですね。いろんな色というか、同じじゃないってイメージ」


「ミザリィレインボウ」の歌詞にもそれが出てますよね。


「うん。30歳になって、いろんな経験も積んできましたけど、そのぶん先入観も増えてきたんですね。そうなると、何でお前はこうやらんのや、ってなっちゃって。偏見が増えて、自分の人生つまんなくなってくるんですよ。戒めみたいなもんですね。みんな違うんだから、って」


学習しますよね。


「そんな俺を見て、千秋さん棘が取れましたね、って言うやつも居る。間違いじゃない。昔やったら我慢できなかったことも、ぜんぜん我慢できるようになっちゃった。大人になったな~って思う。ふつーの大人に。しょうもない」


『RAINBOW』は、そういうテーマの元に作り始めた?


「あ、今回そうかもしれないです。絶対にタイトルは『RAINBOW』にしようと思ってましたから。もう1個あったんですけど、それは僕がまだ手に負えるワードじゃなかったんで」


ちなみにどんなワードですか?


「秘密です(即答)。でも、つまらん大人になったなー、と思っても、みんな違うってことを認めないと、スタートラインに立てなかったんですよ」


何のスタートラインに?


「世界平和」


………。


「これはわりと本気。ていうか、最終地点はそこですから。平和を願うのは簡単ですけど、まず、俺とお前は違うからどう揉めるか、を考えないと」


一聴していろんな曲ありますけど、全体的に〈生きろ〉っていうメッセージが強くなってるというか、対象への思いが強く出ている曲が目立ちますね。


「〈生きるしかないじゃん〉って感覚ですね。若い頃は、死ぬことへの美学みたいなものもあったんですよ。でも長くやってくると、やっぱり出会いもあって。みんな、その出会った人の言葉が心に沁みて、自分が広がっていく感覚がみんなあると思うんです。そういう人が僕にもいたんですけど、去年、死んじゃったんですよ。でも、天寿を全うして死んだし、こういうご時世で葬式にも行けなかったから、逆に悲しくなくて。だから、死んでも大したことないんだな、って。死んだことないからわかんないですけど。そう仮定したんですよ」


その亡くなった人は自分にとってどんな人だったの?


「歌の先生です。ヴォイストレーナー。6、7年前からお世話になってたんですけど、その人、死ぬ間際までピアノの前に立って言ってたんですよ。私死ぬけど、葬式とかやめてほしいって。おるとこで悲しんでほしいのに、私おらへんやん、って」


確かに。


「カッコよく天寿全うされました。だからもう、僕は普通に生きようと。死んでもいいやって暴れるより、死にたくないって必死で生きたほうが良さげやなって、薄っすら思ってる30代です(笑)。だって死ぬことって、ほんとに大したことなさそうだから。僕は〈生きろ〉って命令形で言えるほどたいした人間じゃないけど、ヴィジュアル系が好きな人って、人と違ったことが好きで、社会に自分の生きる場所が見つけられない人たちが多い。その中で、いまだに〈死にたい〉って口にする人が、ひとりでも〈DEZERTの音楽に救われました〉って言うのなら、そのために唄って、悩むのもありかなって」

芯もなく、浮わついた魂で生きてる憐れな男。それを素直に認められるようになってきた。昔はこういうこと唄うヤツ嫌いだったのに

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